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ヘルスケア 2022-06-23

確かな技術とWEBコンテンツの充実で、開業半年で予約の取れないヘッドスパに【プーラ式ヘッドスパ 辻敦哉さん】#1

地方でヘルスケア事業に携わっている方に、集客や売上アップのための取り組みについてインタビュー。今回は埼玉県で開業したヘッドスパプロデューサー 辻敦哉さんにお話を伺いました。

都内トータルエステサロンで経験を積み、地元である埼玉県浦和でヘッドスパ専門店「プーラ」をオープンした辻さん。東日本大震災直後のオープンながら半年で予約の取れないサロンになり、5年後からはその技術を広める活動と共にヘッドスパ専門店プロデュースにも尽力しています。

前編となる今回は、辻さんが埼玉県で開業した経緯と、オープン当初に取り組んだ集客法についてお聞きします。

お話を伺ったのは…
ヘッドスパプロデューサー 辻敦哉さん

理美容師の経験を積んだ後、トータルエステサロンに入社。ヘッドスパのゴッドハンドとして話題に。2011年独立、埼玉県にヘッドスパ専門店プーラをオープン。半年で人気店となる。2016年より、セミナーでの後進の育成、ヘッドスパ専門店のプロデュースの他、「辻式脱毛症研究所」を立ち上げ、脱毛症の研究にも尽力している。近著『髪が増えるしくみ」から考案 頭皮が蘇るすごいマッサージ』(アスコム)、他多数。
Facebook:ヘッドスパ専門店プーラ

ヘッドスパの需要の高さを知り、地元埼玉初のヘッドスパ専門店をオープン

独立前6年、独立後11年で培ったヘッドスパ技術は
抜け毛や白髪、脱毛症に悩む人を救っています

――まずは簡単に開業前のご経歴をお聞きします。

最初は理美容師として経験を積んでいたのですが、あまりカットに才能が見出せず、やりたいことを探していたときにエステ業界に入りました。その後、ヘアカットからフェイシャルなどの美容メニューまで行うトータルエステサロンに入社。そこでヘッドスパに出会ったんです。

――ヘッドスパに特化して開業しようと思ったのはなぜですか?

僕がいたサロンは顔剃りだけで7000円という、いわゆるアッパークラスの方々、経営者や著名人がご来店する隠れ家的なサロンでした。そういった方々の接客をするなかで、ヘッドスパの需要の高さを感じたんです。

例えば普段カット&ヘッドスパでご来店されている方が、カットとカットの間にヘッドスパだけでわざわざ来店する。当時は男性がネイルやヘッドスパをしていると聞くと拒否反応があるような時代でしたが、それでも多くの方が「頭や目の疲れが取れる」とヘッドスパをオーダーされていたんです。

その様子を見て、「ヘッドスパはこれからすごいことになるぞ」と思いました。そこから個人的に、仕事の時間外で整体学校のセミナーなどを受けに行くようになりました。学んだ技術を施術に取り入れると、さらに反響をいただけて。これは強みになるなと思ったんです。

――埼玉で開業された理由は?

僕の親は埼玉県で床屋を経営していて、当時はいつ引退してもいいというタイミングでした。それで僕が引き継ぐことになったんです。すごく小さい床屋で、駅からは近いけど人通りの多い道から1本入ったような立地。でもそれが、自分の働いていた隠れ家的サロンと通じるところがあるなと思いました。

僕はお店をするなら、きちんと知ってもらえる方法があれば、むしろ人通りが少ない立地のほうがいいとすら考えていました。インターネットやホームページを通して、きちんとサロンの隠れ家的なブランディングができれば、すごくいい立地だなと考えたんです。

開業から半年で人気店へ。専門家として取材がくるほどに

テレビや雑誌、専門誌など、多くの媒体から取材の申し込みも

――開業から半年で予約の取れないサロンへ。どんな取り組みをしたか教えてください。

震災直後の計画停電のなかでのオープンだったので、やろうと思っていた計画が次々とダメになってしまったんです。壁紙が届かなくて内装工事すらまともにできなかったり、電気が止まってしまったり。そのときに戦略を一度しっかり練り直せたのがよかったと思います。

最初は何の考えもなく、チラシを作ってポスティングしようとか、一般的なことを考えていたんです。でもそれもできないとなったときに、WEBにしっかり力を入れてやっていく方向にシフトしました。

また完全予約制にしていたのですが、予約の少ない日があったとしても、予約枠をすべて解放しないようにしていました。お客様が来るかわからない時間をガツッと空けておくよりも、ここは集客や専門的な勉強の時間にして、一番入りやすい時間帯だけ解放する。

予約枠がたくさん空いていると、じゃあ明日でいいや、明後日でいいやと先延ばしになってしまうんです。ここしか空いていないなら、今日ここでやってもらおうとなる。一度来てもらえたら、あとは技術力の問題ですから、すぐに予約枠が埋まるようになりました。

――集客をWEBにシフトしたとのことですが、どんなことが役立ちましたか?

一番学んでよかったのはSEO対策です。当時から頭皮や髪に悩まれている方に寄り添えるような記事コンテンツをよく書いていました。専門知識には自信がありましたから、お悩み対策や改善方法などのコンテンツ作りに力を入れるようにして。するとヘッドスパや白髪についての検索上位に僕の記事が出るようになりました。そこからいろんな媒体から取材が来るようになって、集客にもつながったと思います。

僕自身、独立前もよく取材は受けていたんですが、独立して前サロンの看板がなくなってからは、取材依頼やお客様からの問い合わせより営業電話の方が圧倒的に多いという状況で…。自信喪失していたんですよね。でも記事コンテンツを通してまた注目してもらえたので、個人ブランディングは上手くできたなと感じます。

あとWEB集客で重要だと感じたのは掲載する写真。テンプレートや自撮り写真と、プロカメラマンに撮ってもらったものは、全く違うなと感じましたね。当時の埼玉にはないようなお洒落な内装をプロに撮影してもらう。そうするとメディアからの問い合わせも増えました。

お店に来たくなる方法を考え、差別化することが大切

大幅な改装を行い、「来たくなる」内装にもこだわったそう

――地方でヘルスケア事業者が売上をアップするためには何が必要だと思いますか?

まずは武器を持っていないといけません。周りにはできないことができて、それが武器になるからお店が選ばれる。その武器を探し出せる方が、成功するんだろうなと思います。

また、「来てもらう集客方法」と「来たくなる集客方法」は違うので、いかに「来たくなる集客」ができるかも大切だと思います。

例えば、いわゆる集客サイトは「来てもらう集客」です。そこにお金を使うよりも、僕ならサロンのブランディングや広告にお金を使います。開業当初ならサロンの空間作りにお金をかけて、プロに撮影してもらったキレイな写真でホームページを作れば、他よりも目立つし「行ってみようかな」と思います。

経験が積み重なったら本を1冊出せば、その技術という武器を持つサロンだと宣伝できますし、その広告にお金をかければ取材も入り、メディアに出れば人が来たくなる。そういう集客方法にしていく必要があるんじゃないかと思います。


地方でヘルスケア事業者が売上アップするための3か条

1.お客様が来たくなる集客をする

2.他と差別化できる武器を持つ

3.メディアを活用して広告にお金をかける

WEBコンテンツやメディアを上手く使い、お店のブランディングや集客をしてきた辻さん。震災後の大変な状況のなか、半年で結果が出ました。その後、好調な業績を積み上げていくなかで、後進に技術を伝えるようになります。次回後編では、そんなプロデュース業について詳しくお聞きします。

取材・文/山本二季

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