介護職の夜勤とは? 夜勤で働くメリットと注意点|夜勤専従の働き方とは
介護職にも夜勤がありますが、夜勤の働き方をイメージできないという方も少なくありません。夜勤として働くと、どのようなメリットがあるのか、夜勤として働くうえで注意すべき点があるのかをご紹介します。
また、介護職には夜勤専従という働き方があることを知っているでしょうか。この夜勤専従が、一体どのような働き方をするのかもあわせてご紹介します。
介護の夜勤とは? どんなお仕事をするの?
介護の夜勤では、日勤とは違うシフトや業務内容となっているのが特徴です。どのような違いがあるのかも含めて、ここでは介護職における夜勤の特徴や具体的な仕事内容を解説します。
夜勤の特徴を紹介!
介護の夜勤では、勤務時間や人員配置、勤務日数などが日勤とは異なります。つづいては、介護職における夜勤の特徴を確認しておきましょう。
2交代制と3交代制がある|勤務時間に違いアリ
介護の夜勤には2交代制と3交代制があり、それぞれ勤務時間が異なります。2交代制の場合の夜勤は16時間ほど、3交代制の場合は8時間勤務となるのが一般的です。それぞれの勤務時間の例は、以下のとおりです。
・2交代制
日勤 8:30~17:30
夜勤 16:30~9:00
・3交代制
早番 7:00~16:00
遅番 14:00~22:00
夜勤 22:00~7:00
2交代制のほうが職場での拘束時間が長いため、体力勝負となります。
日勤より人員配置が少ない|介護施設の種類などによって違いアリ
介護職の夜勤では、利用者の見守りやトイレ介助などの生活動作介助などがメインの業務となり、日勤帯よりもスタッフの人数が少なくなるのが特徴です。
特別養護老人ホームなど要介護度の高い利用者が入所している施設などでは複数のスタッフで夜勤をおこなうこともありますが、小規模多機能施設などでは夜勤をひとりでこなしているケースもみられます。
夜勤の回数は1カ月に4~6回
夜勤の回数は法律的な決まりはなく、施設ごとに夜勤回数を決められます。2021年度の介護施設夜勤実態調査によると、どの施設においても夜勤の回数は1カ月に4~6回程度が目安です。
人手不足などの理由から、介護老人保健施設では1カ月の夜勤の回数が8回を超えるなど、平均を上回っているところもあるようです。
夜勤手当の額はどれくらい?
労働基準法によって深夜労働にあたる午後10時から午前5時までの労働には、25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。しかし、金額について明確な決まりはなく、これも施設によります。
こちらも、2021年度の介護施設夜勤実態調査によると、正規介護職員の夜勤手当の平均額は、2交替夜勤の場合が平均5,976円、3交替夜勤の場合が平均3,630円、深夜で4,325円となっているようです。
夜勤の仕事内容を紹介!
介護の夜勤では、夕食後から就寝、起床までの業務を担います。それぞれの利用者さんの介護度に合わせたケアや援助をおこなうことが大切です。ここでは、介護職の夜勤の仕事内容について確認しておきましょう。
日勤との業務の引き継ぎ
介護職の夜勤では日勤帯のスタッフなど、次の勤務の人への業務や連絡事項、注意事項についての申し送りをおこないます。
申し送るべき内容は、夜間、利用者さんの様子で変わったことはなかったか、歩行状態・全身状態などで気になることなどです。
就寝時|利用者さんのお世話
就寝に向けての準備を利用者さんとともにおこなうのも、夜勤スタッフの役割です。就寝までに歯磨きを済ませて、薬の内服がある人には飲み終えたかどうかの確認や声かけなどをおこないます。寝衣に着替える人には着脱の介助などをおこない、トイレの声掛けや誘導、排せつ介助やおむつ交換なども夜勤が担当するお世話です。
また、転倒の危険がある人に対してはベッドの柵の位置を確認し、ポータブルトイレの設置や離床センサーの電源を入れるといった業務も含まれます。
夜間の見守り・緊急対応
夜勤の際に医療機関への受診など、緊急の対応が必要となる場合もあります。介護施設は医療機関ではないため、基本的に容態の落ち着いた利用者さんが多いのですが、急な体調の変化などが夜間帯に起こる可能性もゼロではありません。
急変があった場合、看護師や医師への報告のほか、救急搬送の際に同乗するなどの対応をおこなうこともあります。
起床時|利用者さんのお世話
起床時には、洗顔や歯磨きのサポート、トイレ誘導やおむつ交換のほか、身支度を整えるための援助をおこないます。
起床後は利用者さんがみな活動を開始するタイミングなので、転倒や事故などのアクシデントが起こりやすくなります。夜勤スタッフが少ない場合には、とくに注意が必要な時間帯です。
レクリエーションはない
介護職の夜勤では、日勤帯でおこなうゲームや体操、カラオケなどといったレクリエーションはありません。そのため、レクリエーション前後の準備や移動、実施などといった業務が負担となることはないでしょう。
夜勤の業務ではレクリエーションがないぶん、利用者さんの日中の動作や表情などを把握するのがむずかしいため、ちょっとした変化への気づきや注意深い観察力などが求められます。
夜勤のメリットと注意点について紹介!
