薬剤師の職場別将来性とスキルを磨く4つの方法とは?

「薬剤師の将来性」というテーマは、薬学部を目指す学生や現役の薬剤師にとって非常に関心の高いトピックです。「AIに仕事が奪われるのでは?」「供給過多になるのでは?」といった不安の声がある一方で、専門性を高めることで活躍の場はさらに広がっています。

本記事では、薬剤師が「将来性がない」と言われる理由を深掘りし、職場別の展望や、薬剤師として市場価値を高めて生き残るための具体的な戦略について解説します。

薬剤師は将来性がないと言われる3つの理由とは?

「薬剤師の将来性は危うい」という意見には、主に3つの根拠があります。まずは、現在この業界が直面している課題を整理しましょう。

1. 薬剤師の供給過多

ひとつは、薬剤師の数が増加する一方で、これからは飽和状態になるのではないかという声があることです。

令和4(204)年の「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、薬局・医療施設に従事する人口10万対薬剤師数は265.8人で、令和2年の(255.2人)に比べて10.6人増加しています。

また、第111回薬剤師国家試験の合格者は8,749名いました。近年は少し減少傾向ではあるものの、約9,000名の薬剤師がコンスタントに誕生しています。

さらに、「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会 とりまとめ」では、薬剤師の数は2045年には約45万8,000人に上り、供給が需要を上回ると推定されています。

しかし、地方では、まだ薬剤師の供給が行き届いていない場所があることも事実。人手が集中していない地方へ目を向けることで、就職・転職の間口は広がるでしょう。

引用元
厚生労働省:医師・歯科医師・薬剤師統計の概況
厚生労働省:第111回薬剤師国家試験 大学別合格者数
厚生労働省:薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会 とりまとめ(提言概要)

2. AIやIT技術の発達による省人化

つづいては、AIの台頭やIT技術の進歩により、薬剤師の仕事もAIや機械に奪われるのではないかという意見です。

すでに現在、AI技術を利用した調剤機器などを導入していたり薬歴管理や在庫管理などにAIや専用システムを利用したりしている薬局もあり、業務の効率化に役立っているという状況が見られます。

そして、今後その状況がますます広がっていくのでは、と予測する声が上がっています。

しかし、対人のコミュニケーションや倫理観といった面において、AIや機械は人間に取って代われないとする声も。こまやかな配慮など、人間だからこそできる部分も多く、すべてをAIが担うことは難しいと考えられます。

3. 独占業務の分散

世の中では、以前は薬剤師の独占業務だった、医薬品に関する業務が分散されるようになりました。

具体的には、ドラッグストアでのOTC医薬品(処方せんなしで買える市販薬)の販売を登録販売者が行えるようになったり、薬剤師の監督のもとという条件はありますが、薬剤師ではない人のピッキング業務が認められたりという内容です。

そのため、今後この流れがさらに広がり、薬剤師のニーズが減るのでは、と不安視する声も出ています。

しかし、登録販売者が扱えるのは第2類と第3類医薬品で、要指導医薬品と第1類医薬品は薬剤師だけしか販売できません。また、ピッキングをほかの人に任せられるようになったため、薬剤師は専門性の高い業務にいっそう専念できるように。

今後は患者の体質に合った薬の提案や重複服用の阻止など、セルフメディケーションのサポート役としての薬剤師の需要がますます高まると考えられています。

引用元
日本OTC医薬品協会:OTC医薬品とは?/くすりについて

薬剤師の将来性を職場別に解説

ここからは、薬剤師の将来性はどう考えられているのか、職場ごとに見ていきましょう。

病院

病院薬剤師のニーズは安定していると考えられます。なぜなら、専門性の高い役割を担っているためです。高度な専門知識が必要な業務をAIが代行することは難しいでしょう。

また、チーム医療の一員として医師や看護師などと連携して働かなければならないことに加え、患者とのコミュニケーションも必要です。身体面のみならず、メンタルのケアも必要になるため、人間ならではの気づかいや思いやりなどが欠かせません。

