医療事務認定実務者とは?資格取得のメリットや試験の概要、おすすめの勉強法を紹介
医療事務に関する資格はいくつかありますが、これから医療事務を目指す人や医療事務初心者には、医療事務認定実務者の資格がおすすめです。
ここでは、医療事務認定実務者の資格について、資格の概要とあわせて取得するメリットや、試験の概要、おすすめの勉強方法について紹介します。
医療事務認定実務者とはどんな資格?
医療事務認定実務者は、医療事務に関する基礎知識と、レセプト(診療報酬明細書)作成の能力を備えていることを証明する資格です。
2016年に創設された新しい資格ではありますが、2021年だけでも出願者は1万6千人を超えるほど注目を集めています。
必要な受験資格はある?
必要な受験資格はなく、初心者におすすめの資格です。この資格は、一般受験者であれば在宅で受験することが可能で、参考書やノートなど資料の持ち込みが認められています。
レセプトの作成方法をはじめ、医療事務のさまざまな基礎知識が身につくため、これから医療事務を目指す人や、まだ医療事務を始めたばかりという人にはぴったりの資格といえるでしょう。
医療事務認定実務者を取得するメリット|どんな仕事に活かせる?
医療事務を目指す人や医療事務初心者にとって、医療事務認定実務者の資格がどのように活かせるのか、資格を取得するメリットについて紹介します。
医療事務として即戦力になる
医療事務認定実務者を取得することで、医療事務として即戦力になることが期待できます。
初心者がつまずきやすい業務とも言えるレセプト作成は、医療機関の収入の要であるため正確さが求められます。資格取得を目指す過程で、レセプトの知識や実践力を1から身に付けることができるので、すぐに仕事に役立てられるでしょう。
就職時に役立つ
医療事務を目指した就職活動でも、医療事務認定実務者の資格は役立ちます。なぜなら、業務のなかでも難易度が高い、レセプト業務の知識や実践力を有している証明となるためです。
医療事務になるための必須資格はありませんが、難易度の高いレセプト業務がこなせる人材であれば有利となるでしょう。
試験の概要
ここからは、医療事務認定実務者試験の概要を解説します。試験の日程や申し込み方法、出題範囲とあわせて、難易度や合格率についても見てみましょう。
試験の日程
試験は毎月1回実施されています。一般あるいは認定機関の通信講座受講生は、在宅試験です。会場試験は、認定機関が開講している講座の通学受講生を対象としており、実施する認定機関によって異なります。
2023年2月現在、在宅試験として実施が予定されている日程は下記のとおりです。
在宅試験は、日程が変更になることがあるため公式サイトで確認してください。
引用元
特定非営利活動法人 職業技能専門教育研究機構認定 全国医療福祉教育協会:医療事務認定実務者(R)試験 試験日程
申し込み方法|受験料
申し込み方法と受験料は、次のとおりです。
出題範囲
試験時間は90分間です。学科と実技があり、ともにマークシートで解答します。学科は30問で、実技は外来の1つの症例をもとにしたレセプト作成です。学科と実技の出題内容について、次項で解説します。
学科|接遇とマナーに関する知識
医療事務についての基本的な理解やマナーだけでなく、社会人としての一般常識も出題されます。たとえば、社会人としての基本的なルールや、言葉遣い、窓口・電話口での対応、個人情報の保護などの知識が必要です。
ほかにも、医師や患者との関わり方や、クレームの対応・防止方法なども問われます。
学科|医療機関における各種制度に関する知識
医療保険の給付や介護保険制度(サービス)の概要、診療報酬制度などについて出題されます。
各種制度に関する問題のほかに、健康保険法の概要や、医師の役割、医療施設の定義や病床の種別を定める医療法など、幅広い知識が必要です。
学科|医療事務業務に関する知識
診療報酬の算定やカルテの表書き、レセプト作成の基礎知識などが出題されます。
医療事務の仕事のなかでとくに難易度の高いレセプトに関する知識は、理解を深めておきたいものです。レセプト作成の原則や注意点なども問われるので、しっかりと学習しておきましょう。
学科|診療報酬請求に関する知識
診療報酬の算定についてのルールや算定方法、外来・入院時の費用の算定方法などについて出題されます。
実技
レセプトを作成する試験です。点数や算定の基礎知識や技能が身についているかが問われます。
以下のようなポイントをおさえて、試験に備えましょう。
・レセプトを作成するだけでなく、点検および上書きができるか
・傷病名や検査法、医薬品などレセプト作成に必要な用語や略語を理解しているか
・時間外や小児の加算が正確に算定できるか
医療事務認定実務者試験の難易度と合格率
学科と実技でそれぞれ6割以上の正答率が合格基準となっています。問題の難易度によって、基準が変動する場合もあるようです。合格率はおおむね60~80%で、2021年度の合格率は、77.1%でした。
医療事務認定実務者試験では、参考書やノート、電卓などの持ち込みが許可されているため、試験に不安がある人でもチャレンジしやすい資格です。
どうやって勉強をすすめたらいい?
