インドネシアで訪れた転機。行き着いたのは、スタッフの自己実現を叶えるサロン「ACTgrow」菊地翔太さん

日本の美容業界を支える企業の魅力を紹介する本企画。今回登場いただくのは、美容室「REM」の直営店を15店舗、FC店1店舗を運営する、株式会社ACTgrow。雇用形態は業務委託と正社員を自由に選べる、アシスタントでも勤務時間は8時間など、スタッフを大切にする経営方針で、拡大してきたサロンです。

前編では、「ACTgrow」の代表取締役である菊地翔太さんに企業の成り立ちやその特徴を伺います。

菊地さんは「関わった人の願いを叶えたい」という思いを胸に、サロンを運営するためにスタッフがいるのではなく、スタッフが自己実現するためにサロンがあるという考え方を実践してきました。

この考え方に至ったのは、22歳のころに仕事で訪れたインドネシアで現地の人にかけられたある言葉が転機になったといいます。

お話を伺ったのは・・・
株式会社ACTgrow
代表取締役社長
菊地翔太さん

山形県出身。山形、東京の複数のサロンで経験を積み、2016年、28歳で株式会社ACTgrowを創業。関わった人の願いを叶えたいという思いを胸にサロンを経営している。

「仕事をするために生きているみたい」。人生を変えた言葉

自身の転機について話す、菊地さん

――菊地さんが「ACTgrow」を立ち上げたきっかけは?

22歳のときに、インドネシアに日系美容室を立ち上げるプロジェクトに参画したことがあり、そこでの体験が大きかったです。現地に行った際、価値観の違いをいろいろと感じることが多かったのですが、とくに現地の人から言われた「日本人は働くために生きているように見える」という言葉が忘れられませんでした

もちろん働くこと自体は悪いことではないのですが、本来、働くことは何かを実現するための手段であるにもかかわらず、日本では働くこと自体が目的になってしまっていると思ったんです

――確かに日本人には、そういう面があるかもしれませんね。

しかも当時の僕たち美容師が働いていた環境は、拘束時間がかなり長く、休みもなくて、給料も少ない。でもそういった苦しいことを乗り越えるからこそ、売れる美容師になれるという価値観を何の疑いもなく持っていました。それが現地の人の言葉を聞いたときに、急に視野が広がり、その価値観を疑うようになったんです。

人が働きながら幸せになるにはどうしたらいいか、そもそも幸せとは何なのかということを考えるようになりました。そのうち、働きながら幸せになれるような場を作れないかと考えるようになり、これが独立しようと思うようになったきっかけです。その後、6年ほどは美容師として働きながら、自分の考えるサロン像を模索しつつ独立準備を重ね、28歳でオープンさせたのが「REM」になります。

――その菊地さんの考え方は、「ACTgrow」の運営にどう活かされていますか?

サロンを維持するためにスタッフがいるのではなく、スタッフが人生の目的を叶えたり、なりたい自分になるために、会社、サロンがあるべきだという考え方のもと、さまざまな施策を考えてきました

美容師というのは一種類の仕事ではなく、撮影に力を入れたい、だれかに技術を教えたいなどそのあり方はとても多様だと思っており、会社に所属しながらそういったビジョンを実現できるような仕組みを作ってきたんです。

時短勤務、土日休みでも指名1位。実現する方法を店長と模索

「ACTgrow」ではスタッフが自己実現するためのさまざまな取り組みを行っている

――スタッフの方がビジョンを実現するために、具体的にはどんなことをされているのでしょうか。

教育、さまざまな体験をできる場の提供、定期的なコミュニケーションの機会は積極的に設けています。なかでもビジョンを実現するために何より大切なのは、教育だと僕は考えています。というのも美容師として自己実現するのであれば、最初にすべきなのは「売れる」ことです。

どんなに自分が実現したいビジョンがしっかりあっても、美容師として売れていなければ説得力がありません。たとえば教育に携わりたいという人が、美容師として成功していなかったら、誰も話しを聞かないはずです。

ですので、やはりまずはしっかり技術を身につけ、生産性を向上していくことが重要だと考えています。そして技術以外にも、人間性、管理スキルなどさまざまな要素を身につけられる教育機会を設け、まずは売れることを目指してもらいます。

そして売れるためには単価を上げることもとても重要です。うちの会社では必要であればブリーチアカデミーなどの講習会も行っているので、単価の高いメニューを習得することもできます。

――体験の場というのは?

クリエイティブチームや教育チームなど、サロンワーク以外の体験ができる場を提供しています。クリエイティブチームは撮影の担当をしたり、今年は野外音楽イベントの「サマーソニック」に参加しヘアブースでヘアメイクをさせてもらったりしました。このようにさまざまなアウトプットを体験できるようにしています。また教育チームは、社内のアシスタントの教育を担うチームです。

自分のなりたい姿が最初から明確ではないスタッフも多いので、このようにさまざまな体験をすることによって、徐々に歩む道を見つけてもらうようにしています

――定期的なコミュニケーションの機会も設けているのですね。

はい。店舗では、店長やマネージャー陣とスタッフのミーティングを月に1回は設定してもらっています。内容としては、スタッフがどんなことをしたいのか、どんな自分になりたいのかを掘り下げてもらったり、将来の目標が決まっているのであれば、その実現のために今の自分がやらなくてはいけないことを確認してもらっています

――具体的に、スタッフの方が自己実現に成功した例はありますか?

今うちの会社で指名1位を取っている、子育て中のママさんが一番いい例かもしれません。そのスタッフは9時~17時勤務、土日もしっかり休みながら、結果を出しています

元から彼女には、ワークライフバランスをしっかりとれる美容師になりたいというビジョンがありました。そこで店長と定期的にミーティングを重ね、実現のためには単価を上げることが必要だと結論づけました。ブリーチアカデミーにも通うことで段々と単価が上がっていっていき、ステップアップしていくことができたんです。

アシスタントの勤務は8時間。技術チェックは営業時間内に

「ACTgrow」ではアシスタントの働き方にも特徴が

――さきほど教育チームがあるとお話しされていましたが、具体的にはどんなことをされているのですか。

基本的にアシスタントの教育を行うチームです。アシスタント教育は、店舗で先輩たちが行うのが一般的だと思うのですが、うちの会社の場合は教育チーム所属のトレーナーがアシスタントに専属でついて教えていく形をとっています

アシスタントの練習会は、決まった曜日に行われるため、勤務時間内の丸1日を使って、トレーナーの指示のもとで練習をしたり、チェックをしてもらうことが可能です。

――営業時間前や後の練習時間は設けていないのでしょうか?

基本的にアシスタントの勤務時間は8時間と決まっていて、強制ではありませんが必要があればその前後で練習をしてもらう形をとっています。

こういった形であれば先輩スタイリストもアシスタントの練習を見るために残る必要がありませんし、アシスタントも営業時間後にだらだらと練習をすることなく、プライベートを充実させることも可能です。


美容師がサロンで働きながら、自己実現をする方法を模索してきた菊地さん。後編では、「ACTgrow」で取り入れている、働き方の工夫などをさらに掘り下げます。また長年、美容師業に携わってきた菊地さんだからこそ感じる、美容師という仕事のやりがいについてもお聞きしました。

Information

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株式会社ACTgrow
住所:東京都目黒区自由が丘2-14-9-302
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