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介護・看護・リハビリ 2020-05-27

ケアハウスについて

名前は聞くけど、よくわからないという人が多い「ケアハウス」。軽費老人ホームとの違いもよくわからない。ここではそんなケアハウスについて、ケアハウスとはどんなところか、他の施設との違い、入所できる条件、人員基準、どんなサービスを受けられるのか、入所にかかる費用、入所手続き方法、ケアハウス内の設備などを詳しくご紹介します。

ケアハウスとは?

ケアハウスとは、身体的機能の低下などによりひとり暮らしに不安がある方で、身寄りがない、または家族との同居が困難な方を対象とする福祉施設です。社会福祉法人や地方自治体が運営しており、自治体の助成を受けるため比較的低価格で利用できることが大きな特徴です。

ケアハウスには「一般(自立)型」と「介護(特定施設)型」があり、一般型では日常生活のサポートを受けることがメインとなり、施設での介護サポートはありません。介護が必要になった場合は、訪問ヘルパーなど外部の介護サービスを利用することになります。

介護型では施設スタッフによる介護サービスを受けることができます。要介護1以上で65歳以上の方が対象となります。その分、初期費用や月額利用料が一般型より高くなります。利用者の介護度が上がった場合、介護型ではそのまま住み続けられますが、一般型では退居を求められる場合もあります。

ケアハウスは「軽費老人ホームC型」ともよばれますが、平成20年から軽費老人ホームA型、B型、C型すべてが「ケアハウス」の基準に統一されたため、現在では軽費老人ホームはほとんどここの「ケアハウス」のことを指しています。

ケアハウスは軽費老人ホーム

老人福祉法による定義はここではお話しませんが、軽費老人ホームとは、比較的リーズナブルな費用で利用できる福祉施設です。軽費老人ホームにはA型・B型・C型の3種類があり、A型が自立はしているものの自炊が出来ない高齢者向けで、食事付きです(不要の場合は断ることもできます)。B型では食事が付いていないので、自炊が基本です。そのためB型では自炊できないと入所することはできません。そして、C型の軽費老人ホームがケアハウスのことを指し、特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設です。C型では食事提供があることから、システム的にはA型とよく似ています。違いとしては入居一時金や家賃が不要なA型・B型に対して、C型(ケアハウス)ではそれらが必要ということです。

A型・B型・C型とも、基本的に「自立している高齢者」ということが条件ですが、入所中に介護が必要になった場合でも、外部の介護サービスを利用して、入所を続けることができます。

ケアハウスの入所基準・対象者

ケアハウスの入所基準

ケアハウスの入所条件は、
1.入居者(夫婦の場合は夫婦のどちらか)が60歳以上(施設によっては65歳以上)であること
2.身寄りがないか諸事情で家族と同居できないこと
3.身の回りのことは自分で行なえるが自炊が困難な状況であること
の、おもに3点です。ほかにも施設によって諸条件があるので確認が必要です。
また、介護型の場合は要介護1以上の認定を受けていることが条件となります。

認知症でも入居できる?

ケアハウスでは自立している高齢者であることが入所条件であり、施設では介護サービスを提供していません。そのため、要介護認定を受けたり、認知症になってしまうと入居できないケアハウスがほとんどですが、最近では認知症でも対応可の施設や軽度の要介護認定を受けた人も入居できる「介護型ケアハウス」も誕生しています。

生活保護を受けていても入居できる?

ケアハウスによって異なりますが、生活保護を受けている高齢者は、ほとんどの施設では入居不可です。生活保護を受けていると住宅扶助という費用が住宅に支払われ、ケアハウスの入居費用が住宅扶助の金額を超えると入居できないのです。
但し、施設によっては、入居可のところもあるため、要確認です。

ケアハウスの人員基準

ケアハウスの人員基準・設備基準・運営基準は下表の通りです。

ケアハウスの人員・設備・運営基準
入所定員 法令として定められた基準はありません。事業所によって社内基準等で定められた定員がありますので、
それを遵守する必要があります。
設備関係 建物は耐火、又は準耐火建築物であること(但し、知事が認めた場合を除く)。
居室 個室の場合の広さは21.6㎡以上(洗面所、トイレ、収納施設、調理設備を除いた有効面積は14.85㎡以上)
2人部屋の場合は、31.9㎡以上。
※但し、10部屋程度の居室、及び談話室・娯楽室または集会室・食堂などの共同生活室で構成される場合の個室については、
15.63㎡以上(洗面所、トイレ、収納施設、調理設備を除いた有効面積は13.2㎡以上)、2人部屋の場合は23.45㎡以上。
緊急ブザーを設けること。
共有部分 共有部分には食堂、談話室(娯楽室・集会室でも可)、宿直室、トイレ、浴室、調理室、面談室が必要です。
但し、他の福祉施設の設備を利用することで、サービス提供に支障がない場合は、設備の一部を設けないことができます。
人員基準 ・施設長(常勤:1人)
生活相談員(常勤:1人以上 入居者120人に対し1人以上)
・介護職員(常勤:1人以上 入居者30人に対し1人以上)
栄養士(1人以上)
※1 入所定員が40以下の場合、栄養士を配置しなくても良い。
※2 他の社会福祉施設の栄養士との連携により、効率的な運営ができる場合、栄養士を配置しなくても良い。
(※1・2とも、入所者への提供サービスに支障がない場合に限る)
・事務員(1人以上)
※3 入所定員が60人以下の場合、事務員を配置しなくても良い。
※4 他の社会福祉施設等を併設している場合、事務員を配置しなくても良い。
(※3・4とも、入所者への提供サービスに支障がない場合に限る)
・調理員、その他適宜
自炊支援 規程なし