医療事務認定実務者試験の合格に向けて、幅広い専門知識やレセプトを作成する能力を習得する必要があります。
ここでは、医療事務認定実務者試験の勉強方法について紹介します。自分に合った勉強方法を見つけて、しっかりと対策をしましょう。
通信講座
働いている人や子育て中の人におすすめなのが、通信講座です。専用のテキストで自分のペースで勉強でき、添削を受けられるため、効率的な学習ができます。
また、どのテキストを選んだらよいか分からないという人にも通信講座はおすすめです。講座によってカリキュラムは異なりますが、どの講座も合格を目指して教材が作られているため、勉強にも試験時にも大いに役立つでしょう。
通学講座
費用と時間に余裕がある人におすすめなのが、通学講座です。講師から直接学べるので、疑問点などをその場で解決できます。
また、他の受講生と一緒に勉強できるため、モチベーションの維持にもつながるでしょう。
教育訓練給付制度の対象となっている講座もあり、給付条件を満たしていれば受講料の一部を受け取ることができます。
受講を検討するのであれば、対象の講座があるかを調べ、講座がある場合は受給できるかどうかハローワークで確認しておくと安心です。
市販のテキストや問題集を使って独学
市販のテキストや問題集を使って独学で勉強する方法もあります。法改正がたびたび行なわれているため、できるだけ新しいものを選ぶのがおすすめです。
知識の定着を図るポイントは、テキストを読むだけでなく、問題集を何度も解くことです。間違った問題は解説やテキストを確認し、繰り返し問題を解くことで、苦手な分野も克服することができます。
医療事務認定実務者以外でおすすめの資格は?
医療事務に関する資格は、医療事務認定実務者だけではありません。ここでは、医療事務認定実務者のほかにおすすめの資格を2つ紹介します。
医療事務に関する資格について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
医療事務の資格の選び方|おすすめの資格の種類と特徴、求人や勉強方法を紹介
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)
医療事務のなかでも、とくに人気のある資格です。医療事務認定実務者と共通して、患者接遇やレセプトの作成能力などが問われます。
しかし、患者接遇の問題は実技として作文での解答となっているほか、レセプトに関しては、点検したうえで間違いを訂正しなくてはならないため、医療事務認定実務者試験よりも難易度が高くなっています。
医療事務管理士技能認定試験
日本で最初にできた医療事務資格です。レセプト業務だけでなく、受付業務やオペレータ業務など医療事務に必要な幅広い知識を身につけることができます。
レセプトに関しては点検と、外来・入院それぞれのレセプト作成の実技が行われます。合格率は50%とされ、医療事務認定実務者よりも難易度は高いといえます。
医療事務認定実務者はこれから医療事務を目指す人にもおすすめの資格
医療事務認定実務者は、医療事務の基本的な知識や、レセプトの作成能力を認めてもらえる資格であり、これから医療事務を目指す人におすすめです。
とくにレセプト作成は、医療機関の収支に直結する重要な仕事であり、身につけておくべきスキルを習得しておくことで即戦力として働くことができます。資格取得に向けて、自分に合った勉強方法で合格を目指しましょう。
引用元
特定非営利活動法人 職業技能専門教育研究機構認定 全国医療福祉教育協会:医療事務認定実務者(R)試験とは?
一般財団法人 日本医療教育財団:技能審査認定 医療事務技能審査試験(メディカル クラーク®)
JSMA 技能認定振興協会:医科 医療事務管理士®技能認定試験