異なる施術を武器に、限られた地方顧客に広がりを【株式会社Miractive 大山恭史さん】#1
地方でヘルスケア事業に携わっている方に、集客や売上アップのための取り組みについてインタビュー。
今回は、兵庫県伊丹市で鍼灸整骨院、整体サロンの運営、パーソナルボディメンテナンス、姿勢改善講師およびサポートを行う株式会社Miractiveの代表・大山恭史さんにお話を伺います。
前編では、鍼灸整骨院と整体サロンという、異なる形態の店舗運営について。そのメリットと地方での集客方法をお聞きしました。
お話をうかがったのは…
株式会社Miractive 代表 大山恭史さん
大阪府や兵庫県の整骨院・鍼灸院にて約7年、大阪府の鍼灸整骨院グループで約7年の経験を積み、2010年8月に兵庫県伊丹市にて「みらく鍼灸整骨院」を開業。2020年に「整体サロン Wake」、2022年「ボディケア&デリバリー YONDEYA」をオープン。
鍼灸整骨院と整体サロン、異なる2業態を運営
――まずは兵庫県伊丹市で開業された理由からおうかがいします。
伊丹市は僕の地元なんですが、開業時に店舗を探しているなかで、たまたまちょうどいい物件があったので、ここで開業しました。
当時は勢いで開業したので、経営面などもあまり学ばずにスタートしました。開業してからいろいろ学んでいったので、当初はやはり大変でしたね。
――現在は店舗として鍼灸整骨院と整体サロンを展開されています。
それぞれの違いを教えてください。
鍼灸整骨院では、姿勢に関連した治療や施術を主軸に、身体の痛みや悩み全般に対応しています。メインターゲットは40~50代の女性ですが、猫背などが気になるお子さんもいらっしゃいますね。
整体サロンでは、睡眠の質の向上や自律神経、心を整えるという部分に着目したヘッドマッサージが主軸。そのため受験生や子どもに照準を当て、学習効率の向上を目指す整体サロンとして運営しています。合わせて、ママ世代の方たちに向けた低価格のリラクゼーションも展開し、親子で通えるような整体サロンを目指しています。
――どちらも親子で通えそうですね。
そうですね。ただメニューはしっかり棲み分けしています。鍼灸整骨院は痛みや悩みのある方はもちろん、先々痛くならないようにするための根本施術が中心。整体サロンでの施術はリラクゼーションマッサージやヘッドマッサージなので、鍼灸整骨院では基本的には行わないメニューです。
だから症状や悩みにあわせて、両方に通っていただくこともあります。鍼灸整骨院のお客さんのなかで、自律神経の調子が悪い方やお子さんが最近イライラしているという方には、整体サロンのヘッドマッサージを勧めます。逆に整体サロンのお客さんで、どこかに痛みが出てきているなら鍼灸整骨院に誘導するんです。
――同じ客層で広がりを作れるのは、2タイプのサロンを運営するメリットでもありますね。
はい。実は2017年から3年ほど、美容整体サロンをしていたんです。でも治療と美容をうまく組み合わせられず、鍼灸整骨院との棲み分けがうまくできなかったなという反省がありました。ちょっとでも近しいメニューがあると、選ぶ側がどちらに行ったらいいか悩んでしまうんですよね。その反省もあり、自分の治療院とも、他の整体院ともかぶらないようにと考えて整体サロンは作りました。
また鍼灸整骨院に加えて整体サロンをするメリットとしては、スタッフ全員が戦力になれるというところです。
鍼灸整骨院の場合は、資格が必要なので施術できる人間が限られます。でも整体の場合は技術があれば誰でもできるんです。
例えば整骨院の受付として働いているママスタッフは、お客さんに「ありがとう」と言われても自分は何もしていないから、あまり響かなかった。でも技術指導をすることでママという目線をいかして戦力になれるし、実際に自分が直接的に行った施術だから「ありがとう」と言われる喜びも増しますよね。
2店舗あることで、みんなが活躍できる場が作れたのは、よかったなと思います。
顧客接点回数を増やし、家族で通えるサロンに
――人の出入りが少ない地方で集客するための取り組みは?
一番有効なのは、顧客接点回数を増やすことです。はがきや手紙、LINE、電話など、さまざまなかたちで、定期的にご案内することで、まずは記憶から消さないことが大切だと思います。
あとは家族の紹介を増やすこと。奥さんが来たら、ご主人やお子さんを紹介してもらえるように、あるいはお子さんが来たらお母さんも一緒に通えるように。そのためには技術力はもちろんですが、サロンの雰囲気もとても大切だと思います。
家族に紹介したくなるようなサロン作りとして、まずは「スタッフが家族に来てもらいたいと思えるか」というところを重視しています。お客さんに「来てください」と伝えるのはスタッフですから、スタッフが家族を連れて来られないような場所ではダメですよね。
――スタッフとのコミュニケーションで大切にしていることは?
できるだけ小まめに話をするようにして、「やりたいことができているのか」というのを確認しています。やりたくないことあるのが仕事だとは思うんですが、その中でやりたいことが1つでもあれば、自分から楽しんでできる要素になる。嫌々ではなく進んで仕事ができるようにするために、自分がしたいことをして欲しいなと思っています。
地方でヘルスケア事業を出店して成功するための3カ条
大山さんに、ヘルスケア事業を成功させるために心がけていることを教えていただきました。
1.家族まるごと来てもらえるサロン作り
2.他院にないことをしていく
3.ライフタイムバリューを考えたメニュー設定
うちの理念は、「未来の健康 恵顔の創造」です。「恵顔」とは、本当に満たされたときに自然とあふれ出すような笑顔のこと。そんな恵顔の輪を、家庭や職場に広げて欲しいと思って事業展開をしています。
次回後編では、上記3か条の内容について、詳しくお聞きします。
取材・文/山本二季