ネイリスト検定のスカルプチャー対策には欠かせない!
スカルプチャーはネイリストとしてお客様に満足してもらうために必要な技術です。また、ネイリスト検定1級ではスカルプチャーの実技試験があります。プロのネイリストには、スカルプチャーの技術をマスターしモノマーの果たす役割などの仕組みを理解することは欠かせないといえるでしょう。
そこで、スカルプチャーの関連用語であるモノマー・ポリマー・ポリマリゼーションとは何か、どのような仕組みでスカルプチャーは固まるのか、ミクスチュアの硬化速度と注意点などについてご紹介します。
スカルプチャーで使用するモノマーとは?
ネイリストにとってアクリル素材の人工爪を作るスカルプチャーは、ネイルの長さを出したりアートネイルをしたりするために欠かせない技術といえます。また、ネイリスト検定1級では実技試験でスカルプチャーの技術が問われますので、試験合格を目指すネイリストにとっても重要だといえるでしょう。
スカルプチャーとは、アクリルパウダーとアクリルリキッドを適切な量で混ぜてミクスチュアを作り、そのミクスチュアで人工爪を形成する技術です。一般的には、ミクスチュアのボールを3つ使って人工爪にあたるスカルプチャーを作り上げます。アクリルパウダーとアクリルリキッドはそれぞれモノマー、ポリマーと呼ばれることもあります。
「モノ」には単体という意味があり、モノマーとは、単量体のことをいいます。これに対して「ポリ」はたくさんのという意味があり、ポリマーとは複合体のことを指します。つまり、モノマーが複数個結合した高分子のことをポリマーと呼ぶのです。
スカルプチャーはモノマーがポリマーに変化する作用を利用して人工爪を作る技術だと理解すればいいでしょう。スカルプチャーにおけるモノマーのアクリルリキッドは、メタクリル酸エチルが主成分で、アクリル樹脂の液体状のものです。
スカルプチャーはモノマーとポリマーの割合が重要
スカルプチャーが上手くできるようになるためには、いくつかのポイントをマスターすることが大切ですが、モノマーであるアクリルリキッドとポリマーであるアクリルパウダーをどんな割合で混ぜるかということも重要なポイントのひとつです。
スカルプチャーの作業過程においては、アクリルリキッドとアクリルパウダーを混ぜてミクスチュアを作ることになりますが、その割合はアクリルリキッド「2」に対してアクリルパウダー「1」が目安だといわれています。ただし、メーカーや色などによって多少の違いはありますので、それぞれの商品に表示されている混合割合を確認することをおすすめします。
問題は、適切な混合割合がわかってもその通りの量を混ぜることが難しい点にあります。スカルプチャーの作業を実際に行う場合には、モノマーとポリマーをそれぞれメジャーで測って2対1にしてブラシに乗せるわけではなく、ブラシを直接アクリルリキッドが入っているダッペンディッシュに入れてブラシに含ませ、そのままアクリルパウダーをつけることになります。そのため、適切な混合割合をブラシに含ませるためのブラシの使い方や目安も大切です。
適切な割合をブラシに含ませるための目安としては、ブラシの3分の1程度アクリルリキッドにつけて根元までリキッドを含ませたあとでダッペンディッシュの口でリキッドを少し落とします。このときにブラシを持ち上げて垂れない程度が目安です。そして、アクリルパウダーをつけますが、平らにならしたパウダーに45度の角度でブラシを入れることがポイントです。片側だけにパウダーが付くようにします。こうすることによって2対1の割合をブラシに取ることができるようになるでしょう。
ポリマリゼーションの仕組みとは?
スカルプチャーの技術を向上させるためには、化学的な仕組みを理解しておくことも役に立つでしょう。仕組みがわかることによって対処方法がわかってくることもあります。スカルプチャーのポイントは、アクリルのモノマーであるリキッドと重合体としてのポリマーであるパウダーを混ぜることですが、混ぜることによってできるミクスチュアではどんな化学的な作用が発生しているのでしょうか?
発生している現象は、ポリマリゼーション、日本語にすると重合反応と呼ばれています。ポリマリゼーションは、簡単な構造の化合物が2つ以上合体して大きな分子量を持つ高化合物になる現象をいいます。仕組みとしては、ラジカルと呼ばれる媒介物の働きによってポリマーが分解され不安定になり、モノマーにそのラジカルを渡して安定することによって分解されたポリマーとモノマーが結合します。
その後、ラジカルを受け取ったモノマーが次々に別のモノマーにラジカルを渡すために結合しモノマーがつながっていきます。最終的には、ラジカル同士が出会うことによって安定状態になりポリマリゼーションは終わります。その段階では、数多くのモノマーが結合したポリマー高分子が出来上がっていることになります。これが、ミクルチュアの硬化にあたります。リキッドのモノマーが個体であるポリマーに変わり人工爪が出来上がるというわけです。
ミクスチュアの硬化速度によってスカルプチャーの出来が変わる
アクリルリキッドとアクリルパウダーを適切な量で混ぜて作られたミクスチュアであれば、一般的な硬化速度でミクスチュアは固まっていきます。しかし、適切な混合割合から外れてしまうと、ミクスチュアの硬化速度は速くなったり遅くなったりすることがあります。この硬化速度はスカルプチャーの出来栄えに大きな影響を与えることになりますので、硬化速度の変化によってどんなことが起こり得るかを理解しておくことが必要です。
特に、ネイリスト検定1級を受験する場合は、スカルプチャーの実技においてさまざま状況が発生することに対処できる力が必要になりますので、硬化速度の変化がスカルプチャーに与える影響を知っておくことが大切です。ミクスチュアの硬化速度が速い場合は、ミクスチュア内での膨潤と溶解が十分行われる前に硬化してしまうことになるため、出来上がったスカルプチャーはもろくなってしまう可能性があるといわれています。
一方、ミクスチュアの硬化速度が遅い場合は、ミクスチュアがアプリケーション中に流れやすくなり作業が難しくなります。その結果、スカルプチャー内にバブルが入り込んでしまい割れやすくもろいスカルプチャーになってしまうことがありえます。
ネイリスト検定1級受験時は硬化速度に注意する
アクリルパウダーやリキッドを購入するときに注意しておきたいスペックは、色だけではありません。リキッドとパウダーの適切な割合や硬化時間が表示されていますので必ずチェックするようにしましょう。リキッドとパウダーの割合についてはすでにご紹介しましたが、硬化時間についても知っておいた方が良い点があります。アクリルパウダーやリキッドに表示されている硬化時間は、ミクスチュアが固まるまでの時間を表しますので、その時間内にスカルプチャーのアプリケーションを行う必要があるということになります。
ただし、よく表示を確認すると、室温や湿度が合わせて表示されていることに気付くはずです。硬化時間は、アクリルリキッドとアクリルパウダーの割合の影響を受けて変化するだけでなく、室温や湿度の影響を受けて長くなったり短くなったりするため注意が必要です。
ネイリスト検定1級を受験する場合、実技試験を指定の会場で受けることになりますが、会場の温度などによって硬化速度が変わってきます。会場の温度が低ければ硬化速度は遅くなります。硬化速度が遅くなれば、ご紹介したとおりバブルが入りやすくなり割れやすいスカルプチャーになってしまう可能性があります。
リキッド・パウダーの割合の微調整、作業スピードの調整などでどんな室温であっても合格レベルのスカルプチャーができるように練習をしておきましょう。