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ヘルスケア 2023-08-30

月1500万売上の美容部員が目指した「数字の圧のない」サロン。「近悦遠来」を実現「facial & body care salon lampo」

目の前のお客さまを喜ばせたい。でも売上ノルマがあるし、施術時間は限られている。接客業に真摯に向き合う人ほど、ぶつかる壁ではないでしょうか。

「facial & body care salon lampo」のオーナーセラピストの横澤美穂さんも、そのひとりでした。某大手企業の美容部員時代に数字を愚直に追い、月1500万円の売り上げを達成。全国の店舗で1位という華々しい結果を残します。しかし売り上げを追うことが本当にお客さまのためになっているかと悩み、その後お客さまファーストを実現するために独立。「facial & body care salon lampo」を開いたそうです。横澤さんの思いはお客さまに届き、近くの人を喜ばせることで遠くからも人がくる「近悦遠来」を実現。開業後すぐに、2カ月先まで予約の取れない人気のサロンとなりました。

前編ではどのようにしてお客さまファーストを実現しているか、後編では周囲には山しかないという自宅サロンで開業し、オープンと同時に予約が埋まる状態をどのように作ったのかを伺います。

今回、お話を伺ったのは…

横澤美穂さん
「facial & body care salon lampo」オーナーセラピスト

大手企業の美容部員、個人のエステ化粧品販売店を経て、お客さまファーストを実現したいという思いから独立。ボディにアプローチするとフェイシャルにも大きな影響があることを実感し、深層部リンパ、整体、リラクゼーションを組み合わせた独自の施術を生み出す。

当初は自宅サロンの形態で開業。周囲を山に囲まれた場所にも関わらず、オープンからすぐに、2カ月先まで予約のとれない人気サロンとなる。慢性的に予約が取りづらい状態だったため、2年後に店舗に移転。現在は4名の仲間とともに、お客さまの心と体をゆるめることに邁進している。

instagram:@lampo_yokozawa

隣の店舗を変えた「顧客満足度」重視の接客

スタッフが売上を追わず、楽しみながら働くことは、お客さまの居心地のよさにもつながると横澤さん

――独立のきっかけは?

本当の意味でのお客さまファーストを実現したいという思いでした。とくに美容部員の店長時代は徹底的に数字に向き合って、月に1500万円売上、全国1位の記録を出しましたが、その後退職しました。シンプルなお手入れしか必要のないお客さまに、ややこしいお手入れ方法をおすすめしたり、売らなければならない商品が決まっていたり。とにかくどう売上を上乗せするかを考える日々に、心身ともに疲れてしまったんです。

その後、エステ化粧品販売店でもやはり同じようなことがあって、売上を追わない方が、お客さまもスタッフも幸せになるのではないか。お客さまにとって本当に必要なものだけをお伝えし、それを使ってお客さまが健康に、美しくなるお手伝いをしたいという思いが日に日に強くなっていきました

――売上を追わないことでみんなが幸せになれると。

はい。そのことに気付いたきっかけがありました。美容部員として働いていたときに、私たちの隣のお店の経営方針が変わって、ボーナスの査定基準が売上ではなくて顧客満足度に変わったことがあったんです。そうしたらお店の雰囲気ががらっと変わって。みんなすごく楽しそうに仕事をしているし、人間関係もギスギスしていない。その変化はお客さまにも伝わっているようで、心からお買い物を楽しんでいるようでした。その様子を見て「数字の圧がない」ことが、どれだけ大きな効果をもたらすか、よくわかったんです

――開業後すぐに、2カ月先まで予約のとれないサロンになったとお聞きしました。

おかげさまで、そのような状態を作ることができました。スタッフにも売上ノルマは課さず、提案や意見があれば伝えやすい環境を意識的に作っていて。今はオープン当初から誰ひとり欠けることなくこのサロンで働いてくれています。最近、このサロンに遊びに来てくれたセラピストの友人が「このサロンは『近悦遠来』だね」と言ってくれて。中国のことわざで「近くの人を喜ばせると、遠くからも人がきてくれる」という意味だそうで、まさにこのサロンには遠方から来てくださるお客さまもとても多いんです。

――具体的にはどのようにして実現しているのですか?

大切にしていることはたくさんあるのですが、大きく分けると4つでしょうか。1つ目にリラックスできる環境を作ること。2つ目に事前カウンセリングによってお客さまを知り、本当に必要な施術をすること。3つ目に施術によってお客さまに効果を実感してもらうこと。最後にアフターカウンセリングを行い、施術が本当に必要なことだとわかってもらうことです。これらを丁寧にやろうと思うと時間がかかりますが、お客さまにもスタッフにも時間を気にしてほしくないので、1枠4時間、1日2枠のみの受付にしています

事前カウンセリングは1時間かかる場合も。お客さまを徹底的に知る

お客さまが体だけでなく、心までゆるまるように、細部に渡って心を配っているという横澤さん

――1つ目からお聞きします。どのようにしてリラックスできる環境を作っているのですか?