このように、病院において専門的な業務とコミュニケーションを両立できる立場である薬剤師は、今後も需要がなくなることはないでしょう。

調剤薬局

調剤薬局は、AIが行える業務の範囲が広がりつつある職場です。また、ピッキング業務が薬局事務員に認められたこともあり、薬剤師の必要性が低下しつつあるという声もあります。

しかし、病院勤務と同様に、患者とのコミュニケーションや薬剤師の本領である複雑な業務などAIでは対応できない業務を担うことにより、今後も存分に活躍できるでしょう。

また、高齢化社会の時代にあっては、在宅医療が広がりを見せています。街の調剤薬局職員として、地域住民の健康に寄与する在宅医療に関わることで、十分なニーズを保てると考えられます。

ドラッグストア

ドラッグストアは、全国的に店舗数が増えていることを背景に、今後ますます需要が高まると考えられる職場です。年中無休や長時間勤務など、勤務条件での注意点もありますが、買い物ついでに薬を求める一般客などもおり、需要が高く将来性は高いと言えるでしょう。

「こんな症状にはどの薬がいい?」「自分の体質に合う薬が欲しい」などの相談に乗ることで、セルフメディケーションのサポートとしての役割も期待されます。

また、大手ドラッグストアなどでは調剤薬局を併設して処方せんを受け付けている店舗もあり、薬剤師の存在が欠かせません。

薬剤師が将来性を高めるには?4つの方法を紹介

薬剤師が自分で仕事の将来性を高めることはできるのでしょうか。今後薬剤師としていっそう活躍していくためにできることを紹介します。

1. 資格を取得する

薬剤師のなかには、より専門性の高い「研修認定薬剤師」や「専門薬剤師」といった資格を所持している人もいます。

研修認定薬剤師とは、継続的に研修を受け、時代に合った薬学の知識を身につけていると認められた薬剤師のこと。必要な研修を受講したうえで、認定を受けなければなりません。

専門薬剤師とは、医療薬学・がん・薬物療法・地域薬学ケアのいずれかの分野において、一般的な薬剤師としての業務はもちろん、指導的役割を持ち研究なども行える、一段と高度な薬剤師の資格です。

このような専門的な資格を取得することにより、レベルの高い薬剤師としてキャリアアップの道を開けるでしょう。

引用元
日本薬剤師研修センター:研修認定薬剤師制度とは
一般社団法人日本医療薬学会:専門薬剤師制度

2. 管理薬剤師になる

管理薬剤師とは、薬局やドラッグストアに責任者として必ず配置しなければならない人材です。一般的な薬剤師の業務に加え、販売する医薬品を安全かつ適切に管理することはもちろん、店舗全体のマネジメントを行わなければなりません。

従業員の指導や店内でのトラブル対応など、現場の最終責任を負わなければならないポストです。責任が重く、勤務時間も長くなる可能性がありますが、そのぶんやりがいを感じられ、ニーズも高い立場といえます。

給料も比較的高い傾向があるので、上昇志向のある方は目指してみてはいかがでしょうか。

3. かかりつけ薬剤師になる

かかりつけ薬剤師とは、患者からの指名を受けてその人の服薬情報を一元管理し、相談に乗ったり在宅医療のサポートをしたりする薬剤師のこと。担当医とも連携しながら、地域に根差した支援を行います。

患者のなかには、複数の病院から多種類の薬を処方されている人も多いです。そこで、重複や飲み合わせの問題などのリスクを軽減するため、かかりつけ薬剤師の制度がスタートしました。

ただし、かかりつけ薬剤師になるためには、所属している薬局で1年以上勤務し、週に32時間以上働いていること、薬局での薬剤師経験が3年以上あることなどの条件を満たさなければなりません。

患者から指名されるのは薬剤師として非常に名誉なこと。興味がある人は、キャリアを積みつつ患者とのコミュニケーションを深め、かかりつけ薬剤師を目指してみてはいかがでしょうか。

引用元
日本薬剤師会:かかりつけ薬剤師・薬局とは?

