さまざまな仕事を経験し、たどり着いたリンパセラピストの道【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.129 リンパセラピスト 穴田美緒(はちみつ先生)さん】#1
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。
今回は、リンパセラピストの穴田美緒さんにインタビュー。セラピストになる前は、管理栄養士やアロマなど、さまざまな仕事を経験してきた穴田さん。一体どんな道のりをたどり、今の仕事をすることになったのでしょうか。前編では、リンパセラピストになるまでの経緯を詳しくお聞きします。
お話を伺ったのは…
リンパセラピスト 穴田美緒さん
大学卒業とともに管理栄養士の資格を取得。さまざまな仕事をしながら、副業として管理栄養士の仕事も経験。30代後半にアロマに目覚め、アロマスクールに進学。卒業後は、アロマサロンで勤務をするもオイルが扱えない体質であることに気づき、リンパセラピストにシフト。現在12年目にして、X(旧:Twitter)のフォロワー数は約5万人を越えており、オンラインにて「指リンパ®︎」を広めている。
30代後半でアロマに興味を持ち、本格的に取り組み始めた
――管理栄養士の資格もお持ちだとか。そのきっかけは?
最初から管理栄養士を目指していたわけではなく、食べ物について知っていておきたいくらいの気持ちで、管理栄養士の資格が取れる大学に進学したんです。結果、その資格はセラピストをする前に副業として活用できました。
――そうだったのですね。では、この業界に進むまでの経緯をお聞かせください。
リンパセラピストとして活動するまで本当にいろいろな仕事をしてきました。
大学卒業後は、先を見据えてIT業界に就職。ところが、もともと機械に対して苦手意識があったことを改善できず、1年で退職してしまったんです。
IT系の会社は毎日周りに追いつこうと必死に働いていたので、次は心を落ち着かせて働ける場所を希望していました。そんなとき、大学時代の恩師から大阪大学医学部の関連施設で秘書の仕事を紹介いただき、同時に管理栄養士の仕事を副業として始めました。具体的には、プロ野球チームの方々への栄養指導係としてのサポートなど。ここでいろいろな仕事を経験できたのは、人との出会いに恵まれていたからだと思っています。
3年経った頃に医療現場でプロ意識を持っている医師や教授を見て、自分もそうしたプロフェッショナルな仕事をしたいと思うようになり、今度は簿記を習おうと。実は私の家は会計士や税理士の家系で、同じ道を目指そうと思ったんです。ところが、行った先で「教えてみないか?」と誘われ、講師をすることになってしまって。それがとても楽しくて性に合っていたようなんです。非常勤の講師でしたが、ありがたいことに生徒さんからの評判も良かったので、常勤の勤務並みに働く毎日。このときも管理栄養士を続けながら働き、30代を過ごしました。
――管理栄養士の経験も積まれていた中、この業界に進んだきっかけは?
30代後半になったときに、アロマの本と出会ったのが大きなきっかけです。アロマに興味を持ってからはハーブ専門店に通ってお店の方と仲良くなったり、アロマ検定を受けてみたり、どんどん詳しくなりました。
その時期にちょうど、ある講演会に参加する機会があり、そこで出会った病院の先生から秘書を頼まれて請け負うことになったんです。そこは西日本の中でも多くのお看取りをしている病院で有名なところ。働く先生たちやお看取りの現場を見るうちに、何か自分にできることがないかと思う気持ちが強くなっていきました。
アロママッサージを習得するも、リンパドレナージにシフト!
――その気持ちから、アロマの道へ?
最初は、辛い状況にある人が「生きていて良かった」と思える仕事に関われたら良いなと漠然としていました。
そんなとき、たまたまホテルに併設されているアロママッサージの半額チケットをいただいたんですね。私自身、人に体を触られることが得意ではなかったので躊躇しましたが、せっかくだからと体験に行ってみたらすごく気持ちよくて。このマッサージをきっかけに人を癒す職業に就く決意を固めました。
――意志を固めてからどんな行動を?
お看取りの現場を間近で見ていた私は、既に病気を患っていたり、寝たきりになっていたりする方に癒しを届けるための方法を学びたいと考えていたので、それに特化したイギリス発のメディカルアロマを指導するスクールに通い始めました。
そのとき私の年齢は41歳。早めに資格を取得したい気持ちから、半年コースを選択し、仕事も辞めて本腰を入れてアロマの世界に没入しました。
――では、アロマからリンパドレナージに移行した理由は?
理由はシンプルで、私の皮膚が弱かったのが原因です。
学校を卒業したあとは実績がほしかったのでホテルの直営アロマサロンに就職しましたが、アロマの材料による手荒れがひどくて。そんなとき、学校の医療リンパの指導者だった先生に相談したところ、アロマ材を使わない医療のリンパドレナージが良いのでは?との提案があり、従うことにしたんです。
――先生のアドバイスにより、リンパドレナージを始めたのですね。その後は?
アロマを辞めてからは、自宅でリンパサロンをオープンしました。自宅の場所は自然豊かな森の中でロケーションも良かったので、お客様からの評判も良かったですね。
――さまざまな仕事を経験したあとで、新しい道に進むことへの不安はありませんでしたか?
もちろん最初は不安でした。でも、「やるしかない!」の気持ちで必死に取り組むうちに、だんだん道は開けてきたと感じます。年齢関係なく、興味を持った時点で始めてみると良いのだと思える出来事でした。
アロマを経験し、リンパドレナージにシフトした穴田さんが「指リンパ®︎」を広めるきっかけになった出来事とは? 後編で詳しく伺います。
取材・文/東 菜々(レ・キャトル)
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