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介護・看護・リハビリ 2021-07-05

【今さら聞けない!? 介護のお仕事の基本vol.38】資格がなくても始められる? 介護職のキャリアパスって?

介護の現場で直面する困りごとの解決方法をご紹介する当企画。今回は、介護職として働くにあたっての資格やキャリアについてお届けします。

近所の介護施設で「資格要件:なし」の求人が! 無資格、未経験からでも介護職になれる? 今後のキャリアパスはどうなる?

子育てが落ち着いてきたRさん。近所でパートを探すと、介護施設の求人を見つけました。介護の資格がないとダメなのかと思いきや、応募要項には「資格要件:なし」とあります。親の介護も遠くない将来に迫ってきている今、介護のお仕事にとても興味はありますが、資格もなく、未経験からで大丈夫なのか、そもそもそれで飛び込めるものなのか悩んでいます。

今でこそ専門学校や養成校からの新規学卒の人たちが介護職に就くことも増えてきましたが、介護の現場は、まだまだ転職や再就職組が多いのが現状です。Rさんのように家庭の事情が落ち着いてきた人の参入も多くみられます。今回は、そんな人たちのキャリアパスについて見ていきます。

お話を伺ったのは…

中浜 崇之さん
介護ラボしゅう 代表/株式会社Salud代表取締役/NPO法人 Ubdobe(医療福祉エンターテイメント) 理事/株式会社介護コネクション 執行役

1983年東京生まれ。ヘルパー2級を取得後、アルバイト先の特別養護老人ホームにて正規職員へ。約10年、特別養護老人ホームとデイサービスで勤務。その後、デイサービスや入居施設などの立ち上げから携わる。現在は、介護現場で勤務しながらNPO法人Ubdobe理事、株式会社介護コネクション執行役なども務める。2010年に「介護を文化へ」をテーマに『介護ラボしゅう』を立ち上げ、毎月の定例勉強会などを通じて、介護事業者のネットワーク作りに尽力している。

 

ポイント1:「資格要件:なし」の求人はたくさんある

介護のお仕事は、介護サービス事業を運営するための指定基準に基づいています。その中に「人員基準」というものがあり、利用者数によってさまざまな職員の配置が定められています。

そこには、看護職員、生活相談員、介護職員、機能訓練指導員、常勤管理者などの資格が必要な職種以外にも、「資格要件:なし」と定められている職種があります。代表的なものは、介護施設職員やデイサービス職員、認知症グループホームの職員などです。

無資格でも働けるサービスはあるので、「まず飛び込んでみる」はひとつの選択肢と言えますね。

ポイント2:入社してから資格を取得する方法もある

介護職の資格は、介護未経験者が介護分野へ就労しやすくなるよう、2018年に新しい研修制度がつくられています。それが、未経験者の不安を払しょくするための「入門的研修修了者(21時間研修)」と、訪問介護の「生活援助」が行えるようになる「生活援助従事者研修修了者(59時間研修)」です。都道府県や市区町村(民間団体への委託も可)によって実施されているので、いきなり介護職に飛び込むのが怖い方は受講するとよいでしょう。

また、前述のように「無資格」でも働ける介護施設はありますが、在宅の高齢者に対してサービスを提供する訪問介護サービスには従事できません。介護施設によっては「利用者の体に触れて行う介護」は有資格者のみとしているところもあります。なので、ゆくゆくは、介護サービス全般で働くことができる「介護職員初任者研修修了者(130時間研修)」の取得や、さらなる上位資格である「実務者研修修了者(450時間)」も視野に入れるとよいでしょう。これは、国家資格である「介護福祉士」の受験資格でもあります。

現在、介護業界は人手不足です。そのため、無資格者をあえて採用し、入社してから資格取得のための費用を負担する会社も多く見られます。自己負担を少なく、もしくはなしで資格取得できるので、そういう職場を選ぶという選択肢も覚えておくといいでしょう。

ポイント3: 資格を取れば業務範囲が広がる。給与・待遇のアップにも

資格によって業務内容が変わってくることからも分かるように、資格の有無は、介護知識・技術を持っているかどうかの判断基準とされます。それは業務内容の幅と直結するだけでなく、給料面でも違いが出てきます。厚生労働省の「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、資格がない人と国家資格である介護福祉士では、常勤者の月給に5万円以上の差があるそうです。

介護職は何歳からでも資格取得を目指すことができ、キャリアアップするにも年齢制限がない稀有な職業です。自分のライフステージの変化に合わせて段階的に、非常勤から常勤へ、無資格から上位資格取得へ、とキャリアアップを目指すことが可能です。自分のキャリアパスを見通しながら働けるといいですね。

セカンドキャリアとして介護職を目指すなら覚えておきたい2つのこと

1. 介護職、介護資格に年齢は関係ない
2. キャリアパスは自分次第!

少子高齢化がますます進むなか、介護が必要な要介護高齢者も増加しています。介護保険サービス利用者も増えており、介護業界は拡大の一途です。それに伴い、「介護は家族が担うもの」というのも過去のものになりました。今では「介護職=高齢者の生き方や命に向き合う専門職」という認識が浸透してきています。介護業界は資格社会です。無資格でも働けますが、資格取得の過程で得られる知識と技術は自分自身にとっても利用者にとっても、「安心感・信頼感」となることは間違いありません。介護業界は、資格取得にもキャリアアップにも年齢制限はありません。ぜひ臆することなく、介護の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

監修・中浜さんの「実際にこんなことありました!」

私も民間資格をとって現場に入った一人です。実は理学療法士の専門学校に通っていたのですが、そこを辞めて、働いてみたいと思ったのが介護業界でした。

当時(17年くらい前)は、ヘルパー2級という資格が介護の初級資格でしたので、その講座を受講しました。講座の中に実習があり、その実習先の特別養護老人ホームでパートとして勤務し始めたのが、介護業界で働き始めたきっかけになります。

無資格から働くのも良いですし、私のように資格を取ってから働くのも良いと思います。私が大切だと感じていることは、「世間のイメージだけで介護の仕事をイメージせず、現場を自分の目で見ること」です。そして、現場での学びから仕事の役割を得ていくことだと思います。

興味がある方は、ぜひ現場を覗いて見てくださいね。一口に介護の仕事と言っても、様々な職場や働き方があります。あなたのライフスタイルにあった職場環境や職種を見つけて見てください。

文:細川光恵
参考:「介護の現場と業界のしくみ」ナツメ社

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