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介護・看護・リハビリ 2020-03-31

グループホームの仕事に未経験の方が働く際の認識と心構え

グループホームは認知症高齢者が介護スタッフとともに暮らしながら自立生活を送る施設です。介護の仕事のなかでも、無資格あるいは介護未経験の方を受け入れる場合が多く、また年齢も不問の求人募集枠が広く設けられています。「認知症ケアを学びたい」「少人数のケアから始めたい」など、今後介護業界で働こうとする方が最初に目指す施設の仕事として人気がありますが、グループホーム勤務未経験者の求職者が持っておくべき認識や心構えについて、以下説明していきます。

「自立支援」がモットーの介護施設だから、未経験者の方でも活躍の場がある!

まず具体的なグループホームでの介護スタッフの業務には、次のようなものになります。
まず朝は、利用入所者に合わせて起床し、介助が必要な方には更衣を手伝ったあと、全員で朝食をとります。基本的に一日三度の食事の調理は介護スタッフがメインで行います。食事後の後片付けは、施設や利用入所者によりますが、皆で分担します。食後は洗濯物や掃除を、これも利用入所者とともに介護スタッフがメインとなって行います。

無理のない程度で利用入所者が自分でできることを行うよう働きかけるのがグループホームならではの指針です。家事全般が終了すると、バイタルチェックを行い、その日の体調管理を確認します。そして昼食後にはお茶をしたりテレビを観たり買い物に出かけたり、レクリエーションで体操や歌を楽しんだりして、思い思いに余暇の時間を過ごします。

利用入所者の認知症の重度や体調によって差異はありますが、自立支援がモットーのグループホームでは医療行為が少なく、介護未経験の方でも活躍できる職場といえます。

介護未経験者でも認知症への正しい理解と学習で対応が進歩

そもそも認知症とは、さまざまな原因によって脳細胞の一部に支障が起き、日常的な思考や行動がままならなくなる病気です。実際のところ、認知症患者と接する機会に慣れていなければ、戸惑うことは多いです。ましてや介護未経験者であればなおさらです。けれども認知症患者のひとつひとつの行動には目的や意味が含まれているのです。

例えば場所の正しい位置関係や方向感覚がなくなることも認知症の症状のひとつです。一見すると「目的もなく徘徊している」と判断しがちですが、実際はどこか目的の場所があり、そこへ向かおうとしていたり、なにかを探しているのです。認知症になると判断力が低下し、行動や言動の善悪がつかなくなることがあります。それが突発的行動や暴言につながることもあります。

介護未経験の方が初めてグループホームで働くと、利用入所者の行動に戸惑うかもしれませんが、ちゃんと認知症に対する知識を蓄えていけば、うまく対応できるようになります。認知症患者は今後ますます増加が予想されており、認知症ケアは将来必須の介護となります。グループホーム就職を機に勉強してみるといいでしょう。

高齢者が集う施設であり職員間の連携と指導を遵守することが重要

グループホームとはいっても、利用者の方々は日常生活を在宅で送れない何らかの理由があって入所しています。さらに施設での入所生活が長くなるにつれ、加齢するわけですので介護度は高まります。おのずと、設立年数が古いグループホームであるほど、入所年数の長い、介護度が高い利用者が増える傾向にあります。

当然、高齢者が集う施設なので、突発的な傷病悪化によって亡くなる方がいても不思議ありません。介護未経験者でも介護業務に携わる限り、こういう知識と認識をもって業務に取り組まなければならないでしょう。とりわけ小さなグループホーム施設では、経験が浅くとも一人で夜勤シフトに入らなければならず、いつかはこなさなければならない仕事です。この場合も基本的には、高齢者はつねに急変する可能性があると考えて業務に従事しなければなりません。

グループホームの業務で重要なのは、職員間のサポート体制、コミュニケーションの連携です。誰でも最初は初心者なわけですから、急変時にはどのように対応すればよいのか研修と指導を入念に受けることです。入所者一人ひとりの介護度や病状を知ることも重要です。

これまで見てきた通り、グループホームへの就職は施設の雰囲気やそこで働く上司や職員によって大きく左右されます。指導や研修の充実度、利用入所者のコンディション、施設内の手入れの行き届き具合など、入社前の事前見学会や面接を利用して確認することが大切です。認知症を正しく理解し、じっくりと向き合い、心に抱える不安を軽減させることがまずは重要です。介護未経験者であっても、グループホームの業務は、主婦歴の長い方などはすぐに力を発揮できる仕事内容です。また、男性女性問わず活躍できます。

施設によって差異があるので事前チェックを念入りに

グループホームの基本的な勤務体制としては、介護福祉士やヘルパーが主となって、スタッフが介護を中心に入居者支援を行いながら、入居者とともに日常生活をしています。パートとして働く場合は調理や掃除などの家事全般を受け持ちつつ、介助も行うのが一般的です。他の介護施設と異なり、グループホームでは注射や点滴と言った医療行為はほとんどなく、バイタルのチェックや薬の管理のような健康管理が主体なので、ケアにおける精神的負担が少ないのが特徴です。

ただ、勤務地によっては要介護度の高くない人が集まっているところもあれば、一方で要介護度の高い人が集まっているグループホームもあるので、パートで働くとはいえ自分の施設にいる要介護者の人たちがどんな人かをよく見極めることが大切です。介護施設のなかでグループホームは比較的融通の利く職場ですが、まずはバイト求人情報などを使って、どういった手当が出るのか、勤務体系はどうなのかなどを事前にしっかりと調べておく必要があります。

