セルフケアの発信で、地方でも選ばれる整体師に【整体院EVOL 竹常元太さん】#1
地方でヘルスケア事業に携わっている方に、集客や売り上げアップのための取り組みについてインタビューする本企画。今回は広島県広島市で「整体院EVOL」を経営する竹常元太さんにお話をお聞きします。
前編では、東京で就職後に広島県で開業した経緯と、力を入れているSNSでの発信についてお聞きします。
お話を伺ったのは…
整体院EVOL 院長 竹常元太さん
広島県三次市出身。柔道整復師の資格取得後、上京して東京都内の整骨院、スポーツジム、整体院に勤務。2022年、独立開業を機に広島県広島市に居を移し、「整体院EVOL」をオープン。
経験を積むため東京で就職、広島県でUターン開業
――まずは柔道整復師になった経緯を教えてください。
僕は小学2年生からサッカーをしたんですが、高校2年生のときに股関節周りの大きな怪我をしてしまい、リハビリなどで整骨院に通うようになったんです。ちょうど進路を考えるタイミングだったこともあり、「こんなふうに体のサポートをして人の役に立てたらいいな」と感じ、柔道整復師を目指すことにしました。高校卒業後は、広島にある柔道整復師の養成学校に3年通い、資格を取りました。
――就職先は東京だったそうですが、その理由は?
最初は広島にある整骨院を探して就職活動をしていました。でも自分の将来のことを考えるなかで、一度東京に出たほうが多くの経験が積めるのではないかと思うようになったんです。
そのタイミングで、専門学校の担任から「東京にいい先生がいるよ」と紹介していただけて、そこに就職することに決めました。
東京では、整骨院、スポーツジム、整体院の3店舗を経験し、8年ほど経験を積みました。そして2022年2月に、広島に戻って独立開業したんです。
――独立のきっかけと、広島で開業した理由を教えてください。
上京を決めたときから、いずれは地元・広島で独立したいと考えていました。独立のきっかけは、東京で治療家として一通りの技術や接客などを経験し、自分でもやっていけるという自信がついたからです。かねてからの希望通り、広島で開業できたのは、とても嬉しかったですね。
お客様との距離が近い、プライベート感のある整体院
――開業当初、大変だったことは何ですか?
経営も運営も、すべて自分でしなければならないので、そこが一番大変でした。スタッフとして勤務していたときは、最低でも僕以外に1人は誰かいましたが、今は完全に1人ですから。施術はもちろん、集客も電話対応も自分一人というのは、思っていた以上に大変でした。
――1人でのサロン運営でメリットを感じる部分はありますか?
担当できる人数が少ない分単価も高くなっているので、より深い悩みを持つ方が来院される印象です。また僕とお客様しかいないので、深い悩みを話してもらいやすいのはメリットだと思います。やはりカーテン1枚を挟んで隣に人がいる環境では、話しづらいこともありますから。深い部分まで話を聞けるのは、治療家としては大きなメリットですね。
――では東京と地方で違いを感じたことはありますか?
東京に比べると、お客様も人と人のつながりを大事にしている方が多いという印象はあります。とくにお客様の紹介からの新規獲得は、東京よりも頻繁に起こりますね。人同士が近い分、口コミの広がりも早いと感じます。
東京時代から接客は大切にしていましたが、広島で開業して、より自分の治療家としての立ち居振る舞いは気をつけるようになりました。もちろん技術力の高さが前提にはなりますが、プラスお客様一人ひとりを大事にしたコミュニケーションがとれると、さらに口コミや紹介での集客が叶いやすくなると感じています。
開業を見越して力を入れ始めたSNSが好評に
――「EVOL」で竹常さんが力を入れていることは?
施術では、痛みがなぜ起こっているのかという原因を見つけ、それをお客様にもしっかり理解していただくことを重視しています。また、セルフケア指導にも力を入れています。
来院する方は、今までいろいろな整体院や病院に行って改善しなかったという方が多いのですが、みなさん、なぜ改善しなかったのかわかっていないんです。原因を特定したら、それを取り除く施術をしていきますが、やはり最終的にはご自身で痛みのケアや体の管理ができるようになっていただきたい。だから最初のステップとして、ご自分の痛みの原因を理解していただくことが大切ですし、セルフケアの知識が重要だと思っています。
――セルフケア指導についてSNSでの発信もされています。SNSを始めたきっかけは?
東京時代から始めてはいたのですが、力を入れ始めたのは独立を決めたときでした。一番の狙いは集客面。他の整体院と差別化して選ばれやすくするために、「竹常先生にお願いします」という状態で来院してもらえるポジションをしっかり作りたかったんです。
そのために自分のしていることや方針を伝えていこうと、本格的にSNSをスタートしました。僕がどういう治療家なのかを知ってもらえることで、「この人に施術してもらいたい」という状態で問い合わせいただけますし、お互いにコミュニケーションが取りやすくなります。そのベースがあると、リピート率や売り上げにもつながっていくんです。
――SNSを始めて反響はいかがでしたか?
独立する半年前からスタートしたんですが、ちょうどオープンの1か月前あたりから反響が出始めました。すごくいいタイミングで成果が出てきて、オープンして最初に来てくださったお客様もInstagramからでしたね。そこを目指して作っていたので、成果が出て本当によかったです。
オープンに向けてSNSを作りこむと決めてから、今でもほぼ毎日投稿を継続しています。僕の場合は「痛みを解消していく」というところに重きを置いているので、ダイエットや美容などに走らず、体の不調にフォーカスした投稿をずっと続けて来ました。
――投稿を継続するコツなどはありますか?
投稿内容は、お客様の悩みにこたえたものがほとんどなので、ネタに困ることはないんです。施術後は毎回セルフケア方法をお伝えしているんですが、それを「動画にしておくので見てください」という感じで。話して伝えるだけだと覚えるのも大変ですから、動画になっているとお客様も見やすいですし、投稿も続けやすいんです。
Uターン開業を想定して東京で多くの経験を積み、ついに地元広島県で整体院をスタートした竹常さん。集客を見越したSNS戦略など、しっかり経営のことを考えて地方で活動していると感じました。次回後編では、そんな竹常さんが、地方で整体院を経営するうえで大切にしていることを教えていただきます。
取材・文/山本二季