「ハーブボール」で施術の幅が広がり、自身のやりがいもお客様満足度もアップ【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.69 アロマセラピスト 櫻井ひとみさん】#1
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。今回は、駅からほど近くに隠れ家のように佇む、「アロマサロンIMyMe」にてハーブボールやアロマオイルを使用した施術を行なっている、アロマセラピストの櫻井ひとみさんにインタビュー。
前編では、アロマの世界に進んだ経緯やハーブボールとの出会いとその魅力、一日の流れやお客様のお悩みの傾向についてお伺いします。
教えてくれたのは…
アロマセラピスト 櫻井ひとみさん
自律神経失調症を患ったことをきっかけに、アロマの世界へ。アロマとハーブを専門に販売する小売店での接客やリフレクソロジーの施術を経たのちスクールに通い、資格を取得。レンタルスペースにて個人サロンを開業。現在は自宅の一室でアロマオイルトリートメントやハーブボールなどの施術を行う。
「ハーブボール」との偶然の出会いによって、サロンの可能性が広がった
――アロマ業界に興味を持ったきっかけについて教えてください。
20代の頃に昼夜逆転の生活を送っていて、体調を崩したことがきっかけです。
その頃の私はちょっと調子が悪いと感じることがあっても、それが「当たり前」と特に気にせず過ごしていたのですが、そのうちだんだん体調が悪化してしまって…。結果、自律神経が乱れてしまい、めまいや食欲不振などの症状に悩まされるようになりました。病院から処方された薬を飲んでみるも、なかなか症状が改善しなくて「どうしよう」と思っていた矢先、たまたまアロマテラピーの本が目に入ったんです。その瞬間、私に必要なのは「これだ…!」と感じました。
――その出来事をきっかけにアロマ業界に進まれたのですね。
そうですね。薬で治らなかった症状が、アロマと出会ったことで改善に向かっていくようになって。アロマによって昼夜逆転生活も見直すことができ、私にとってアロマは欠かせない存在になっていきました。
はじめに働き始めたのは、ハーブティーやアロマオイルなどを専門に販売する小売店。商品を販売するだけではなくリフレクソロジーのマッサージも行なっていましたが、勤めて約10年目くらいに閉店することになってしまったんです。
――長く勤めたのですね。その後のサロン開業へ至った経緯について教えてください。
同時期に結婚をしたのですが、専業主婦だけでは物足りないなと感じていました。新しいこともしたいし、もともと持っているアロマの知識を活かしたいと考えて、アロマの基礎やボディマッサージが学べるスクールへ通うことに。卒業後は、雇用されるよりも自由に動けて可能性が感じられる働き方を求めていたので、「自分で開業しよう」と勢いで始めました。
――開業当時からハーブボールを主とした施術なんでしょうか?
いえ、以前はアロマオイルトリートメントと呼ばれるエッセンシャルオイルを使用したトリートメントを中心に施術をしていて、ハーブボールを取り入れ始めたのはちょうど1年前です。
――最近だったのですね!なぜ、ハーブボールを?
開業してからしばらくはアロマトリートメントを主軸に施術をしていたのですが、長い目でサロンを経営していくと考えたとき、「継続して通っていただくことが必要になってくる」と。そのためにはリラクゼーションだけではなく、「効果が肌で感じられる施術があったらいいな」と考えていた時に、偶然出会ったのが「ハーブボール」だったんです。
以前通っていたスクールの先輩と会う機会があって、その方がハーブボールの協会を創設したお話を耳にした後、ご縁があって学ぶことに。実際に施術を受けてみると「ああ、これだ!」と感じたんです。効果が実感できたことはもちろん、自分の直感を信じてメニューに加えました。
多くのお客様が「リラクゼーション」のみならず、確実な効果を実感
――櫻井さんがサロンで取り入れたハーブボールについて詳しく教えてください。
私が学んだ協会では、ハーブボールを「蒸す」のではなく「焼く」方法。通常は、キリ(ハーブボール)経絡トリートメントと呼ばれていますが、サロンではわかりやすく「ハーブボール」と呼んでいます。「経絡」という身体にある、目には見えないツボの通り道に沿うように当てていくことで効果を実感できます。
丸めたさらしの中は、ターメリックをはじめとしたスパイスやハーブを粉砕したパウダーを混ぜ合わせたものを入れ、100度に熱したホットプレートで温めてから熱々の状態で足元から体に乗せたり流してみたり。温度が下がってきたら、首のあたりからコリをほぐすイメージで圧をかけていきます。
――どんなところが魅力なんでしょうか?
ハーブボールの魅力は、アロマオイルトリートメントと違って、リラクゼーション効果はもちろん他の効果も実感できるところだと感じます。継続していただくとより効果は持続しますが、一度施術をしただけでも効果を実感してくださる方が多いですね。
例えば、足の冷えが改善されて「まるで温泉に入った後のような気分」と言われることも。その日以降も温かさが持続する感覚を味わっていただけているようです。
――「癒しだけではなく効果も実感できる」というところが魅力なのですね。
そうなんです。そもそも使用しているハーブやスパイスは発汗作用やデトックスにも良いとされているもので、身体に不要な要素を排出してくれます。溜め込みがちな生活習慣の方でも循環が良くなって、スッキリとした感覚を実感いただけます。
お客様の気分や体調を尊重し、それぞれの悩みに直結する施術を
――現在の1日の動きについて教えてください。
だいたいの流れですが、1日に1〜2組の施術を一人当たり90分。リラックスして施術を受けていただけるように、足湯をしていただきながら緊張をほぐすように会話をするなど、施術の時間以外に約1時間ほど頂戴しています。
アロマオイルトリートメントの施術をご希望の方ですと、精油をお客様ご自身でお選びいただくことも含めて時間を設定しています。効能を口頭でお伝えするより、実際に嗅いで選んでいただいた方がその人に必要な香りを調合できるためです。身体が欲している香りってその時に必要としている成分なので、その感覚は大切にしていただきたくて。「お客様のその時の感情や気持ちを尊重したい」という気持ちから、選んでいただくという選択肢を提供しています。
――どんなお悩みのお客様が利用しますか?
やはり、肩こりや腰痛などの慢性疲労の方が多いです。お客様の多くが主婦層ということもあり、家事などで疲労が溜まっているようですね。あとは、お子さんを産む前の体型に戻らないとか、コロナ禍で運動量が減り、太って体重が戻らない…など、体型を気にされる方も。
以前、実際に体型を気にされたお客様がいらっしゃったのですが、継続して通っていただいた結果、ボディラインがすっきりしたことがあります。女性の月のリズムに沿って不要なものを排出すれば、代謝が良くなって体質も変わりますから。継続することで、自然とそれに伴った効果が感じられるところから、ハーブボールの良さをいっそう感じていただけるはずです。
過去に自分がアロマで救われたように、現在はアロマで救う側になった櫻井さんが、熱心に「ハーブボール」に打ち込む姿が伺えました。後編では、サロンのコンセプトや苦労したこと、今後目指す方へのアドバイスをお聞きします。
取材・文/東菜々(レ・キャトル)
撮影/喜多 二三雄