【介護レクリエーションvol.21】心身の機能アップに効果的な「ゲームレクリエーション」
現場で役立つレクリエーションのアイディアをご紹介する「介護レクリエーション」の企画。今回は、楽しみながら心身の機能を向上できるゲーム性の高いレクリエーションをピックアップ。
レクリエーションを紹介してくださるのは、レクリエーション・インストラクターの大野孝徳さん。今回ご紹介する『おひねり』と『花吹雪』の内容や必要となる動作、レクリエーションを行うことによって期待できる効果などを教えていただきました。
「『おひねり』と『花吹雪』は、花紙を用いて遊ぶレクリエーションになります。『おひねり』は花紙でくるんだピンポン玉をダンボール箱に投げ入れるゲームになり「手を動かす」「握る」「投げる」動作が必要になります」
一方の『花吹雪』は、
「ざるに入った花紙をうちわであおぐゲームになり「握る」「あおぐ」動作が必要です。両ゲームともに手指・腕の運動に効果的なゲームとなり、身体面の機能向上が期待できます。加えて、集中力の向上、競争心を芽生えさせるといった精神面の効果も。大人数ではもちろん、参加者2名からでも行えて実施しやすいのも嬉しいポイントです」
和気あいあいとした雰囲気の中で利用者の心身の機能向上を図りたいときに是非役立てて見てください。
おひねり
【対象者】「おひねり」を作ることができる方、投げる行為ができる方
【レクの目的】集中力の向上、競争心を芽生えさせる
【人数】2人以上
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】2色の花紙各8枚、ダンボール箱1個、ピンポン玉30個程度、参加者が使用する机と椅子、記録用のホワイトボードなど
【制限時間】5分〜
【レクリエーションの内容】花紙で包んだピンポン玉をダンボール箱に投げ入れるゲームです。
レクを始める前の準備
・スタッフは花紙を半分に切っておきましょう。
・チームごとに机と椅子2つを用意し、2m程度の間隔を空けて相手チームと向かい合わせになるように配置します。間隔を空けた箇所にダンボール箱を設置します。
・それぞれの机の上に、花紙とピンポン玉を入れたカゴを用意します。(花紙はチームごとに色を変えましょう)。
遊び方
1. 同じ人数になるように参加者を2チームに分け、チームごとに2名1組のペアを作ります。
2. スタッフは「ピンポン玉を花紙で包み、最後にキュッとひねります」と「おひねり」のやり方を参加者に説明しましょう。
3. 最初のペアは位置につきます。スタッフの「よーいドン」の合図が聞こえたら、ピンポン玉を花紙で包んでひねり、ダンボール箱に投げ入れます。
4. 2分間行い、より多く箱の中に「おひねり」 を入れたチームの勝ちとなります。スタッフはホワイトボードなどに勝敗を記録しておきましょう。
5. 2番目以降のペアも3と4を繰り返し行い、最終的に勝利数の多かったチームの勝ちとなります。
進め方のコツ
・ピンポン玉を花紙でしっかりひねらないと、ピンポン玉が花紙から飛び出してしまいます。花紙とピンポン玉がセットになっていない場合は得点には繋がらないので、スタッフは「おひねり」をしっかり行うよう参加者に呼びかけましょう。
・片まひの方が参加する場合は、花紙をひねる動作や箱に投げ入れる動作など、その方ができる部分のみ行ってもらうように促し、その他の動作はスタッフが代わりに行いましょう。
花吹雪
【対象者】うちわをあおげる方
【レクの目的】手指・腕の運動、集中力の向上、競争心を芽生えさせる
【人数】2人以上
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】2色の花紙各50枚程度、うちわ4枚、ざる(平たい箱でも可)2つ、参加者が使用する机と椅子、記録用のホワイトボードなど
【制限時間】5分~
【レクリエーションの内容】花紙をうちわであおぎ、ざるから出すゲームです。
レクを始める前の準備
・花紙を1/4の大きさに切り、うちわであおぎやすいように少しシワを作っておきましょう。
・スタッフは、机と向かい合わせに並べた椅子を2セット用意し、それぞれの机の上に、花紙を入れたざるを置いておきます。
※ざるの中には同じ枚数の花紙を入れておきましょう。
遊び方
1. 同じ人数になるように参加者を2チームに分け、各チーム2名ずつ前に出て、チームごとにテーブルにつきます。スタッフは参加者にうちわを渡します。
2. スタッフの「よーいドン」の合図が聞こえたら、参加者はうちわで花紙をあおいでざるから出します。
3. より早く、ざるから全ての花紙を出したチームの勝ちとなります。スタッフは勝敗の記録をホワイトボードなどに記録しておきましょう。
4. 参加者全員がゲームをやり終えるまで1〜3を繰り返し、最終的に勝利数の多かったチームの勝ちとなります。
進め方のコツ
・参加者が苦戦している場合は、スタッフは花紙を少し丸め、うちわであおぎやすくしてあげましょう。
アレンジ
・参加者がゲームに慣れてきたら、切らずに少しシワを寄せた花紙を使用したり、A4のコピー用紙を混ぜたりして難易度を上げてもOKです。よりあおぐ力が必要になり、手首や腕の運動になります。
………………………………………………………………………………………………………………
楽しみながら心身の機能向上が期待できるゲームになるので、利用者の手指や腕の運動を行いたいときに是非役立てて見てください。その際は、参加者の体の状態に合わせてレベルを調整してあげましょう。
イラスト:SMILES FACTORY
文:小沼奈央(レ・キャトル)
教えてくれたのは…
大野 孝徳さん
合同会社A-assist代表、介護福祉士、介護予防指導士、レクリエーション・インストラクター。学生時代は子ども会集団指導者講師として岐阜県内でレクリエーション指導に従事。そこでの経験が評価され、介護業界に入職。介護職・相談員・管理職、在宅・施設両面での介護業務と、介護現場において幅広く活躍。2016年に独立し、A-assistを設立。訪問型介護予防体操教室やレクリエーションサポート活動を展開。現在も現場に入り介護福祉士として従事する傍ら、「え~(良い)アシスト」を提供するべく全国を対象に事業を展開している。