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ヘルスケア 2023-03-17

「椎名式」「アロマ整体」…独自の手技を体得。根底にあるのは、業界に貢献したい気持ち【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.91 整体師 椎名宣行さん】#2

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。

今回は、「出張整体」で活躍している、整体師の椎名宣行さんにインタビュー。

東洋医学をベースとした施術から始めた椎名さんですが、多様な手技を習得されています。いかにしてその手技を磨いてきたのでしょう。

前編では、整体師を志してからの経緯や開業してから大変だったこと、嬉しいことを伺いました。後編では、「椎名式」や「アロマ整体」といった手技について。さらには手技をどのように広めているのか、オンラインコンテンツや塾といったさまざまな手段についてお聞きします。

お話を伺ったのは…
整体師 椎名宣行さん

大学卒業後、新卒時から外食産業で中間管理職として30代前半まで勤務。整体師に興味を持ち、働きながら学校へ。手技を取得したのちに「出張・椎名屋」を副業しながら、月60人もの集客ができるようになった半年後に独立。現在は施術にとどまらず、幅広い知見と技術力で指導や講師業も務める。

YouTubeチャンネル「ハピセラTV」

悩める施術者に手を差し伸べるため、自身で体得した手技を指導

趣味は登山という椎名さんは、なんと「登山部」までつくりました。「お客様の不調を改善するには自身の軸を保つことが必要。同業者も集めて、体力や精神をメンテナンスする場でもあります」。

――施術のほか、指導や講師もしていらっしゃるそうですね。

そうなんです。個別に指導を行うコース、「椎名塾」やオンラインコンテンツで手技を配信するサービスを行っています。

――「椎名塾」とは?

今から10年前、整体学校時代の友人たちと集まって月イチで手技の練習会を開いていたのですが、講師付き勉強会にしたくて、練習会の場を改めて作りたいと思って始めたのが、「椎名塾」の始まりでした。

当時主流だったmixi(ミクシィ)でお互い練習しませんか?と募り、スタート。さまざまな流派の人と交流し、練習することで、一つの手技に偏らない施術者を目指すコミュニティにしました。

――どんな指導をされていますか?

私が教えるのは、「椎名式」という施術。私はこれを「表裏一体無重力整体」と呼んでいます(笑)。「表裏一体」と「無重力」が掛け合わされた施術で、それぞれに意味があるんですよ。

――いったいどんな施術なのでしょうか!?

例えば肩こりの場合、「凝っているところをほぐす」考え方が多いと思いますが、実は凝っている部分をほぐしたとしてもそれは一時的な処置にしか過ぎません

凝っているところと反対にある縮んだ筋肉をほぐすことで、凝っている部分を触らなくても自然にほぐれて改善されます。これが「表裏一体」の部分です。

総合的に「表裏一体」とは、身体が疲れて精神が病んでしまっているのか?逆に精神(ストレス)がかかり過ぎて身体が辛くなっているのか?の表裏一体の意味もあり、その辺の紐解きも重要になります。

――「無重力」とは?

人間って重力がかかっていることで、腰痛などに不調が現れるんですね。これを施術者が症状のある部位を物理的に持ち上げて「無重力」状態にしてほぐす。無重力をキープしているときに独自の手技を施し、拮抗筋に焦点を当てた施術を行います。

宇宙飛行士の方のブログを見たとき、宇宙空間では肩は一切凝らないという言葉がヒントになりましたね。重力がかかるから肩がこるので、その辺を無重力施術に取り入れています。

――続いて、オンラインコンテンツについても教えてください。

自宅で整体が学べる「NOBU整体オンライン道場」は、構想に1年かけた末、去年の4月にスタートさせました。NODのNは私の名前のNOBUで、Oはオンラインで、Dは道場の意味。

いちコンテンツにつき12回の講座を設けており、現在公開しているのは「NODアロマ整体コース」。次のコースは思案中です。

――「NODアロマ整体コース」のターゲット層は?

すでに自分の手技を持っているアロマセラピストや整体師がベースです。たくさんいるアロマセラピストや整体師の中で何かに特化し、差別化できることを目指しています

――習得することのメリットはなんでしょう?

今後、他のセラピストより特化して生き残るためには「ただ気持ち良かった」「癒された」だけでは正直難しく、「癒し」の先を獲得することが必要です。そのためにプラスで身につけるといい手技を配信しています。

――手技について詳しく教えてください。

単純にアロマと整体を組み合わせた手技で、整体の関節を動かすダイナミックな手技を加えながらアロマトリートメントを行います。

アロマトリートメントだけでは改善されない肩こりの症状も、整体の手技を加えることで緩和されるのでお客様の満足度も高いんですよ。

業界を盛り上げたい一心で、出し惜しみしない情報を各チャンネルで配信中

椎名さんに今後の目標を聞いてみると…「全国だと交通費や拘束時間により、高額になってしまうのですが、それでも僕の施術を受けたいと依頼をいただけるまで目指したいですね」。
他にも講師として全国を視野に活躍し、手技を広めたいとのことです

――癒しだけじゃなく不調が緩和されるのは、お客様も嬉しいでしょうね。特に取り組んでいることもお聞かせください。

YouTubeに力を入れています。

今は目的が違う5つのチャンネルを運営していて、そのうちの「ハピセラTV」というセラピストを応援するチャンネルに特に取り組んでいます。現在、6100人のチャンネル登録者数を最終的には10万人まで目指しており、まずは年内に1万人と考えています。

他のチャンネルは、「椎名塾」の勉強会の様子、「出張整体」は普段のお客様の施術風景、「NODアロマ整体」と題してオンラインコンテンツについて、あとは趣味の「登山部」。趣味を除いては、集客することも含めて配信を行っています。興味がある方はぜひ、ご覧になってください。

ちなみに「椎名塾」で配信している手技のノウハウは、生徒から「これが無料でいいのか?」と言われるほど学びが詰まった内容になっています。

――有料レベルの手技を無料のまま公開しているのは集客のためですか?

それよりも、技術面で悩んでいる同業界の施術者の役に立ちたいんです。

私が整体師を志したときは、手技を出し惜しみする整体師ばかりで、駆け出しの人は勝手に見て学ぶしかなかった時代でしたから。

今はわりと手技を公開する機会も多いですし、出し惜しみするよりもみんなで技術を高めていこうという傾向だと感じます。

――では、今後目指す方にどんなアドバイスをされますか?

一口に整体師といっても、治療や癒しに特化した施術と、種類はさまざまです。そのたくさんある流派の中から、自分が何をしたいのか、何に重きをおきたいのかしっかり考えてから動くことが必要です。

まずは、しっかり自分の考えを固めてから動き出してみてください。

整体師として独立するために必要なこと3つ

1.自分の基盤となる流派を選び、向けて習得する

2.お客様の要望に柔軟に応える努力をする

3.ひとつの手技に偏らず、さまざまな手技を取り入れてみる


取材・文/東菜々(レ・キャトル)
撮影/SHOHEI

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