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ヘルスケア 2024-10-21

「あきらめたら負け!」をモットーに困難を撃破!【もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事Vol.162】東北沢整骨院 奥田大介さん#1

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

今回は、東北沢整骨院の院長、奥田大介さんにお話しを伺います。

前編では、トレーナーを志して鍼灸師の資格を取得したこと、休日返上でトレーナーとしての経験を積んだこと、30歳までにご自身の整骨院を開くために努力したことなどについてお話しいただきました。

お話しを伺ったのは…
東北沢整骨院
院長 奥田大介さん

鍼灸師の資格を取得して20年、柔道整復師となって13年のキャリアを持つ。資格を取得後、数カ所の整骨院に勤務。そのかたわら社会人サッカーチームのトレーナーとしても活動する。整形外科病院で研修した後、2010年ご自身の整骨院を開院する。

サッカー選手のトレーナーになりたくて鍼灸師の道を選択!

14年前、東北沢の駅近くに開業。ひっきりなしにご近所の方たちが訪れ、なくてはならない存在に。

――奥田さんがヘルスケア業界に進んだきっかけは何ですか?

身体を動かすことが好きで、学生時代はサッカーやバスケなどいろいろなスポーツをやっていたんです。なかでもサッカーが好きで、将来はサッカーに携われる仕事がしたいなと思っていました。

――それは選手としてではなく?

選手としては、やはり難しいので裏方としてサポートできれば…と考えていました。

――トレーナーになるために、まずは鍼灸師になろうと思ったのはなぜですか?

雑誌か何かで読んだのかな。トレーナーとして活躍している人が鍼灸師の資格を持っていて、医療でサッカーに携わっているのを知りました。

――奥田さんが高校生の頃はまだ情報が少なくて、「なりたいけど、方法が分からない」人が多かったと思います。でも、最短の道を選択できたのがすごいです。

トレーナーになるためにどんな勉強が必要なのか、自分なりにいろいろ調べました。運動について学べる大学も受験しましたが、大学ではトレーナーではなくて教員になるための勉強がメインなんですよね。
トレーナーを養成するような専門学校もあって、説明会に行きましたが、「ここを出たら必ずトレーナーになれる!」という感じではありませんでした。

――鍼灸師の資格を取って、トレーナーの夢はどうなりましたか?

鍼灸院や整骨院で働きながら、学校や職場の先輩にトレーナーをしている方を紹介してもらって、現場でいろいろ学ばせてもらいました。

――お勤めしながら?

そうです。休みの日を利用したり、試合のある時間帯だけ抜けさせてもらったり。ほぼ休みなく、ず~っと仕事をしている感じですね(笑)。身体が休まる時間がなかったので、体力的にキツかったです。

――鍼灸師の資格を取った後、柔道整復師の資格を取ったのはなぜですか?

トレーナーとして現場に出たとき、選手がケガをしたときに鍼灸師ではやれることに限界を感じたんです。試合が終わった後のアフターケアをするにはいいんですけど。
柔道整復師の資格があれば骨折や捻挫といったケガにも対処できるので、資格を取ろうと決心しました。
それに、この資格を持っていれば、開業したときに保険診療ができるので、将来を見据えて取っておくべきだと思いました。

――また学校へ?

そうです。午前中は学校へ行って、午後から鍼灸院や整骨院で働きました。

――トレーナーのお仕事は?

体力的に持たなかったので、柔道整復師の資格を取ろうと決めた時点で、トレーナーの仕事はお休みしました。

「30歳で独立」という夢を実現させるために、積極的に勉強会や研修に参加

――柔道整復師の資格を取ってから、トレーナーのお仕事は?

この資格を取ったら「すぐ開業しよう」と思っていたので、トレーナーの仕事はもうやらなくなりました。

――開業するには、金銭的にも技術的にもハードルがありそうですね。

自分の中で30歳までに開業しようと決めていたので、逆算して仕事をしていました。開業してしまったら勉強会や研修に参加する時間はないだろうと思って、積極的に通っていました。今考えると、ちょっと怪しい会もありましたけど(笑)。

――そうやって学んだことを身につけていらしたんですね。

実践してすぐできることもありましたが、コツをつかむまでにむちゃくちゃ時間がかかることもありました。ツボの位置を教わっても、そこに加える力だったり、鍼をうつ角度だったり、打っている時間だったり。本当に繊細なことなので、実際に試してみて効く人と効かない人がいるんですよ。それを探って見つけていくのが、めちゃくちゃ難しかったですね。

――そのほかにはどんなことを?

一か所の施術院である程度仕事ができるようになって、患者さんがついてくれて、院長も実力を認めてくれるようになったら、次の治療院に転職していました。

――え!? 一か所でじっくり学ぶのではなく?

いろいろな技術があるので、いろいろな所でいろいろな先生の技術を見たかったんです。それで2~3年は一か所の治療院で働いて、スタッフの中でNO.1になったら次へ行くと決めました。

――院長先生は引き留めたでしょう?

「次はこういう技術を学びたいので」って説明をすると、「それなら仕方ないな」と。円満に送りだしてくれました。

――転職する理由を説明するんですか?

そうです。例えば、今の治療院が慢性の痛みを持つ患者さんが通っているとしたら、「次は外傷やケガの患者さんが多い治療院で勉強したい」というように説明しました。

――そこまで正直に言われたら、「ダメ」とは言えませんね。でも、患者さんって、そんなに偏っているものなんですか?

例えば、通っている治療院で神経痛が治ったら、自分と同じ症状の人に「あそこなら治るよ」って勧めるじゃないですか? そんな具合に治療院ごとに特徴があるんですね。

――どの治療院にどんな患者さんが多いか、どうやって調べたんですか?

友人や先輩、後輩に聞いたり、院長に「教えてください」ってお願いしたりしました。

――そうやって学びを深めていて、止めたくなりような辛いときはなかったんですか? 

トレーナーをやっていたときは休みがなくて本当に辛かったですし、勉強会に出て練習しても上達しないときは情けなかったですね。でも、「ここで止めたら負け」だと思っていたので、気合いで乗り越えました(笑)。

――「止めたら負け」というのは、なぜ?

社会人になるまで、壁にぶつかるとすぐ諦めていたんです。逃げちゃうタイプだったんですね。でも自分を信頼してくれる患者さんと向き合うようになって、逃げちゃダメだ、すぐ止めちゃダメだという想いがどんどん芽生えていきました。それからはもう「何があっても絶対に逃げない」という想いで働いてきました。

サッカーのトレーナーを目指して鍼灸師の資格を取り、さらには柔道整復師の資格まで取得した奥田さん。後編では東北沢にご自身の整骨院を開業したこと、開業にあたって奥田さんがこだわったこと、治療家として心がけていることなどを伺います。

撮影/森 浩司

information

東北沢整骨院
住所:東京都渋谷区上原3-31-14 マガザンイシイ・パート1
電話:03-5478-0899

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