4. 在宅医療の経験を積む

薬剤師の在宅医療とは、高齢者や介護を受けている方など外出が難しい患者のもとを訪れ、服薬指導や残薬チェックなどを行うものです。

超高齢社会の到来により、医療費の削減のため、病院のベッド数が減らされているなどの現実もあり、今後、在宅医療のニーズはますます増加していくことでしょう。それに伴い、医療チームとの密な連携も求められます。

在宅医療の経験を積み、適切に対応できるスキルを身につけておくと、これからいっそう重宝される薬剤師になれるはずです。

引用元
健康長寿ネット:日本の超高齢社会の特徴

薬剤師として働くには?

薬剤師として長期的に活躍するためには、単に薬剤師の免許を取るだけでなく、時代の変化に合わせた戦略的なキャリア設計が必要不可欠です。ここでは、薬剤師になるための必須ステップから、理想の職場と出会うための具体的なノウハウまでを詳しく解説します。

薬剤師になるまでの流れ

薬剤師は、薬学の専門知識をもって人々の命と健康を支える国家資格職です。その責任の重さから、資格取得までには厳格なプロセスが定められています。

1. 薬学系の学部学科で6年間学ぶ

まずは、文部科学省が指定する大学の薬学部(6年制)を卒業する必要があります。

基礎薬学から臨床薬学、さらには病院や薬局での実務実習(計22週間)など、多岐にわたるカリキュラムを履修します。そうして6年間の課程を修了(または卒業見込み)することで、初めて薬剤師国家試験の受験資格が得られます。

引用元
公益社団法人 日本薬剤師協会:薬剤師を目指す方へ
jobtag:薬剤師

2. 薬剤師の国家試験を受験する

薬学系の大学を卒業することで、薬剤師国家試験の受験資格が得られます。毎年2月に実施される薬剤師国家試験に合格し、厚生労働省の薬剤師名簿に登録することで、初めて免許が交付されます。合格率が例年70~80%前後で推移する難関試験です。

詳しい試験内容や対策については、こちらの記事も参考にしてください。

薬剤師になるためにはどうすればいいの?社会人が薬剤師を目指すには

引用元
厚生労働省:薬剤師国家試験 第111回薬剤師国家試験の施行

薬剤師として働く職場を探す方法

将来性のある薬剤師としての一歩を踏み出すには、事前の情報収集が欠かせません。新卒と転職、それぞれのフェーズに合わせた最適な探し方を紹介します。

新卒で薬剤師を目指す場合

新卒採用では、インターンシップや合同説明会への積極的な参加が鍵となります。自分がどのような薬剤師になりたいのか、病院・薬局・企業などの特徴を比較検討しましょう。

その際、実際の業務内容だけでなく、働き方の自由度や求められるスキルの違いなどにも注目すると、より具体的に適性を判断しやすくなります。

薬剤師の就活で人気の業種とは?就職先を決める4つのポイント

薬剤師が転職する場合

中途採用では、これまでの経験をどう即戦力として還元できるかが問われます。転職する際によく利用される方法として、以下の3つが挙げられます。

・ハローワーク: 地域密着型の求人を探す際に有効
・薬剤師専用の転職エージェント: 職場の内部事情(残業、人間関係、昇給率など)に精通しており、効率的に転職活動が可能
・リファラル(知人紹介): 入社後のギャップが少ない傾向がある

特にエージェントの活用は、一般には公開されない「非公開求人」へのアクセスや、年収交渉を代行してくれるため、キャリアアップに有効な手段となるでしょう。

薬剤師の志望動機のポイント

採用担当者は「なぜうちの職場でなければならないのか」という熱意と根拠を見ています。「この人と働きたい」と担当者に思ってもらえるような志望動機の作り方を紹介します。

