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介護・看護・リハビリ 2020-07-31

【今さら聞けない!? 介護のお仕事の基本 vol.6】急にろれつが回らなくなった! 何を確認してどこへ連絡する?

様々な背景・価値観を持った利用者・入所者と接する介護職は、介護技術だけでなく、コミュニケーション力や人間性、倫理観など、さまざまな知識・能力が求められます。そんな日々に少しでも役立つ情報をお届けできれば…と、介護の現場で起こりがちな困りごとなどへの基本の対処法をご紹介する当企画。今回は、利用者の様子がいつもと違う! というあるケースについての対処法を取り上げます。

いつもはしっかりと会話できるBさん。今日、急にうまく話せなくなった!

いつも楽しくお話が弾むBさんなのに、いつもと話し方が違う…。ろれつが回っていない、うまく話せなくなるということ以外にも、普段と様子が違う場合は注意が必要です。

こういったサインは、唇や舌、顔の動きが悪くなると起こる状態で、失語症や構音障害、パーキンソン病などの他にも、脳梗塞や脳出血といった重大な病気の初期症状という可能性が考えられます。後者の場合には救急車を呼ぶだけの緊急性があり、前者の場合でも主治医への連携が重要です。対応の判断は、ポイントをおさえてすることが大切です。

ポイント1:バイタルサインをチェック

バイタルサインは人間が生きていることを示すもの。呼吸、脈拍、血圧、体温のうちどれか一つでも極端に数値が下がっていれば、命の危険があります。まずは、日頃の数値と比べて異常の程度を把握しましょう。

ポイント2:口や舌が曲がっていないか、顔にゆがみがないか、顔の動きに注目する

次に、脳梗塞・脳卒中のような緊急性のあるものかどうかの判断が必要です。まず、口や舌が曲がっていないか、顔にゆがみがないかをチェックしましょう。これらが見られない場合は、失語症や構音障害の可能性も考えられます。

ポイント3:脳梗塞・脳出血の症状がないかチェック

ポイント2の他に、次のような症状がないか確認しましょう。

・よだれが垂れている
・手足にしびれがある
・力が入らない
・ふらつく
・頭痛
・めまい、吐き気

ポイント2・3のどちらにも当てはまる症状があるならば、早急に救急車を呼びましょう。これらの症状がなく、「うまく話せない」「ろれつが回らない」だけならば、主治医に連絡・報告して指示を受けましょう。

「ろれつが回らない」利用者へやってはいけない2つのこと

1.症状が軽いからと様子見にする
2.水分などをとらせる

脳梗塞などの重大な病気の可能性があるので、症状が軽くても、医師への連携は必要だと思っておきましょう。また、水分については、飲み込む機能も低下している可能性があり、事故につながる可能性もあるので避けましょう。この2つの行為は、生命の危険にもつながりかねないこと。対処の際には気をつけて。

「いつもと違う」と気がつくためには『日々の状態観察』が必要です。普段からその方の様子をよく見知っているからこそ、「いつもと違う」と感じとれるのです。ぜひ、そんな視点も忘れずにお仕事してみてください。

文:細川光恵
参考:「介護現場の「困りごと」解決マニュアル」中央法規

監修

中浜 崇之さん
介護ラボしゅう 代表/株式会社Salud代表取締役/NPO法人 Ubdobe(医療福祉エンターテイメント) 理事/株式会社介護コネクション 執行役

1983年東京生まれ。ヘルパー2級を取得後、アルバイト先の特別養護老人ホームにて正規職員へ。約10年、特別養護老人ホームとデイサービスで勤務。その後、デイサービスや入居施設などの立ち上げから携わる。現在は、介護現場で勤務しながらNPO法人Ubdobe理事、株式会社介護コネクション執行役なども務める。2010年に「介護を文化へ」をテーマに『介護ラボしゅう』を立ち上げ、毎月の定例勉強会などを通じて、介護事業者のネットワーク作りに尽力している。

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