お客さまの気持ちを汲み取ることにつきます。お客さまがサロンに入ってきてから、お帰りになって見えなくなるまで、リラックスできているか、不快に感じていることはないかということを、言葉、表情、体を通してよく観察します

たとえば寒さ。眠れている方の場合は、そこまで寒いことはないと思うのですが、眠れていないときは温度が快適か何度か聞きますし、肩と足先はさりげなく何回も触れて温度を確かめます。自分の手が冷たくないかも確認しますね。もう1枚かけるものがあったほうが安心できるかもしれない、呼吸が深くできているかなど、さまざまなことに目を向けながら、心までほぐれる環境作りを徹底しています。

――事前カウンセリングでこだわっていることは?

お話したくないお客さまもいるので見極めながらになりますが、とにかくお客さまを知ることが大事で、悩み、どんな生活をしているかなど引き出せれば引き出せるほどいいと思っています。初回のカウンセリングは、場合によっては1時間くらいかかることがありますね。もちろんお客さまの時間を確認しながらになりますし、足湯に入ってもらったりと施術をしながらのときも多いですが。

たとえば「身体で気になるところありますか?」と聞いたときに、「肩こり」と言われたら、そこで終わるサロンさんが多いかと思うのですが、私はそこから「肩こりはどんなときに感じますか?」、「日中はどんな姿勢でいることが多いですか?」、「差し支えなければお仕事も教えてください」という感じで3つも4つと質問を重ねていきます。そのときに一番大切なことは、事前カウンセリングで悩みを解決しようとしないことです

――解決しないとは?

たとえば「座りっぱなしだと肩こりが起きますよ」と伝えてしまったら、もうお客さまから聞き出せる情報はなくなってしまいますよね。なので解決策を先には言わず、お客さまの話すことをまずは聞きます。そうすると情報が増え、その方の悩みがどこから生まれてくるのか予想がつきますし、必要な施術も見えてきます。お聞きした情報を全部書き出すので、長く通ってくださっている方のカルテは真っ黒です(笑)。

――ほかにもカウンセリングで心がけていることはありますか?

カウンセリングシートを書いてもらうのですが、最後に「今日終わったあとにどんな自分になっていたいですか?」という質問欄を作っています。これは他のサロンさんのカウンセリングシートにあった質問を、許可をとって真似させてもらっているものです。サロンは体をほぐす、癒す場所でもあるのですが、なりたい自分を実現する場所だとも考えていて、この質問によって本当にお客さまが求めていることを知れると思っています。回数を重ねれば、お客さまがどんな自分になりたいか、何を求めているか感覚で分かってくるのですが、初回の方の場合は分からないことも多いので、それを感じ取るための質問です。

なぜ今回の施術が必要だったのかを、アフターカウンセリングで強調

施術にもこだわっており、リラクゼーション、深層部リンパ、整体の3つを組み合わせて横澤さんが作り上げた独自のメニューとなっている

――アフターカウンセリングにはどのような意味があるのですか?

事前カウンセリングで知った悩みをどう解決したかを説明し、お客さまにとって今日の施術がなぜ必要だったかを知ってもらうためです。お客さまにとって必要な存在になるためには、ただ「施術が気持ちよかった」だけではだめで、必要性を感じてもらうことが大事だと思います。施術後の説明でよくあるのが、「ここが凝ってましたね」とか「このあたりがすごく硬かったです」っていうような説明で終わってしまうこと。でもお客さまはそれを聞いただけだと、今回の施術が自分にとって本当に必要だったかは分からないですよね。アフターカウンセリングで言語化することを、とても大切にしています。

――ちなみに売上ノルマはないとのことですが、お客さまに商品やメニューのおすすめはしないんでしょうか?

無理におすすめはしませんが、プロとして頼ってもらうためには、お客さまに必要な提案はちゃんと伝えることがとても大事だと思っています。ただ伝え方は気を付けていますね。お客さまはエステ通いをしていた方も多いので、何回も通わされるんじゃないか、商品をとにかく買わされるんじゃないかと警戒している方もいらっしゃいます。

たとえば「2週間に1回通ったほうがいいと思います」と直球でおすすめするのではなくて、「お客さまに似ているケースで、2週間に1回通ってもらって改善したケースがあったんですよ」という感じで。断りづらくて通うのをやめてしまうお客さまはとても多いので、きちんと提案もしつつ、断ることを負担に感じないようにしています。もちろんお客さまがサロンにかけられる金額もそれぞれなので、お客さまのことを知って、状況を見極めながら提案することも大事だと思います。


後編では、周囲を山に囲まれた郊外の自宅サロンとして開業した「facial & body care salon lampo」が、どのように集客を行い、開業と同時に予約が埋まった状態にすることができたのかを伺います。効果を発揮したのが、開業までの1年をかけて行った広報活動。ポイントは共感を集めるブログと居酒屋のトイレだそうです。後編もお楽しみに!

Salon Data

facial & body care salon lampo

住所:愛知県岡崎市本宿町一里山15

撮影 stella mama

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