介護職の夜勤には夜勤手当がつくなどのメリットがありますが、実際に働くうえで注意することはないのでしょうか。ここでは、夜勤をするメリットと注意点をくわしくご紹介します。
夜勤のメリットとは?
ここでは、介護の夜勤のメリットについてご紹介します。介護職に興味のある人は、ぜひ参考にしてみてください。
夜勤手当で収入UPにつながる
介護職の夜勤では、夜勤手当をもらうことができるので収入増が見込めます。前で述べたとおり、1回の夜勤で数千円の手当がつくので、1カ月で夜勤に入らず日勤のみで働いた場合と、日勤に加えて夜勤に数回でも入って働いた場合とではもらえる給料に差が出るのです。
少しでも収入を増やしたい人、しっかり稼ぎたい人は夜勤に入って、夜勤手当をもらうことで収入を上げることが可能です。
昇進・キャリアアップしやすい
介護の夜勤では緊急時の対応などに備えて、夜間に対応できるスタッフを数人配置しなければなりません。しかし、夜勤の対応ができる人の数はそこまで多くないのが現状です。このようなことから、夜勤ができる人には需要があるため、昇進やキャリアアップがしやすくなっています。
ただし、業務的には利用者さんのトイレや食事、薬などの介助などをおこなわなければならないため、資格の取得が必要になることもあるでしょう。
夜勤明けに長めに休める
夜勤明けの日は勤務日の扱いとなり、翌日が休日となります。そのため、まとまった休みを取りやすいのがメリットです。長めの休みになるので、次の勤務に備えて生活リズムも調整しやすいでしょう。
日勤だけの働き方では、とくに平日にこのようなまとまった休みを取るのはむずかしいでしょう。まとまった休みがほしいため、夜勤を希望する人も見受けられます。
日勤に比べてゆとりがある
夜勤中は利用者さんも寝ている時間帯のため、日勤中よりも利用者さんに関わる機会がありません。
そのため、日勤とは違い、入浴やレクリエーションをする時間も設けられていないため、慌ただしさや忙しさはなく、自分のペースで仕事ができます。
夜勤の注意点とは?
上記のようなメリットがある介護職の夜勤ですが、いくつか注意しておきたいことがあります。ここでは、夜勤の注意点を確認しておきましょう。
生活リズムが崩れがち
介護職の夜勤では、通常は夜寝ている時間に勤務をするため、生活リズムが180度逆転してしまいます。そのため、生活リズムが乱れやすく夜勤前に仮眠できない、夜勤明けで寝てしまってその日の夜眠れなくなってしまうなどによって、体の調子を崩しやすくなることもあるようです。
次の勤務までに体調を整えることができるよう、休日には予定を詰め込みすぎず、休息の時間をじゅうぶんに設けることも大切になります。
救急対応が必要になることも
医療機関ではないため、夜間に緊急入院の人がくることはありません。しかし施設に入所している人の体調が急に悪化し、救急搬送や緊急の対応が必要になることはあります。施設の母体となる法人が医療機関である場合や、医療機関に近接している施設であれば対応をスムーズにおこなえるでしょう。
医療機関が近くにない場合や、看護師など医療従事者が不在で介護スタッフのみの場合には、医師、看護師へのすみやかな報告や連携が求められます。夜間帯はとくにスタッフが少ないため、いざというときにスムーズに対応できるよう、マニュアルや緊急時の流れを把握しておくことが大切です。
勤務時間が長い
夜勤帯は、日勤帯に比べて勤務時間が長いです。とくに2交替制の施設においては夜勤の勤務時間が長くなる傾向にあり、2交替夜勤を取り入れている72.3%の施設において、勤務時間は16時間を超えることがわかっています。
3交替であれば夜勤の勤務時間はこれより少なくなるものの、現在は9割以上の施設が2交替夜勤を採用しているため、勤務時間が長めとなっているようです。
配置人数が少ない
夜勤帯は日勤帯に比べると、業務量が圧倒的に少ないため、配置人数も少なめです。施設や利用者さんの人数によって配置人数は変わってきますが、ほとんどの施設が2人体制で夜勤をしています。
このように少ない人数で対応することになるため、プレッシャーを感じたり、不安になったりすることもあるようです。
夜勤専従とは?
