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介護・看護・リハビリ 2025-05-05

みんなの笑顔が見たくて食養生講師に【介護・看護・リハビリ業界のお仕事企画 看護師×食養生講師 織戸せい子さん】#2

業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載「介護・看護・リハビリ業界のお仕事企画」。今回は、看護師で食養生講師の織戸せい子さんにお話を伺います。

前編では、国立総合病院の小児科の看護師や派遣看護師時代、17年間勤務した重症心身障害児ケア施設でのお仕事についてお伺いしました。この後編では、お父様を病気で亡くした経験から始めた食養生講師の活動を教えていただきます。

お話を伺ったのは
看護師×食養生講師
織戸せい子さん


看護学校卒業後、神奈川県内の国立総合病院小児科に勤務。社会福祉法人 聖テレジア会 鎌倉療育医療センター「小さき花の園」には17年間勤務し、重症心身障害児のケアにあたる。現在は「小さき花の園」、NPO法人ハビリテーションケア(多機能型事業所LEO)で看護師として働く他、「心も体も元気になる」食養生講師としても活動中。

インスタグラム

みんなの笑顔が見たくて食養生講師に

生前、男の料理教室に通っていたお父様が愛用していたエプロンをつけて。

――織戸さんは食養生講師としても活動されていますね。

はい。昔から日本に伝わるおばあちゃんの知恵袋みたいな食事の知恵をお伝えしています。自分の不調を自分で対処していくための食材の選び方から調理法、レシピまで。中でも「重ね煮」と呼ばれる調理法は、油も砂糖も化学調味料も使わないのに驚くほどおいしい料理が作れます。

――「重ね煮」ですか?

素材を一定の順序で層のようにお鍋に重ねていくことで、本来野菜が持っている自然の旨味を最大限に引き出してくれます。例えば、太陽に向かって上に伸びる葉野菜をいちばん下に、芋類を真ん中、下に向かって成長する大根など根菜類を上に重ねることで出汁を入れなくてもすごく美味しい味噌汁が作れるんです。

――そんな調理法があるのですね。そもそも織戸さんが食養生講師になったきっかけは?

父がコロナ渦に入院したんですが、わたしはフルタイムの仕事でなかなか帰れず、父の最期に立ち会えなかったんです。そのモヤモヤをどこにぶつけたらいいのか分からず。もう自分の免疫力を高めるしかないんだということに気づいて。そんなときによく行っていた親子カフェの店主が養生ごはんの先生だということを知ったんです。

食養生を学ぶうちに、これを知っていたら父は病気にならずにすんだのかも。不妊治療をせずとも子どもを授かれたのかも。これはみんなに伝えたいと思いました。

――「食養生」はどんな場でお伝えしているのですか。

親子クッキングを開催したり、エステサロンやカフェでのワンデー講座では、お母さんや赤ちゃんの食事相談にのったり、オンラインでは漢方の先生とコラボした「漢方×食養生コラボ講座」も定期開催しています。

以前は料理が苦手だったという織戸さん。

――食養生講師のお仕事は最初からスムーズでしたか。

いえいえ。集客やインスタグラムはもちろんパソコンで資料を作るのも、ずっと座ってるのも人前でしゃべるのも苦手だったので、講師なんてまったく向いてないんじゃないかと思っていました。でもオンラインのヨガサロンでお話させてもらったのをきっかけに、人前で話すのがちょっとずつ大丈夫に。そのうち自分が参加するサークルでもお話する機会をいただき、そうやってだんだん広まっていきました。お伝えすると喜んでくれる人がたくさんいることがうれしくて。結局みんなの笑顔が見たいんですよね

