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介護・看護・リハビリ 2020-06-12

パート、アルバイトとして介護業界で働くには

介護業界も他のサービスと同様に、アルバイトとして働く人がいます。「飲食店の店員ってアルバイトが多そう」などのイメージがあると思いますが、介護業界で働く人の雇用形態はどのような感じなのでしょうか。

訪問介護でのアルバイト数は正社員数の2.4倍に上りますが、施設でのアルバイトは正社員の5分の2ほどしかいません。実際、訪問介護では「フリーター歓迎」と大々的に謳っている企業も多いようです。ではなぜ、訪問介護ではアルバイトの割合が高いのでしょうか。

理由は簡単で、時給が他の介護職に比べて非常に高いことと、時間の融通が利きやすいということです。時給に関しては後の項目でお話するとして、労働者は時間の融通が利きやすいということを、そこまで求めているのでしょうか。次の項目で見て行きましょう。

アルバイトとして働く理由

正社員として働いている人、正社員を目指して求職活動をしている人からすると、アルバイトとして働いている人を見て「なんでわざわざアルバイトなんだろう? 社員の方が良いのに」と思うかもしれません。
しかし、アルバイトで働く人にはそれぞれの思いや目的があった上でアルバイトとして働いているのです。ここでは、リジョブで独自にアンケートを取った「アルバイトの介護職員として働く理由」を聞いてみました。

下位を大きく引き離した多数意見は3つ、「都合の良い時間に働きたいから」「家計の補助程度なのでアルバイトで十分だから」「正社員として雇ってくれる職場がないから」が、それぞれ20%以上を占めています。本当は正社員として働きたいけど、雇ってもらえないから仕方なくアルバイトとして働いている人は全体の22.1%であり、多くの人がアルバイトであることを望んで働いています。

子どもの世話が必要な主婦や、学生はアルバイトで働く方が都合は良いでしょうね。ちなみに介護業界でアルバイトする学生は、福祉・医療・看護師・保育士の学校に通っている人が多いようです。

希望に合うアルバイト先を探す方法

希望に合うアルバイト先を探すためにはまず、その「希望とは何か」をはっきりさせる必要があります。人によって職場に求める条件は異なりますから、まずはその優先順位を明確にしましょう。

<都合の良い時間帯に働ける職場を探す>
シフト制の場合、前以って申請すれば、ほとんどの施設では都合に合わせて働けるでしょう。
人手が足りなければ「来週の金曜日出勤して」なんて言われることもありますが、嫌であれば断ることもできるでしょうし、稼ぎたければ出勤すると良いでしょう。

ただ、普段から1日4~5時間くらいしか働いていない人が、「この日はフルで働きたい」と言っても、他の従業員の都合もあるため、働けない可能性は十分にあります。アルバイトだから融通が利くとは言っても、我儘が通用するわけではありません。
求人広告に「主婦・主夫歓迎」と書かれているような店舗では、既にそういう方たちが働いている実績があるので、子供を保育所に預けてから出勤するなどにも配慮してくれるでしょう。

<通勤が便利な職場を探す>
らくに通勤できることも、アナタが仕事を選ぶ要因のうちのひとつかもしれません。通勤が楽であることの条件に勤務先が駅から近いことがあげられますが、駅から近い場合は求人情報に「○駅から徒歩3分のアクセス」や「駅チカ」「駅ナカ」などと記載されているので、参考にすると良いでしょう。また、自家用車などの移動手段を持っている人は、通勤に車やバイクOKの職場を狙っても良いかもしれません。電車通勤にしても車通勤にしても、「交通費支給」は絶対条件ですよね。

<所持資格に合う仕事を探す>
いろんな資格が存在する介護の世界ですが、無資格OK・未経験OKの仕事も少なくありません。そのため、無資格者でも求職活動に困ることは少ないでしょう(※訪問介護業務は無資格ではできません)。実際、働きながら資格取得を目指す人もたくさんいます。
また、資格を所持していないと就けない職種もありますので、応募条件や給与・月給欄を確認して、あなたが活躍できる仕事を探しましょう。

