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ヘルスケア 2023-08-15

郷ひろみさんも実践! 欠かさない日々のトレーニングこそ身も心も整える最善のアプローチ【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.109/パーソナルトレーナー・吉田直輔さん】#2

「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

今回お話を伺ったのは、パーソナルトレーナー・吉田直輔さん

元総合格闘家の吉田さん。現在はパーソナルトレーナー、美脚美容家として活動されています。8年前より歌手・郷ひろみさんのパーソナルトレーナーも勤め、テレビ出演など多方面で活躍中です。
前編では、パーソナルトレーナーになったきっかけや、サロンに込めた思い・コンセプト、施術の流れを伺いました。
後編では、吉田さんの代表的な1日の流れや、この仕事のやりがいや魅力、未来のパーソナルトレーナーに向けたアドバイスを伺います。

体調がすぐれない日も
トレーニングをすることでベストコンディションに

――吉田さんの代表的な1日の流れを教えていただけますか?

朝は脳がクリーンな状態なので、フルで頭を使うような事務仕事を行っています。例えばSNSを作ったり、施術内容を考察したり、プログラムを考えたり、というようなことですね。

営業は9時からスタートするのですが、1人当たり大体55分くらい。1日3人くらいのお客さまを指導します。このサロンには、僕以外の従業員がもう1人いるので、14時からは彼にバトンタッチ。僕は事務作業を再開します。午後の事務作業は雑務といいますか、頭を使うより量をこなすような仕事です。

最近は帰宅後も自宅で少し仕事をすることが増えましたね。お客さまを指導して、その人が成長するために何をするべきかを考えるのって、終わりがないんですよ。だから時間もかかってしまうのかもしれません。特に僕は、このサロンを経営している身でもありますから。

――お忙しそうですね。ストレス発散のために行っているケアや趣味などはありますか?

ストレッチやマッサージは常に行っていますが、やっぱり一番はトレーニング。今の自分のコンディションを知ることもできますし、トレーニングをしながらそれを整えることもできる。例えば朝は体調が優れなくても、トレーニングしているうちにいつもの調子まで戻すことができるので、そうすると気持ち的にも落ち着きます。

そういう日々のトレーニングの大切さは、郷ひろみさんから教わりました。郷さんは週3回、トレーニングの予定からスケジュールを決めていらっしゃるんですよ。いついかなるときも、基本的にはお休みすることなくいらっしゃいます。年間の半分ぐらいは全国ツアーを回られているので、コンディショニングのためにもトレーニングを欠かさない。だからこそ、常に最高のパフォーマンスができるし、何かアクシデントがあっても平常心でいられるそうです。それって、日々のトレーニングで体も心も整えてらっしゃるからなんですよね。

「全ての人に運動を!」をミッションに
SNSでも「今・ここで・手軽に」できる
エクササイズを発信中

――パーソナルトレーナーのやりがいや魅力を教えてください。

お客さまの人生の一部に介入して、その人の一部になれるということでしょうか。それには当然責任を伴いますし大変ですが、いい方向に向かうことができたり、その瞬間はいい方向でなかったとしても、最終的に振り返った時「やっててよかった」と思ってもらえるように接しています。だから実際にそうなった時は嬉しいですし、それこそやりがい、魅力ですよね。

ちょっと趣旨がずれるかもしれませんが、僕の人生のミッションは「全ての人に運動を!」なんです。というのも、多くの人にとって運動ってハードルが高いと思うんですよ。それにはいろいろ原因があるんですけど、運動が罰ゲームのように感じている人って、結構いますよね。

以前、クリニックの運動療法のトレーナーとして生活習慣病の患者さんに指導をしていた時にアンケートをとったら、99%の人が「運動は必要だと思っているけど、できない、やりたくない」って答えたんですね。じゃあなぜやりたくないかというと、運動に対するイメージが悪くて、「走る」とか「バーベルを持ってスクワットする」とか、すごくハードな運動を思い描いている方がとても多かったんです。

でも、「両手を前に出して手のひらをグーパーするだけでも運動ですよ」と伝えると、みなさん「それならできるかも」とおっしゃる。意識を変えるだけで行動に結びつくんです。だから僕はSNSで、今すぐその場で手軽にできるエクササイズを発信しています。どんなエクササイズにするか決める時は、「ソファーでスマホを見ながらだらっとしている人を、どうやったら動く気にさせられるか」という基準で考えています。

――SNSの投稿には、そういう意図があったんですね!

もちろん中には「自分の貴重な時間を運動に費やしたくない」という人もいらっしゃると思います。でも少しでもいいので運動する時間を作って、運動する人を増やしたい。運動ってメリットしかなくて、デメリットは1つもありませんから。

グッドシェイプでいらっしゃる人たちの1日のルーティンを聞くと、「日々の生活の流れでカーフレイズを10回やっています」とか、日常の中に運動を取り入れている人がすごく多いんです。自分の体とちゃんと向き合っている方が、圧倒的に体型維持されているわけですよね。

特別なことはしなくていいので、日々のちょっとした運動を毎日続ける。そうやって小さな成功体験を積み重ねることでモチベーションにもなりますし、自分の体を考えることにもつながっていくと思います。

簡単なのに効果期待大!
美脚エクササイズをレクチャー

――せっかくなので、毎日取り入れられるような美脚トレーニングを教えていただけますか?

