地方サロン運営は、SNSでの「好き」の発信が大切【アロマとハーブの教室&サロン ヘリオス 野林多美子さん】#2
地方でヘルスケア事業に携わっている方に、集客や売り上げアップのための取り組みについてインタビューする本企画。前編に続き、奈良県奈良市で「アロマとハーブの教室&サロン ヘリオス」を運営している野林多美子さんにお話をお聞きします。
後編では、集客とリピートを増やすための取り組みについてインタビュー。野林さんがサロンを運営するうえで大切にしていることを教えていただきました。
お話を伺ったのは…
「アロマとハーブの教室&サロン ヘリオス」野林多美子さん
2005年、40歳でアロマセラピーに興味を持ち、フィトセラピーやメディカルハーブまで学ぶように。2015年、アロマセラピスト資格取得を機に、奈良市西ノ京にて自宅サロンをスタート。これまでに取得した資格はアロマからハーブまで全22種。サロンでのアロマトリートメントと併行して、奈良県奈良市を中心に出張講座やセミナーなどを開催中。4児の母。
野林さんのInstagram:@tamiko_nobayashi
SNSでの発信が遠方からの生徒さんとつながるきっかけに
――ご自宅サロンであるヘリオスですが、お客様や生徒さんは近隣の方が多いですか?
最近は近くの方ともご縁ができて、いらしてくださっています。でも最初は、意外と県外の方が多かったんです。京都や滋賀、三重、大阪などからもいらしてくださっています。
――地方の個人サロンの場合、近隣のお客様が多いイメージでした。どういった経緯で遠方から?
最初はfacebookの個人アカウントからスタートして、「ヘリオス」のアカウントを取り、その後Instagramも始めました。最初のころは講座のことはあまり投稿せず、自分が育てているハーブや植物についての投稿をしていたんです。
それを見てくださった方が、講座やホームページを見つけてくださって、つながっていったんだと思います。
最近ではInstagramからの方が多いですね。そこからリンクでホームページに飛んで、いろいろ見て受講する…という感じで。
――「発信」が集客につながったんですね。
そうですね。サロンは駅から徒歩20分くらい離れていますし、あまり人の往来がある場所ではないので、集客的にいい立地ではありません。だから知っていただくのも大変で。とくに地方は「自分がここにいる」ということを発信しないと、見つけてもらえません。でも今はツールとしてSNSがありますからね。
サロンに来てくださる講師志望の方々にも、「教室をしているか、していないかではなく、まずは自分のしている好きなことを発信してみたらどう?」というお話をしています。サロンや教室を開いてから発信するとなると、そのタイミングがなかなか計れないことがありますから。
まずは自分の好きなこと、していることを発信していけば、興味を持ってくださった方やご縁のある方が、きっとつながっていくんだと思います。
あるいは、地方であれば地域限定のタウン誌というものがあるので、そういった媒体にお金をかけて掲載してもらうのも、ひとつの方法だと思います。その地域の方限定で、本当につながって欲しい人につながる。そんな発信方法を求めるのであれば、限定的に広告を出すのもいいのかなと思います。
1人1人に寄り添った講座の提案で「次」の楽しみを提供
――お客様をリピートにつなげる取り組みはされていますか?
講座の場合、どうしても完結してしまうんですよね。何かの資格を取る目的で来られた方は、取得したら終わりになってしまう。私もそうでしたから、最初は「次につなげる」ということは考えていませんでした。
でも、せっかく資格が取れるくらいまで学んでいただいたのだから、何か次のステップにつながるものも提供できたらいいなと思うようになり、オリジナルの講座を提供するようになりました。
私が「次はこれを学んだらどうかな?」と思うことだけでなく、生徒さんに「どんなことがしたい?」と聞いてアドバイスをいただきながら、その方に合わせた講座を作っています。新しいことや季節に合わせた提案ができると楽しんでいただけますし、リピートにもつながりますね。
――個人個人に合わせた講座を作ってもらえるのは生徒さんも嬉しいですね。
Instagramなどの投稿は不特定多数に向けたもので誰につながっているかわかりません。でも、それをきっかけに問い合わせてくださった方々に対しては、大切なご縁をいただけたということなので、1人1人を大切に丁寧に向き合いたいと思うんです。それは、タイミングが合わず受講につながらなかった方も同じで、また何かご縁がつながるかもしれないと思って、どなたに対しても丁寧に対応するように心がけています。
――他にもサロンを運営するうえで大切にしていることはありますか?
講座を受けていただけた際には、何かプラスα嬉しいこと、ワクワクするようなこと、そういう楽しみを提供したいと思っています。自宅サロンでは、お庭にたくさんの季節の花やハーブを植えているので、その時期にキレイに咲いている花をお土産にお渡ししたり。大切な時間を、講座で学ぶだけで過ぎてしまわないような提案ができたらと考えています。
「会いたい」と思ってもらえる発信を心がけて
――今後の展望をお聞かせください。
まずは今していることを、より多くの方に知っていただくこと、発信していくことも続けていきたいです。アロマやハーブの新しい情報もアップデートしていかないといけないので、そういった意味でも自分の学びも深めていきたいと思っています。
また、コロナ前におこなっていたボランティア活動も、時世を見ながら再開できたらとも思っています。子育て支援センターなどで、子育て中のお母さんをケアするハンドトリートメントなど、コロナ禍で減ってしまった「直接触れる活動」も続けていきたいです。
――最後に、これから地方でサロン開業を目指す方にアドバイスをお願いします。
どんな場所で活動していても、「会いたいな」と思ってもらえるような発信をして、まずは「ここにこんな私がいるよ」ということをアピールすることが大切なのかなと思います。例えば、その土地や地域ごとに大切にしている歴史や盛んなものを取り入れるのも、「行ってみたい」と思ってもらえるきっかけのひとつになったり。そういったものを、私ももう少し上手に発信の中に取り入れていきたいなと思っているところです。
また今はオンラインでできることも多いので活用するのも大切だと思います。私もオンライン講座を始めて、近隣だけでなく東京や千葉、神奈川の生徒さんともつながることができました。そういった利点を活用したら、場所は関係ないと思いますよ。
取材・文/山本二季