――看護師への志望動機と通じるものがあるのですね。今後、食養生講師として考えていることはありますか。

子どもたちと一緒にご飯を作るこども食堂をやりたいです。子どもたちがご飯を作っている間に、一緒に来たママたちがアロマやマッサージで癒されたり、そんな心地いい空間がつくれたらいいですね。というのは、重症心身障害児施設でわたしたちがどんなにがんばっても、子どもたちはママが面会に来てくれたときがいちばん嬉しそうなんですよね。だからママを元気にしたくてこの仕事を始めたのもあります

看護師の仕事は幅広く、いろんな働き方がある

織戸さんは小2男子のママ。「めいっぱい息子をかわいがってます」

――小学生のお子さんがいらっしゃるそうですが、仕事と子育てはどうやって両立されてきたのですか。

ママになってからも「小さき花の園」で夜勤していたので、そのときは育児を夫にお願いしていました。夫は介護福祉士で子どもをお世話するのが大好きだし得意。「子育てさせて」というタイプなので全面的にお任せでした(笑)。

――パートに切り替えたのはいつ?

子どもが小学生に上がるタイミングです。それまでは保育園に預けてフルタイムで働いていましたが、帰宅してから子どもを寝かせるまでずっと「早く、早く」とせかしていて、子どもとゆっくり話す時間もない生活に疲れてしまって。もっと子どもとの時間を大切にしたいと思い、一旦正職員から離れました。

19時まで保育園に預けていたのが、16時にお迎えに行けるようになって、明るいうちに帰れることがとっても嬉しかったです。

――子どもに関わる仕事をしながら、自分の子育てするのは大変じゃないですか。

体力面と時間のやりくりが大変ですね。利用者さんを抱っこして移動したりするので五十肩になってしまったことがあって。退職まで正職員として働くつもりでしたが、高齢出産だったこともあり、子どもが独立するまでは自分も元気でいないといけない。パートに切り替えたのはそんな理由もありますね。

それと、子どもは急に熱を出すので、夫と交代で休める方が休みます。でも感染症の場合、だいたい3人一緒にもらってしまうので結局みんなで休むことに。職場にお休みを伝えるのは心苦しいんですが…。

――お子さんが具合が悪いときはやっぱりお仕事中も気になりますよね。

いま何してるかな。早く会いたいなと気になりますが、仕事で関わる子どもたちも大好き(笑)。うちは一人っ子なので、息子にも兄弟体験をさせたくて職場に息子を連れていったり、ファミリーサポートの保育スタッフに登録して息子にも手伝ってもらったりしています。保育園に一緒にお迎えに行って、兄弟みたいに手をつないで帰ってきたり。

――織戸さんは、仕事も子育ても上手にミックスして楽しんでますね。最後に看護師を目指す人にアドバイスをお願いします。

わたしも看護師を目指したころは、救命救急とかメディアでとり上げられるような仕事しか知らなかったのですが、看護師の仕事は想像以上に幅広く、いろんな働き方があります。看護学生時代も施設への実習はあるのですが、せいぜい1~2日くらい。病院だけにこだわらず、ぜひいろんなところを見てほしいです。

現役の看護師さんにも同じことを伝えたいですね。「ここでずっとがんばらなきゃ」と思っている人もいるかもしれませんが、他の職場に異動したり、転職するのも全然あり。同じ国立病院でも先生が違えば、治療方法も薬も全然違います。いろんな職場があって、いろんな働き方があるので、ぜひ視野を広く持ってさまざまな可能性を模索してほしいと思います。

織戸さんの看護師人生が充実している理由は

1.大好きな重症心身障害児の施設で働くことをあきらめなかった

2.派遣やパートなどライフステージで働き方をチェンジ

3.キャリアを活かし、食養生講師としてもスタート

看護師の方を取材させていただくと、「看護師は病院に勤務するしかないと思っていた」という話をよく聞きます。でも織戸さんのように重症心身障害児施設や放課後デイサービスなど看護師の職場はさまざま。さらにフルタイム、派遣、パートなどライフステージに合わせて働き方をチェンジできるのも看護師の魅力ですね。

撮影/森末美穂
取材・文/永瀬紀子

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