まずは日勤から働いて利用入所者とコミュニケーションを図ること

介護経験のあまりない方、あるいは未経験の方は、同じパート職であっても就業時間については特に入念に調べましょう。通常、グループホームの利用入所者は18名、2ユニットとなっています。24時間体制でシフトが組まれるグループホームの仕事では、夜勤スタッフの人材不足が多いため、この時間帯に働くよう頼まれるケースがあります。

夜勤スタッフは基本的に一人しかいません。介護経験未経験の方が1ユニット9名の利用入所者のお世話をひと晩看ることは精神的にも肉体的にもかなりきついものがあります。なかには無資格、未経験のパートの方を夜勤だけで雇う施設もあります。これは施設にとっても、パートの人にとってもリスクが高く、万が一の事故も想定されます。まずは日勤から始めて、利用入所者とコミュニケーションを図り、日常業務をじっくり覚えていくことが重要です。

施設によって雰囲気や業務内容が大きく異なる点に留意

グループホームのパートの具体的な仕事内容は、食事、入浴、排せつなどの身体介護と、掃除の付き添い、料理の付き添い、買い物の付き添いなどの生活援助です。原則としてグループホームは、認知症の方が介護スタッフのサポートを受けながら、共同生活を行う施設です。認知症の症状の緩和や進行を遅らせるため、利用入所者が自分でできる範囲で家事などの役割を担当することも特徴のひとつ。認知症の診断を受けている人が入居する施設、という点では、どのグループホームも共通です。

しかし実際にどのような入居者が多いかは、事業所によって大きく異なります。身体的に自立している人が多い施設、介護や医療のサポートが手厚い施設、看取りまでを行う施設など、ひと口にグループホームといっても大きく異なります。同じパートで働くにしても、この施設の特性によって業務内容が変わってくる点を頭に入れておいたほうがいいでしょう。

利用入所者が入居後に要介護度が重度化し、医療サポートが必要になったときの対応も施設によって大きく違います。他の施設を紹介するケースもあれば、最後までそのままグループホームで親身になって対応するケースもあります。グループホームは利用入所者によって求められるケアや仕事内容が変わってくるため、面接や職場見学の際、自分が働ける環境かどうかを確認しておくことをお勧めします。

介護関連の資格を持っていた方が働きやすい?

何も資格を持っていない方より、ホームヘルパー2級(介護職員基礎研修)を取得しておいた方が、働きやすいのは言うまでもありません。グループホームという施設の特徴として、「家庭」というキーワードがあります。資格よりも、入居者の人、一人ひとりと向き合えるかどうか? それが大切です。もちろん、介護関連の資格を取得した人なら、病院や他の介護施設で働いた経験もあるでしょう。認知症の人に対する術も分かっています。

症状は個人によってさまざまです。最初は、認知症の人の態度に恐怖を感じるかもしれません。意思疎通の不可能な他人を相手にするのは、並大抵のことではないからです。グループホームで働いている有資格者は、介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護福祉士、看護師などです。グループホームでは医療行為を行わないのが原則なので、看護師の常駐は義務付けられていません。

日常は、3:1の人員がさかれます。最大1ユニットで、スタッフは3人ということです。そして、夜間は人数に関わらずスタッフは、1人以上です。夜間勤務の際、プレッシャーに耐えられない、という介護初心者の人もいます。それらに打ち勝てば、間違いなくやりがいのある職場です。

グループホームで働くことに向いている人とは?

どんな介護施設でもそうですが、最終的には、人と人との関わり合いです。スタッフと入居者、入居者と入居者、スタッフとスタッフ。立場や仕事内容の違いから、看護する側と介護する側で対立することもあります。とにかく、全てにおいて「コミュニケーション」が大切な職場なのです。

介護は、職業でもあるし、生きがいでもあります。どのようにとらえるか? それは、その人次第といえます。収容人数の多い病院などでは、時間に追われ、決まったことをこなすのに精いっぱいです。個人の意見は、忙しさにまぎれて届きません。行き届いた介護とはほど遠いものになり、やる気を失うスタッフも少なくありません。

捉え方によっては、「販売職より笑顔を求められ、しゃべり通し」と、感じる人もいます。認知症でも自分のことは自分でできる人たちが入居しているグループホーム。しかし、見守りは不可欠ですし、注意を怠ることはできません。体力と気力、忍耐力、そして人間力も必要とされる究極の職場が、介護の現場です。何ごとに対しても、打たれ強く志のある人には、やりがいがあります。

グループホームでのやりがいは「寄り添った」介護

介護職員として「誰かの役に立っている」と、実感できる瞬間。それが、やりがいにつながるのではないでしょうか。グループホームでの介護は、マニュアル化されていないものがほとんどです。一緒に朝食を作ったり、洗濯物を畳んだり。アットホームな雰囲気の中で介護ができるのは、スタッフにとっても入居者の方にとっても大切です。

大きな施設などでは、時間毎に決められたスケジュールや、曜日ごとの行事などを優先するばかり、個人の希望が聞き入れられないケースは多くあります。入居者ひとりひとりの要望を聞くことができるのが、グループホームの利点でもあります。人間関係が密になり、息苦しく感じる人もいます。しかし、相手のことを考えれば、より良い看護のためにも密な人間関係が必要なのです。

入居者の方の生活歴は、みんな違います。決められたことを淡々とこなすだけでなく、常に「改善」を念頭に接することが大切です。やる気があり、入居者の方に寄り添おうとするスタッフは、より良い人間関係を築けます。そうした努力は、必ず報われ、やりがいへとつながります。

グループホームが他の介護施設と異なる点は、なによりも少人数で家庭的なことです。人間関係は密になり、信頼関係が生まれます。そういったことを苦手に感じる人もいるでしょう。どんな仕事でもそうですが、特に、介護の仕事には、向き不向きがあります。どんな介護をしたいか、目標のある人なら、グループホームでの仕事にやりがいを感じるはずです。

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