介護福祉士の国家試験に落ちる人は珍しい? 落ちてしまう理由と合格を目指す5つの方法
国家資格の一つでもある介護福祉士は、ほかの国家資格に比べて取得しやすいと言われていますが、綿密な計画を立てて勉強していないと当然落ちてしまいます。
今回は、介護福祉士試験の合格を目指したものの落ちてしまった人をはじめ、これから目指そうと検討する人へ、落ちてしまう理由と合格を目指す方法を紹介します。
介護福祉士の国家試験に落ちる人は珍しいの?
実際、介護福祉士の資格の具体的な合格率はどの程度なのでしょうか。ここでは介護福祉士の国家試験に落ちる人は珍しいのか、合格率とあわせて紹介します。
国家試験の合格率は約7割!
公益財団法人社会福祉振興・試験センターによると、令和5年に実施した介護福祉士国家試験の受験者数は7万9,151人で、合格者数は6万6,711人でした。合格率は84.3%ととても高く、10人中約8人が受かる計算です。
また、厚生労働省のデータで令和1年から最新回の令和5年までの合格率を絞って見てみると、平均は70%台と高いことがわかります。
令和1年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 | |
受験者数 | 92,654人 | 94,610人 | 84,032人 | 84,483人 | 83,082人 |
合格者数 | 65,574人 | 69,736人 | 58,745人 | 59,975人 | 60,099人 |
合格率 | 70.8% | 73.7% | 69.9% | 71.0% | 72.3% |
なお、同データによると平成元年に実施された第1回からの総受験者数は271万7,955人で、合格者数は153万9,704人と記載があり、合格率は56.6%となっています。
このことから、回を重ねるごとに合格率は上がり、近年では70%台が目安になっているものの、全体的な合格者数から見ると、落ちる人がいても珍しくない資格と言えるでしょう。
引用元
厚生労働省:介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移
公益財団法人社会福祉振興・試験センター:第 35 回介護福祉士国家試験の合格発表について
介護福祉士の国家試験に落ちてしまう理由とは?
7割の合格率があるということは、10人中3人は落ちる人がいるという介護福祉士の国家試験。では、試験に落ちてしまう具体的な理由にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは考えられる理由を7つ紹介します。
1. 勉強不足・勉強時間が足りていなかった
養成学校に通っている人やまとまった勉強時間を確保できる人にとっては、そこまで難しい資格ではありません。
しかし、仕事や家事と並行しながら取得を目指す人の場合、体力と勉強時間の兼ね合いから十分な勉強をすることができず、落ちてしまうことがあります。
2. 合格率の高さで油断していた
7割の合格率があると言っても、介護福祉士は国家試験のひとつ。合格率の高さを過信したために、落ちてしまう人も少なくありません。
3. 選択式だから解きやすいと思っていた
介護福祉士の試験は五肢択一式の選択問題です。そのため、選択式だから簡単に受かるだろうと過信し勉強をおろそかにすると、当然ながら試験に落ちてしまいます。
4. 実務で馴染みのない科目に苦手意識があった
介護保険施設で働いたことがない人であれば介護保険に、病院で働く人はデイサービスや居宅サービスと関わりがなく、これらの科目に苦手意識を持つことがあります。
特に仕事や家事と並行して勉強する人にとっては、まとまった勉強時間は確保しにくいもの。そのことから、苦手科目をきちんと理解しないまま試験に臨んでしまい、落ちてしまうといった人も少なくありません。
5. 実務経験があるため油断していた
介護福祉士の試験には福祉制度や法律など、実務以外も出題範囲に含まれています。さらに、実務経験があっても難しい問題も出るため、実務経験があっても、入念な試験対策をしないと落ちてしまうと言えるでしょう。
6. 勉強方法が間違っていた
過去問にほとんど手を付けなかったり、参考書すべてを丸暗記しようとしたりすると試験に落ちる可能性があります。
過去問は、過去の介護福祉士試験で出題された問題をまとめたもの。そのため過去問に手を付けないと、出題の傾向と対策がわからないままになり、落ちてしまうことも少なくありません。
また、模擬テストを受けていない人も、普段と違う環境で集中することができず、「時間が足りず問題をすべて解けなかった」などの結果につながり落ちることがあります。
7. 本番でのプレッシャーに負けてしまった
試験前日から極度の緊張によって実力を発揮できない人や、緊張しすぎたことで頭が真っ白になり、問題が解けなくなる人もいます。プレッシャーに弱いと自覚する人ほど、緊張に打ち勝つ対策をしないと落ちてしまうでしょう。
国家試験合格を目指す5つの方法を紹介!
ここからは介護福祉士試験合格を目指す人へ、効果的な方法を5つ紹介します。前章で紹介した落ちてしまう理由とあわせてチェックし、自身に合わせた方法を取り入れましょう。
1. 勉強方法を見直す
試験前にしっかりと勉強したのに落ちてしまった人は、以下2つを試してみましょう。
過去問を利用しよう
まずは過去問を利用しましょう。過去問にはこれまで頻出した問題が集約されています。
むやみにテキストを丸暗記しようとせず、過去問を解いて効率よく介護福祉士試験のポイントを身に付けましょう。
スクールや通信講座を利用しよう
独学での試験対策を難しいと判断したときは、スクールや通信講座を利用するのがおすすめです。
スクールや通信講座によっては、「介護福祉士試験対策」といった出題範囲を集中的に学べる講座もあるので、無駄のない学習ができます。
2. 計画的に勉強する|長期間で知識を定着させる
計画的に勉強し、長期間で必要な知識を定着させるのも効果的です。合格率が7割と高くても、短期集中で学ぼうとするのではなく、綿密な計画を立ててコツコツと知識を養いましょう。
なお、自分で試験勉強の計画を立てにくいときは、「介護福祉士試験対策」などを用意したスクールや通信講座を利用するのがおすすめです。
3. 実務で触れない内容こそ積極的に取り組む
実務経験があるからと油断していると、実務とは関係のない介護保険や法律の科目で点を取れず、落ちてしまいます。
実務経験だけに頼るのではなく、実務で触れない内容こそ集中して勉強し、すべての科目で点を取れるよう知識を養っておきましょう。
4. スキマ時間を利用する
家事や仕事と並行して資格取得を目指すなら、机に向かえないスキマ時間もうまく利用しましょう。
たとえば、公共機関での通勤が主な人は、介護保険や法律の仕組みなど苦手科目を暗記カードに書き、「1日◯個覚える」のように目標を立ててみてください。そうすることで、短い時間であっても着実に知識を養えます。
5. リハーサルを行う|模擬試験に参加する
本番のプレッシャーに負けてしまった人は、本番さながらのリハーサルである模擬試験に参加しておくことをおすすめします。
また、試験は厳密な時間管理のなかで行われることから、自身の解答時間を把握して臨むことが大切。難しい問題が出題されてもきちんと時間配分ができるよう、模擬試験を受けておきましょう。
介護福祉士の国家試験不合格は珍しくない!
介護福祉士の国家試験に落ちる人は、そこまで珍しくはありません。その理由は、7割と高い合格率であるためにあまり勉強しなかったことや実務経験があるからこその油断、家事や仕事との並行によってまとまった勉強時間が確保できなかったなど、人や状況によってさまざまです。
7割と高い合格率の介護福祉士ですが、出題範囲は介護に限らず、介護保険や法律も含まれています。資格取得を目指す人は、本記事を参考に自分にあった勉強方法を試してみましょう。