薬剤師の志望動機で伝えるべきこととは?業態別・状況別のおすすめ例文

新卒で薬剤師を目指す場合

新卒で薬剤師を目指す場合の志望動機には、以下の内容を入れてみましょう。

・実習で出会った患者さんとのやり取りや過去の実体験など、薬剤師を目指すきっかけとなった原体験
・「5年後、10年後にどのような貢献ができる薬剤師になりたいか」という成長意欲

薬剤師を志望した経緯について述べつつ、就職後にどのような形で貢献したいのかを明確にすることで、採用担当者にあなたの熱意が伝えられます。

薬剤師が転職する場合

薬剤師が転職する場合の志望動機は、以下のポイントを念頭に置いて執筆しましょう。

・「前職で管理薬剤師として在庫ロスを〇%削減した」「チームリーダーとして仕組みづくりをし売上◯%アップさせた」など、具体的な実績
・転職理由が「忙しすぎる」であれば、「より一人ひとりの患者さんに深く向き合える在宅医療に注力したい」といった前向きな表現に変換するのが鉄則

あなたが何を実現したのか、何を達成したのかを定量的に伝えるのが効果的です。また、前向きな表現で転職理由を書くことで、相手に与える印象がよくなります。

自分に合った職場を探すならファーマキャリアがおすすめ

「今の職場では将来が不安」「どうやって転職先を見つければいいのかわからない」、そんな悩みを抱える方には、薬剤師特化型の転職支援サービスファーマキャリアが最適です。

ファーマキャリアが支持される最大の理由は、「オーダーメイド求人」という独自の機能にあります。ファーマキャリアをおすすめする主なポイントは以下のとおりです。

・既存の求人票を提示するだけでなく、あなたの希望に合わせてコンサルタントが求人先に条件交渉を行い、理想のポジションを提案
・ライフスタイル、年収、目指すべきキャリアパスなど、目先の就職だけでなく「10年後の将来性」を見据えた提案が受けられる

将来性のある職場選びは、プロの知見を借りるのが近道です。ファーマキャリアのオーダーメイド求人で、あなたの理想的な就職・転職先を見つけてみましょう。

薬剤師は将来性のある仕事!スキルを磨いて専門性を高めよう

薬剤師の将来性は、供給過多やさまざまな技術の進歩により、危ぶむ声もあるのが事実です。しかし、人間にしか担えない部分もあると考えられ、今後も十分な需要を見込めるという可能性も示唆されています。

また、長く薬剤師として活躍したいなら、多彩な経験を積みながら専門性を高めたり、患者や医療メンバーと積極的に関係性を深めたりすることにより、自身の将来の可能性を広げていくことも大切です。

時代のニーズに合わせた薬剤師を目指し、この先も活躍していきましょう。

美容・ヘルスケア求人サイト「リジョブ」と提携している「ファーマキャリア」では、求職者一人ひとりに合った「オーダーメイド求人」により、多くの方の転職をサポートしています。

より希望にマッチする仕事を紹介できるよう丁寧にサポートしているので、なかなかいい仕事が見つからないという方は、ぜひ一度ご利用ください。


監修者

この記事の監修者

森正弘
薬剤師専任キャリアアドバイザー
社内MVP受賞

【経歴・実績】
・北海道大学大学院(修士)修了 / 元大手インフラ企業 研究職
・社内受注金額MVP / 成約率41%の実績

【プロフィール】
理系院卒の深い理解と論理的交渉で、週休3日や高年収など他社が敬遠する難条件も実現。
深層心理まで掘り下げ、客観的な利点と欠点を提示します。意見を押し付けず、最終的にはご本人の意思決定を最優先に尊重します。

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くの薬剤師求人をリジョブで探す

株式会社リジョブでは、美容・リラクゼーション・治療業界に特化した「リジョブ」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