化粧品の分類・表示にまつわるルールって理解していますか?
化粧品を選んでいて、どれが本当にいいのか迷ったことはありませんか? 効果のある化粧品を見分ける手段として、製品の分類を見分けるという方法があります。医薬品、医薬部外品、化粧品などの違いを理解していないと、実はそんなに効果のない化粧品を使っていた! なんてことも。
美容業界に関わるお仕事なら、なお化粧品の分類・表示ルールは理解しておきたいもの。3つの問題に答えながら、基本をサラッとおさらいしてみましょう。
【問題1】「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」は、何という法律によって分類されている?
答え: 薬機法(旧薬事法)
「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」は、国の定める「薬機法(旧薬事法)」のルールに従って分類されています。効果・効能の範囲よって明確に分けられており、メーカー側はそれぞれ厚生労働省に申請・取得するべき許認可が異なります。
【医薬品】
簡単に言うと、病気の「治療」を目的とした薬のこと。
それを使うことで効果・効能があることが、厚生労働省より認められていている製品です。医師の処方箋が必要なものと、薬局・ドラッグストアなどで買えるものとがあります。
【医薬部外品】
「医薬品」よりも体への作用が穏やかで、「治療」というよりはあくまで「予防」の範囲に収まる程度のもの。厚生労働省が許可した効能・効果の確認されている成分が、一定の濃度で配合されています。医師の処方箋も必要なく、化粧品コーナーなどで手に入れることができます。
【化粧品】
「医薬部外品」よりもさらに体への作用が穏やかで、「清潔にする、美化する、魅力を増す、健やかに保つ」などの目的で使用される製品のこと。厚生労働省の認可がなくても、メーカー側の判断で開発できるようになっています。(ただし、使ってはいけない成分は、細かく決められています。)
まとめると、医薬品> 医薬部外品> 化粧品の順に、効能・効果が穏やかになり、メーカー側は効果・効能をアピールする製品を作ろうとすればするほど、厚生労働省の厳しい許認可を得なければならなくなるということになります。
【問題2】「薬用化粧品」の分類は「化粧品」「医薬部外品」のどっち?
答え: 医薬部外品
化粧品コーナーでよく目にする薬用化粧品や薬用石鹸など、「薬用」と名のつくものはほとんどがこの「医薬部外品」に分類される製品です。
医薬品、医薬部外品、化粧品などのパッケージは、国が出している基準(医薬品等適正広告基準、景品表示法など)によって、明記してよい表現、してはいけない表現が細かく決められています。たとえば「薬用」「美白」「有効成分」という言葉は、「医薬品」「医薬部外品」に認められた表現なので「化粧品」には使うことができません。
それでもメーカー側は許される範囲の表現で、売れるためのパッケージや広告を作ろうと努力するので、中には分類のわかりにくい製品もあります。
美容業界に関わる人なら、化粧品の表示ルールも意識したうえできちんと見分けられるようになりたいものです。
【問題3】厚生労働省が認めた、メラニン還元効果のある美白有効成分は?
答え: ビタミンC誘導体
「美白有効成分」とは、厚生労働省より“ メラニンの生成を抑え、シミやソバカスを防ぐ” あるいはこれに類似した効能を表示することが認められた成分のことです。ビタミンC誘導体は、活性酸素の除去、チロシナーゼ活性・合成抑制、メラニン還元の効果があるといわれている厚生労働省の認めた美白有効成分です。
化粧品の中でも、年間を通して人気のあるアイテムといえば「美白」に関する化粧品ではないでしょうか。前述したとおり「美白」という表現は、一般の化粧品には認められていません。厚生労働省の認めた「美白有効成分」を含んだ製品にだけ許される表現です。けれども人気のある分野なだけに、メーカーもパッケージや広告に工夫をこらすため、一般の消費者にとっては迷いやすい製品群であると言えるのではないでしょうか。
広告イメージだけに左右されず、より効果のある製品を見分けようと思うなら、製品の分類方法とあわせて「有効成分」についても知識を深めておくと良いかもしれません。
【厚生労働省が認める代表的な美白有効成分】
◎ ビタミンC誘導体
ビタミンC誘導体には種類がたくさんあります。製品の全成分表には「ビタミンC誘導体」とは書かれておらず、「アスコルビン○○」「○○アスコルビル」などと表記されています。
増えすぎるとシミの原因になるといわれる活性酸素の除去、メラニンの生成に不可欠だといわれるチロシナーゼに働きかけ、メラニンの生成を抑制してくれる働き(チロシナーゼ活性・合成抑制)、できてしまったシミ・くすみを薄くしてくれる働き(メラニン還元)、などの効能があるといわれています。
◎ カモミラET、トラネキサム酸、T-AMCHA
角質細胞が「メラニン色素を作れ」という指令を、メラニン生成細胞に伝える働きをする「情報伝達物質」に働きかけ、抑制をしてくれるといわれる成分です。
◎ アルブチン、エラグ酸S、コウジ酸、マグノリグナン、4MSK、リノール酸、ルシノール、プラセンタエキス
「チロシナーゼ活性・抑制」の働きをするといわれる成分です。
まとめ
さて、みなさんはいくつ正解できたでしょうか?
これまで化粧品を選ぶうえでのひとつの手段として、製品の「分類」を中心にお話ししてきましたがいかがでしたでしょうか。ここでお話ししたことはあくまで一般的な事例ですので、医薬品や医薬部外品だとかえって効果・効能がありすぎ、敏感肌の人には合わないということもあります。大切なのは使用する人の肌質を良く知り、その人に合った製品選びをする事。製品を見極められるだけの知識を持つということです。
美容業界に関わるみなさんには、ぜひ正しい知識を深めていただきこれからもスキルアップに努めていただければと思います。
取材・執筆 トウコ<vivace next>