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介護・看護・リハビリ 2020-04-09

転倒が起こりやすいシチュエーションとその対策方法は? 介護福祉士の日常あるある#2【Q&A編】

利用者の方が転倒を起こさないように対策をとっていたというベテラン元介護福祉士の國廣幸亜さん。未然に防ぐためには試行錯誤を重ねた結果、転倒が起こりやすいシチュエーションを把握すること。そして、もし転倒を起こしてしまったらすぐに他の職員の方に伝えることが大切と話します。

そんな國廣さんに、転倒後の対処方法と転倒を未然に防ぐための方法を伺いました。

Q.利用者の方を転倒させてしまったときどう対処した?

A.私が転倒を起こしたときは、利用者さんに椅子に座っていただき、会話ができるかの確認と、利用者さんが不安にならないように声をかけ続けました。たまたま同じフロアにナースがいらっしゃったので、すぐに駆けつけていただき、無事を確認していただきましたね。ナースの方に来ていただくまでは、利用者さんの怪我が悪化していないかが不安だと思いますが、冷静に対処することが大事です。このときは床が冷たかったのと頭を打っていなかったので、椅子に座っていただきましたが状況によってはそのまま待つという対応も大切。ただ、転倒を起こしてしてしまうと、利用者さんが怪我をするというリスクがあるので、起こりやすいシチュエーションを把握し、未然に防ぐことがなによりも重要です。

Q.転倒が起こりやすいシチュエーションは?

A.昼間に比べて夜間は利用者さんの意識がはっきりしていない分、転倒が起こりやすくなります。さらに、敷物が少しめくれているような気が付きにくい段差、浴室や濡れた床など滑りやすい場所、物やコードなどが散らばっている床も転倒を起こしやすいシチュエーション。他にも、利用者さんの体のコンディションが悪くなり、過去に転倒を起こされている方は再発の可能性が高いので注意が必要です。

Q.未然に転倒を防ぐ方法は?

A.夜間は、昼間よりも利用者の方が転倒を起こしやすいと意識をするだけでも、回数を減らすことができます。それから、敷物の少しめくれている床が目についたら、直せるものはすぐに直し、無理な場合は利用者さんに段差があることを教えてあげましょう。加えて、床には物を置かず、飲み物をこぼしたらすぐに拭きとるなどして、利用者さんにとって歩きやすい環境に整えることも大切。環境を整えるだけではなく、歩くことや食事をとるなどの日常生活を送る動作レベル(ADL)が下がってきた利用者さんの情報を、他の職員の方に共有しておきましょう。それから、利用者さんが床に座りこんでしまったときに上体を起してあげる介助法を練習しておくと、転倒を起こしたときに軽傷で済ませられる可能性が上がります。

Q.介助法をどうやって習得した?

A.本を読んだり理学療法士の方に質問をしたりして新しい介助法を知り、同僚や先輩に介助の相手役をお願いして練習しました。新しい介助法を習得するのは大変ですが、私たちが努力をしていることを知ってくださる利用者さんもいらっしゃり、介助に失敗しても優しいお言葉を掛けていただくこともあるので、努力を続けて損をすることはないはず。

Q.どんな言葉をかけていただいた?

A.「あなた達が一生けん命世話してくれていることをちゃんっとわかっとるよ」というお言葉をいただきました。嬉しいお言葉をいただいたことを受け、もっと利用者さんの支えになろうと、仕事に身が入るきっかけにつながりました。

Q.転倒を防ぐための心構えは?

A.転倒を起こした事態を隠さずに、すぐに他の職員の方に報告するという姿勢です。転倒を起こしてしまったら、「軽傷だからおおごとにしたくない」という気持ちから、事態を隠してしまいたいという気持ちになるかもしれません。ですが、事態を隠さずに、他の職員に報告や協力を求めるなどの、利用者さんの安全性を一番に思った行動をとりましょう。そして自分が悪かったところをきちんと反省すれば、次の介助に活き、自身の成長につながるはずです。

國廣さん流・転倒を防ぐコツ3箇条

1.夜間に利用者の方を介助する場合は、転倒が起きやすいことを意識する

2.利用者の方が安全に移動できる環境づくりに努める

3.専門家や同僚・先輩に協力を求めて新しい介助法を習得する

取材・原文/井上桂佑(レ・キャトル)
イラスト/國廣幸亜

教えてくれたのはこの人!

國廣幸亜さん

在宅ワークや介護老人保健施設、デイサービスなど多くの介護現場を渡り歩いたベテランの介護福祉士として活躍し、現在は自身の豊富な介護経験を題材にした漫画などを手がける人気の漫画家として活躍中。

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