ケアハウスで受けられるサービス

日常に必要なサービス(見守りや外出の際のサポート、必要に応じた家事サポート)、食事提供サービスが基本です。一般型の利用者が要支援・要介護認定を受けた場合は、施設が提携している外部サービス(訪問介護or通所介護)にて食事、生活相談、入浴準備などの日常生活にかかる軽度の介護サービスも受けることができます。

介護型のケアハウスの場合は、常勤のスタッフにより日常生活の介護やリハビリなどの介護サービスを受けることが可能です。胃ろうや尿管カテーテル、たん吸引、床ずれなどの医療ケアについては行っていないところが多いようです。

ケアハウスのメリット・デメリット

・ケアハウスのメリット
ケアハウスのメリットで一番大きいのは、やはり自治体からの助成により低料金で利用できるところです。また、介護サービスを受けることができるため、介護を必要とする方も対象となります。また、介護型の施設では介護度が上がっても入居し続けることができます。

・ケアハウスのデメリット
一般型の場合、日常的な介護サポートや医療措置が必要になった際には特別養護老人ホームなどの介護施設に移らなければならない場合があります。また、都市部にある定員20名以下の小規模な都市型ケアハウスの場合、法律に定められた居室スペースは7.43㎡以上です。都市型でないケアハウスの21.6㎡以上に対して十分な広さが確保されない可能性もあります。

ケアハウスにかかる費用

ケアハウスに入居する場合の多くは、初期費用(入居一時金)と月額利用料が必要です。あくまでも目安ではありますが、初期費用と月額利用料を下表に記します。

初期費用 月額費用
一般型 30万円 7万~13万円
介護型 数十万~数百万円 16万~20万円

但し、介護保険が適用されるサービスを利用した場合は、その費用の1割(または2割)が加算されます。

ケアハウスの設備

ケアハウスは館内の設計がバリアフリーとなっているため、高齢者が行動しやすいのが特長です。居室は基本的に個室で、夫婦での入居者のために2人部屋が用意されている施設もあります。居室には緊急通報装置やミニキッチン、洗面所、トイレが設置されており、共用スペースには談話室や娯楽室も設けられています。介護型の施設には機能訓練室や機械浴槽も設置されていることもあります。

ケアハウスと他の施設の違い

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

サービス付き高齢者向け住宅には、一般型と介護型があります。一般型に入居する際にかかる料金は敷金のみで入居一時金がかからない施設が多く、特定施設に入居する場合は入居一時金がかかるケースもあります。介護サービスにおいては一般型の場合、外部の事業所と個別に契約して介護サービスを受け、特定施設の場合は「特定施設入居者生活介護」により介護サービスを受けることができます。

施設の居室面積は25㎡以上(共同スペース有りの場合は18㎡以上)です。入居条件については、60歳以上、もしくは介護保険法に規定する要介護認定もしくは要支援認定を受けている60歳未満の者と決められています。

有料老人ホーム

有料老人ホームの料金は、施設によって様々です。初期費用は無料の施設もあれば、1億円以上にのぼる施設もあります。月額費用も12万~35万円程度と様々ですが、要介護度が上がると介護費用も高くなることもあります。介護サービスについては、「入浴・排泄・食事介助」「食事の提供」「健康管理」「洗濯・清掃などの家事」のうちいずれかを選択できます。

事業所やタイプ(介護付き・住宅型)によって様々である有料老人ホームは、民間運営で施設によってサービスや設備面でも充実度が変わりますし、入居対象者も施設によって異なります。

ケアハウスの入所手続き方法

ケアハウスへの入所手続きは、各施設の窓口で行います。いくつかの書類を提出したあと、施設のスタッフからの面接を受け、入所の是非が決定されることとなります。入所にあたっては、利用者の健康状態や生活の自立度などが総合的に判断されます。

ケアハウスの求人とは?

ケアハウスにおける生活相談員と看護師の仕事内容や必要なスキルなどを比べてみました。

生活相談員

生活相談員は介護施設における窓口的な業務を担い、利用者の受け入れに必要な説明・契約・手続き・関連機関との連絡・調整などを行います。それ以外にも、利用者個々人のニーズを踏まえた支援計画の企画・実行などの業務も行います。ケアハウスで生活相談員として働くために必要な資格は以下の通りです。

1.社会福祉法・厚生労働省で認められた資格
社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格

上記の資格を持たなくてもOKな場合もあります。

2.自治体により、条件付きで認められる資格・経験
介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護福祉士(経験年数に指定がある場合あり)、特養等でケアプラン作成に関わる実務経験が1年以上ある方、老人福祉施設の施設長を経験した方、その他(一定期間の介護職経験を有する等)
※但し、自治体により、資格要件は異なるため、各自治体担当窓口でご確認ください。

看護師

ケアハウスにおいて看護師に求められる仕事は、日々の生活で必要になる健康管理や医師・医療機関との連携、通院の付き添いなどです。日々の生活で必要になる健康管理とは、介護が必要な方などに対し、必要な健康管理を行い、健康に関する相談を受け付けます。医師や医療機関との連携・病院の付き添いは、入所者が医療を必要とする場合、医師や医療機関と連携をとる業務、通院の付き添いなども看護師の仕事です。また、施設内で利用者が病気や怪我などを負ってしまった場合、医師の指示に基づく処置も必要となります。

必要なスキルとして、ケアハウスで働く看護師には、入居者やスタッフなどの関係者と良好な関係を築き、信頼を得るためにコミュニケーション能力が求められます。また、入居者の体調の変化を気付くための情報を得るためにも、看護師によるコミュニケーションは大切な役割を果たしているのです。

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