<人間関係が良い環境の職場を探す>
いくら他の待遇が良くても、職場の間関係が悪いという理由だけで辞めてしまう人はたくさんいます。それほど人間関係は大切なのです。しかし、求人広告を見ただけでは人間関係が良いかなんてわかりません。「アットホームな雰囲気」と書いてあっても、それは書いた人の主観であり、求職者から見ても同じという保証はありません。

やはり、その職場の人間関係を知るには、職場を見学することが一番です。面接後、もしくは面接以前に施設の見学をさせてもらいましょう。そこで、従業員同士の会話や挨拶、先輩介護士が後輩に教えている状況を見るだけでも、人間関係を判断する材料になります。見学を拒否するような施設は応募対象から外しても良いでしょう。

また、オープニングスタッフを狙うのも良いでしょう。当然、従業員内の派閥もありません。良い人間関係を職場に委ねるのではなく、自分や同僚と一緒に作り上げることができるかもしれません。

<高給与の職場を探す>
次項で詳しく述べますが、介護の仕事の中でも訪問介護は他に比べて時給が格段に高く設定されています。そのため、訪問介護ではアルバイトの人が多いのですが、訪問介護アルバイトにも弱点はあります。訪問先から訪問先までの移動時間や、次の派遣先までの空き時間は時給に含まれませんし、利用者が急に入院したりお亡くなりなったりした場合、急に予定していた業務がなくなり、休みになることもあります。そのため、思った通りの給与が得られないかもしれません。
確実に高給を得るには夜勤の仕事を選ぶと良いでしょう。22時から翌5時までは日勤の1.25倍の時給になりますし、朝5時以降も早朝手当が付く事業所もあります。
また、副業OKの施設で、掛け持ちで働いて高給を得ている方もいらっしゃいます。

求職活動・応募

職場に求める条件によって、仕事を探すポイントが異なることはわかっていただけたかと思います。
しかし時給が高く、職場の人間関係も良く、通勤が便利な職場は当然ながら男性女性問わず人気が高く、スタッフが充足したらすぐ募集を打ち切ってしまう恐れがあります。
気に入った求人があれば、複数であってもすぐに応募することをオススメしますが、どうしても無理な場合は、応募可能期間終了予定や求人番号(仕事番号)を確認しておき、掲載期間が終了してしまわないように気を付けましょう。

履歴書

希望に添った事業所を見付けても、履歴書を正しく書けていないと採用契約になる確率は格段に下がります。

また、履歴書にこれまでの職務経歴を書く欄がある場合、正社員の経験もアルバイトの経験もどちらも記載しましょう。雇用形態によって経験値が変わるわけではありませんから。

面接

面接では、笑顔でハキハキ元気良く答えるようにしましょう。最初の印象であなたの株が上がりも下がりもします。

<服装>
「面接って言ってもアルバイトなんだから私服でいいよ」と考える方が多いようです。しかし、面接での服装は職種に関わらず、以下の通りですので覚えておきましょう。

仕事着 面接の服装
スーツ or 企業指定の制服 スーツ
私服 清潔感のある私服

 

原則としてこの通りです。面接時の服装に雇用形態は関係ありません。
どうしても不安な場合は、応募先に電話で確認しても良いかもしれませんが、人によっては「それくらい自分で判断しろよ」って思う方もいらっしゃいます。
基本は、上表の通りにしておきましょう。

<不安なことは聞いておく>
求人広告には載っていなくて、不安に思っていることは必ず面接の時に聞いておきましょう。例えば「研修サポートの期間や内容」「スタッフ同士の人間関係」あと「シフトは何週前に確定するのか」など、安心して働き始められるようにしておきましょう。
ただ、給与面に関してあまり突っ込んで聞くと「この人はお金ばかりに興味がある」と思われかねないので気を付けましょう。
また、事前に施設内見学ができていない場合は、面接後に施設内を見学させてもらいましょう。

