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ヘルスケア 2022-08-27

「通いやすさ」を重視した価格設定&システム構築で、地域コミュニティを創出【ゼロワンジム 山口翔矢さん】#2

地方でヘルスケア事業に携わっている方に、集客や売り上げアップのための取り組みについてインタビューする本企画。前回につづき、神奈川県登戸に2022年8月オープンした「ゼロワンジム」の代表・山口翔矢さんにお話しをお聞きします。

後編では、地方開業にあたり考えた事業形態の特徴について。「地域で最も通いやすいジム」を作るために決めたことを深堀していきます。

お話をうかがったのは…
「ゼロワンジム」代表・山口翔矢さん

2015年に大学を卒業後、ゼネコン会社に入社。2016年よりボディコンテストに参加するように。2021年ゼネコンを退職後、パーソナルトレーニングジムに入社。社員としてトレーニング指導をする傍ら、フリーのパーソナルトレーナー、フィットネスモデルとしても活動をスタート。2022年8月、ゼロワンジム登戸を設立。

山口翔矢さんのInstagram:@shoya_fit

通いやすいジム作りを通して地域の健康寿命を底上げしたい

ゼロワンジム代表の山口翔也さん。
学生時代から登戸に縁があり、昨年ジムをオープンしました

――ゼロワンジムは「地域で最も通いやすいジム」を掲げています。そのために大切にしていることを教えてください。

通いやすさのために重視したポイントは大きくふたつ。ひとつは価格面、もうひとつがシステム面です。このふたつは、パーソナルトレーニングジムの通いにくさのポイントでもあります

まず、こういったパーソナルトレーニングジムは、値段が高いところが多いんです。それは継続的に通うとなると、阻害要因になってしまいます。そしてシステム面。例えばパーソナルトレーニングジムの場合、はじめはトレーナーにトレーニングの知識をひと通り教わりますが、一般のジム会員になるとひとりでトレーニングをすることになります。しかし、いざひとりになると、できなくなってしまうお客さんがすごく多いんです。そのため、高いお金を払ってパーソナルに通っても、結局習慣化できないことになる。

そういった点を解消するために、ゼロワンジムでは少人数のグループトレーニングを行っています。グループにすることで価格面をグッと抑えられて、教えて欲しいときはトレーナーがいる。ひとつのコミュニティができることで、切磋琢磨できる仲間ができ、ジムに足を運ぶきっかけにもなるのではないかと思っています。

小グループでのトレーニングができるように機材も揃っています

――コミュニティを作るというのは、地域活性にもつながりそうですね。

そうですね。地域の健康寿命を高めること、運動習慣を作ることも目指していることのひとつです。パーソナルトレーニングと聞くと、「2か月で〇kg痩せました」とか多くみかけると思うんですが、本質はそこじゃないと僕は思っています。

長くトレーニングを続けることで、振り返った先に健康がある。地域のコミュニティとして、「ここに通ったら健康になれる」といった長期的な目線の場所が作れたら、地域への貢献にもなるのかなと考えています。

――仲間づくりの場として、トレーナーとして取り組もうと思っていることはありますか?

ジム側の取り組みとしてできるのは、トレーニング指導だと思います。そこで僕が一番大切にしたいのが、お客様の目的意識をしっかりヒアリングすることです。そのなかで同じような目的を持った会員様がいたら、マッチングしてあげる。やはり同じ目的を持った方同士のほうが、意見も合いやすいですし、目指すところが同じならお互いに励ましあうこともできますから。

地域出店で大切なのは、知ってもらい、信用してもらうこと

取材日には出店を通して交流が再開したという同級生がトレーニングに。
「とにかく知ってもらうことが、すごく大切だと感じました」と山口さん

――オープンにあたり、集客面や広報的な面で取り組んだことを教えてください。

ひとつは、近隣の店舗にチラシを置いてもらって、その店舗のチラシもここに置くこと。あとはチラシ配りも毎朝しています。ただ配るのではなくタンクトップ姿で配って、できれば会話もするように心がけています。

今の時代、SNS広告やネット広告も多いですよね。それも少しやったんですけど、それよりもっとローカルに知ってもらうほうが、いいんじゃないかなと。それこそ近隣のお店にご飯を食べに行って、店主と仲良くなって…というような、とてもアナログな方法で広げていっているところです。

あとは、SEO対策もしました。「登戸 ジム」で調べたときに上位に来るようにサイトを構築したり、SNSで発信するときも「登戸」というワードを必ず入れたり。

――そういった取り組みの手応えはいかがですか?

手応えというほどではないんですが、結局現時点で入会されている方々の中には、ネット広告を見たという方はひとりもいないんですよね。やはり「登戸」というワードで調べてきたという方がすごく多いです。コロナ禍になって自宅の近くでジムを探される方が増えているのかなという印象はありますね。

――地方出店するうえで大切なことは何だと思いますか?

地方の場合は、この地域に住んでいる方がほとんどなので、とにかく知ってもらうこと。そして信用を上げることが大切だと思っています。抽象的にはなってしまうんですが…、こういうパーソナルジムって病院と同じだと思うんです。

例えばラーメン屋さんなら、新店舗をオープンしたら行列になるし、1000円払ったらすぐに対価がもらえる。でも病院って、オープンしたからと言って、すぐに行列ができるわけじゃない。徐々に人が来るようになって、その人たちが「あそこの先生いいよ」と口コミで広がっていく。ジムって、その形態に近いと思うんです。

だからまずは知ってもらうこと。例えば先ほどのチラシ配りも、顔を知ってもらうことのひとつだと思います。そして、来てくださったお客様を本当に大切にする。それが口コミとして広がればいいのかなと思っています。

競合ではなく協業で、地域の健康に貢献していきたい

今後は地域の同業種とのコラボもしていきたいそう

――今後、取り組みたいと思っていることがあれば教えてください。

近年はいろんなフィットネスジムが増えていて、言ってしまえば競合他社になるんですが、そこで競合ではなく協業できればいいなと思っています

その取り組みのひとつとして、登戸近辺のパーソナルジムさんや整骨院さんなどと積極的に交流をはかり、ゆくゆくは登戸地域でのフィットネスイベントなどを開催できたらと思っています。またゼロワンジムの広さを活かし、登戸で活躍する講師さんをお招きしてスタジオレッスンなども開催したいです。

そういった取り組みを、地域全体に広げていくことが、ゼロワンジムの発展にもつながるんじゃないかと考えています。

――これから地方出店する方にアドバイスするとしたら?

まだ僕も始めたばかりなのでアドバイスはできないんですが、伝えたいこととしては、失敗でも成功でも、続けないとダメなのかなということですね。これから僕たちもトライ&エラーを繰り返しながら、そのたびに何か考えて実践して、考えて実践して…それを常に続けていくと思うんです。でも、それが大事なのかなと思っています。

あとは、人に頼りすぎないこと。こういったジム業界って、コンサルティングもすごく多いです。そういうところに丸投げして、自分で考えることを放棄してしまうのは、よくないかなと思います。考えることを止めないというのが、すごく大切なんじゃないでしょうか。


多くの方に知ってもらったことで、出店にあたり取り組んだクラウドファンディングでは、目標の500%近い支援を集めたゼロワンジム。グループトレーニングで地域コミュニティを作り、健康寿命を底上げするというゼロワンジムの取り組みに、今後も注目です!

取材・文/山本二季
撮影/本名由果(fort)

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Information

ゼロワンジム
住所:神奈川県川崎市多摩区登戸3375-1 第2TSSビル2F

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