人手不足の介護の現場において、その働き方が注目されている夜勤専従です。ここでは、夜勤専従の働き方を解説します。
夜勤専従のメリットと注意点とは
ここからは夜勤専従という働き方におけるメリットと、夜勤専従をするうえで知っておきたい注意点をくわしくご紹介します。夜勤専従で働きたいと考えている方は、ぜひチェックしておきましょう。
夜勤専従のメリットとは
夜勤専従で働くメリットは、出勤日が少ないのにお金が稼げることです。夜勤は、1回の勤務で2日間勤務したという扱いになります。そのため、勤務日数は少ないですが深夜業務によって賃金が割り増しされるので、しっかりと稼ぐことが可能です。
また、日勤と夜勤を交互に担当するのではなく、夜勤だけの出勤になるので生活リズムも整いやすくなります。
夜勤専従の注意点とは
夜勤専従は人数が少ないなかで仕事をしなければなりませんし、救急対応など高度なスキルが必要となる可能性があります。そのため、ある程度の経験やスキルがないと少しむずかしいかもしれません。
また、昼夜逆転の生活になるので、それによって体調を崩してしまったり、家族との時間が合わなくなってしまったりすることもあるので注意が必要です。
夜勤専従の需要はある? 求人情報をチェック
近年はライフワークバランスの考え方が浸透しており、自分の体調や家族との時間に合わせて無理なく働きたい方が増えてきています。そのため、夜勤ができない方も増えてきました。
その点、夜勤専従のスタッフを採用すれば、日勤のスタッフを夜勤に配置する必要もなくなります。施設にとっても、夜勤専従のスタッフを採用することは大きなメリットとなるでしょう。
求人情報をチェックしてみても、夜勤専従の介護職員を募集する求人は増えつつあるので、自分の希望に合う求人も探しやすくなっています。
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夜勤アリの介護施設を選ぶときのポイントとは?
夜勤がある介護施設で働こうと考え、求人を探している方にはぜひチェックしていただきたいポイントがいくつかあります。
長く働き続けやすい施設を選ぶためにも、夜勤ありの介護施設を探すときに注意してチェックしたいポイントを確認しておきましょう。
1. 夜勤の内容を確認する|勤務回数・手当・休憩時間など
夜勤は勤務時間が長いので、休憩時間もなく働き続けるのは体力的にも精神的にも辛くなってしまいます。さらに、夜勤手当は法律で決められていますので、夜勤手当が支払われていないのは、法律を守っていないということです。
このことから、夜勤を何回やるのか、夜勤手当はどのくらいなのか、休憩時間はあるのかどうかは必ずチェックするようにしましょう。
2. 施設をチェックする|休憩室・仮眠室
施設内のチェックも重要です。とくにチェックしてほしいのが、休憩室や仮眠室があるかどうか。休憩室や仮眠室がなく、詰め所で過ごさなければならない場合、なかなか心も身体も休めることはできません。
とくに仮眠室がない場合は不眠不休で働き続けなければならず、体力的にもしんどくなってしまいます。これらの施設があるかどうかは、必ずチェックしておきましょう。
夜勤明けの負担を減らすには?
夜勤中は気が張っていて負担なく勤務ができても、夜勤が明けると心身ともに疲れてしまうことがあるようです。ここでは、夜勤明けの負担を減らす方法をご紹介します。
1. 普段から質のよい睡眠を心がけよう
夜勤がある日だけでなく、夜勤のない日も良質な睡眠をとるように意識しましょう。とくに夜勤をしていると、体内のホルモンバランスが乱れてしまい、良質な睡眠をとりにくくなってしまいます。
良質な睡眠をとれるように睡眠環境を工夫したり、ふだんから毎日同じくらいの睡眠時間は確保できるように意識をしたりして、睡眠不足のままの勤務とならないように気をつけましょう。
2. 勤務中は食事や飲み物にも気をつけよう
夜勤中に眠気覚ましのために、コーヒーや栄養ドリンクなどカフェインを多くとる方もいるでしょう。しかし、朝方にカフェインを多く摂ってしまうと、夜勤後の睡眠に影響してしまいます。栄養をつけようとして、勤務中にカロリーの高い食事をたくさん摂ってしまうのも同様です。
カフェインを摂取するのであれば明け方は避け、勤務中の食事も食べるのであればカロリーが低いものにすることをおすすめします。
3. 夜勤明けは早めに仮眠をとろう
夜勤明けは、なるべく早めに仮眠をとって身体を休めるようにしましょう。日中は明るくて眠れない方もいるかもしれませんが、カーテンを活用するなど遮光をじゅうぶんにおこなうことで、日中でも良質な睡眠を確保できます。
ただし、寝すぎてしまうとその日の夜に眠れなくなってしまうので、短い時間にとどめておきましょう。仮眠の時間は、3時間程度がベターです。
4. 夜勤明けの日中はいつもどおり過ごして眠ろう
仮眠後にだらだらと過ごして、夜更かししてしまうとなかなか睡眠のサイクルを戻せません。睡眠サイクルが戻せないと、疲労の解消にもつなげにくいです。
そのため、夜勤明けの仮眠が終わったらいつもどおりに過ごし、いつも寝ている時間に眠るように意識しましょう。そうすることで、じゅうぶんな睡眠時間の確保につなげられます。
夜勤は夜間の利用者さんを守るやりがいのあるお仕事!
夜勤で働くことは、夜勤手当がつくなどの収入アップや日中の時間を有効活用できるなど、さまざまなメリットがあります。
夜勤で働きたいと考えている方は、夜勤専従という夜勤のみの働き方も候補に入れてみるのがおすすめです。夜勤で働けるスタッフを募集している求人は多いので、自分の条件に合った職場を探してみてはいかがでしょうか。
引用元サイト
日本医療労働組合連合会 2021年 介護施設夜勤実態調査結果概要