では1つ目は、もも前のハリをとるエクササイズを紹介します。もも前が張っているということは、もも裏の筋肉が伸びているんです。なので、もも裏の筋肉を収縮させて緊張させることで、もも前の筋肉を緩めてハリをとります。

1.脚を伸ばして床に座る。膝がある位置までかかとを引き寄せて、膝を曲げる。両足の幅はこぶし2つ分あける。そのまま体を後ろに倒して仰向けになる。つま先をあげ、腰を丸めるようにして骨盤を後傾させる。

2.息を吐きながらお尻を持ち上げ、かかとと肩甲骨で体を支える。かかとを体に引き寄せるイメージで力を入れると、バランスがとりやすい。ただし、膝の角度が90度より狭くならないように、できるだけ足の位置は体から遠いところでキープする。

3.息を吐き切ったら、息を吸いながら①の姿勢に戻る。これを10回繰り返す。

2つめは、脚のむくみをとるエクササイズです。ふくらはぎの筋肉をしっかり伸ばします。筋肉が伸びるということは、血管を圧迫するということ。ストレッチが終わった後、一気に血管が緩んで血液が開放されることで血流がよくなり、むくみをすっきりさせます。

1.足を肩幅に開いて立つ。体を前に倒して、両手を床につける。両手の幅も肩幅に開く。
2.かかとを床につけたまま膝を伸ばした状態で、両手を少しずつ前に進める。かかとが床から離れそうになる限界の一歩手前で止める。
3.そのままの姿勢でお尻を左右にふる。これを30秒間続ける。

トレーナーに欠かせないコミュニケーション力は
技術として知っておくだけでも半分は補える

――今後力を入れていきたいことや目標などはありますか?

先ほどの「全ての人に運動を!」というミッションのためにも、人の心が動くようなコンテンツを作り続けたいなと思っています。あと、トレーナーの育成ですね。

前半で「トレーナーに向けたコミュニケーション技術のセミナーを行っている」とお伝えしましたが、そういうセミナーって意外と少ないんです。なので僕は、心理カウンセラー協会のセミナーやコーチングのセミナー、行動分析学を学んで、トレーナー向けのコミュニケーションメソッドを作りました。このサロンで働くトレーナーには、それをベースに教育しているのですが、外部の一般トレーナにも広げていきたいなと思ってセミナーを始めたんです。

正直、解剖学などの知識は、インターネット上にもたくさんありますし、いつでも勉強できます。でもコミュニケーション技術って、意外とみんな身につけていない。もちろん持って生まれた能力もありますが、半分は技術として知っておくだけで補えるんです。

例えば、座り位置一つにしてもそう。このサロンでは机の角を挟んでトレーナーとお客さまが斜めに並ぶように椅子と机を配置しているのですが、こうすることでお客さまが話しやすくなるんですよ。よく居酒屋スタイルで、椅子に座ったお客さまに対して床に片膝をついて接客しているトレーナーがいるのですが、それって意外とお客さまにとっては窮屈に感じるんです。そういった細かい技術、僕は環境と呼んでいるのですが、環境を整えるだけでもずいぶん変わりますよね。

――確かに!

もう一つ例をあげると、お客さまがいらした時の[/underline]最初の声かけですね。僕は、毎回同じテンションで挨拶するようにしています。それに対してお客さまがどのように返答されるかで、「今日は体調がいいな」とか「あまり調子が良くなさそうだ」と判断しています。とはいえ、調子が良くなさそうでも、何も聞きません。僕自身がそういう心構えで接客するだけです。

そういう風に常にフラットな精神状態でいるためには、自分自身をしっかり律してコントロールしておく必要がありますけどね。それを何で養えるかというと、やはり日々のトレーニング。[underline]体を整えることで、心も整えておく。プロのトレーナーとして、それは最低限必要なことだと思います。

――今後トレーナーを目指す方にも、ぜひ知っておいていただきたいことですね。ありがとうございました! 最後に、トレーナーの心得3箇条を教えてください。

では、僕がお客さまのことを考える上で大切にしている「3つの場所」を3箇条にしたいと思います。

・未来
一つ目は未来、将来のことですね。目標や目的に向かって、どうやって指導していくか、どういうプログラミングをするかを考えること。

・現在
目標に向かって「今」何をすべきか。実際に指導している最中に考えることなのですが、例えばその日の体調やコンディションに合わせてどういう風に調整していくか、ということです。場合によってはその日調子が悪くて、すごく頑張っているのに思い通りの成果が出なかったりすることもあります。

・過去
そこで大事になってくるのが過去。今までの成功体験や努力に目を向けて、声をかけてあげる。頑張っているのに成果が出なくて一番悔しい思いをしているのは、トレーナーではなくお客さまのはずです。思った成果が出ない時、お客さまに対して「お家でもちゃんと実践してきましたか? 努力していますか?」と言ってしまうトレーナーもたまにいるのですが、これはよくありません。

――一生懸命に向き合っているからこそしょうけど、言われた側からすると辛いかもしれないです……。

そういう時こそ目を向けて欲しいのは、今現在ではなく、過去。過去の努力を振り返って、「こんなにいい経験もありましたよね」「続けていれば、これからもまた良くなりますよ」って引っ張ってあげるのがトレーナーの役割です。

基本的にトレーナーはお客さまと伴走しているイメージですが、未来を考える時はちょっと背中を押してあげる、過去を考える時はちょっと引っ張ってあげる。そういうイメージで接することが大切だと思います。

取材・文/児玉知子
撮影/喜多二三雄

information

Ves 脚骨格改善×美脚サロン
住所:東京都渋谷区代々木2丁目16-15 オークビル102
電話:03-6276-8716

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