<アルバイトだから聞かれることも>
面接官の中には「なぜ正社員じゃなくて、アルバイトの応募なの?」と質問してくる人もいます。面接官がなぜそのような質問をするのでしょう。面接官はあなたがアルバイトを希望する理由を
・仕事が嫌になった時に辞めやすいから
・正社員に比べて責任感が少なくて済むから
・将来のことを考えていないから
などと思っているのです。当然ですが面接官として「やる気がなくて、すぐ辞めるかもしれない人を採用したくない」と思っています。もし、この質問をされた時に「国家試験のための勉強時間を確保したいから」など、前向きな答えを準備しておきましょう。

よくある質問・相談

ここでは、パート・アルバイト関連のよくあるご質問・ご相談について回答していきます。

Q1.介護福祉士の受験に必要な「3年以上の実務経験」は、アルバイトの経験でも良いのですか?

A1.受験日前日までに「3年以上の実務経験かつ実働日数540日以上」が確保できていれば雇用形態は関係なく受験できます。また、実務日数は「日」で換算されるため、1日に8
時間以上働いても、1時間しか働かなくても1日と換算されます。

 

Q2.「パート」と「アルバイト」の違いって何ですか?

A2.意味は同じです。「パート」は英語の【part-time job】の略語で「短時間労働」の意味です。「アルバイト」はドイツ語の【Arbeit】から来たもので「仕事・労働」を意味します。つまりドイツ語のアルバイトには、短時間労働や非正規雇用という意味は存在しません。

 

Q3.面接で「退職の時は3か月前までに言うように」と言われました。これに法的根拠はあるのですか?

A3.法的根拠はありません。雇用の解約については民法627条の1項で、解約の申し入れから2週間で辞められることが定められています。3項では、6か月以上の期間で報酬が決められている場合(年俸制など)は、辞める3か月前に言う必要があると定められていますが、普通に雇用されている場合(正社員・アルバイト)には関係ありません。それでも、事業所の人員確保などの観点から、1か月以上前には伝えておきたいですね。

 

Q4.介護のアルバイトはどんな人が求められていますか?

A4.まず、業種に関係なく「長く続けられる人」を企業は求めています。介護職としては「忍耐強い人」「人(高齢者)と接する事が好きな人」「優しい言葉遣い人」が好まれる傾向にありますが、「奉仕をする事にやりがいを感じられる人」というのも大きな資質でしょう。

 

Q5.介護のアルバイトをするために資格を取りたいのですが、どんな資格が良いですか?

A5.介護職関係の資格はたくさんありますが、無資格の人はまず「介護職員初任者研修」を受講することをオススメします。ホームヘルパーとして働きたい人には必須の資格ですからね。その後は、目標の職種に合わせて実務経験を重ねて「介護福祉士」「社会福祉士」などの資格取得を目指しましょう。

 

Q6.求人広告には「しっかり教えます」って書いてあったのに、実際は初日2時間ほど先輩の作業を一通り見て「明日からは全部一人でやって」と言われました。

A6.さすがに2時間の研修だけでは不安ですよね。このような事にならないように、面接の際には研修がどのように行われるか(カリキュラムなど)を具体的に聞いておくと良いでしょう。

 

Q7.産休・育休はアルバイトでも取得できますか?

A7.法的にはアルバイトでも取得可能です。しかし、アルバイトでも産休・育休を使える事が就業規則に書かれていない事を理由に、取得できないこともあるようです。アルバイトとして入社する前に就業規則の内容を確認させてもらいましょう。
また、産休・育休を取得できても、休んでいる間は時給が発生しません。しかし、報酬の3分の2が出産手当金として健康保険から支給されます。必要な時が来たら、忘れず会社に申請手続きをしましょう。

 

アルバイトとして働く魅力

アルバイト・パートで働く人も、正社員同様に介護職において貴重な人材であり、高い需要があります。また、アルバイトの場合はケアスタッフ(介護職員)としてしか働けないと思われがちですが、ケアマネジャーや生活指導員など、様々な働き方が可能です。
アルバイトは時間の融通が利くので「子どもが小さいので……」「国家資格の勉強したいから」などの理由がある方に適した働き方であると言えるでしょう。

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