いろいろな知識と技を身につけて、お客さま一人一人に合わせたオーダーメイドの施術を!【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.73 /Total Body Care Yuzu 新宿御苑 松野都さん】#1
「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。
今回お話を伺ったのは、
トータルボディケアサロン「YUZU」のオーナーセラピスト・松野都さん。
頭蓋骨矯正、タイ古式マッサージ、アロマトリートメントなど、さまざまな知識と技を組み合わせて、頭のてっぺんから足の先までトータルでケアしてもらえる「YUZU」は、女性専用の完全貸切プライベートサロン。テクニックはもちろんのこと、お客さまに寄り添った丁寧な接客が人気で、多くのお客さまが癒しを求めて訪れています。
前編では、そんな「YUZU」のオーナーセラピスト・松野さんに、セラピストになったきっかけや、独立した時の思い、資格の勉強法などを伺います。
「もっと一人一人のお客さまに寄り添って施術したい」
その思いを大切に、独立を決意!
――セラピストになったきっかけは?
学生時代から接客業のアルバイトをやっていて、将来は人と関われる仕事がしたいと思っていました。ただ、セラピストになるとは思っていなくて、大学ではスポーツ心理学を学んでいました。
就活中、どんな仕事が自分に合っているか考えている頃、母がマッサージ教室に通っていたんです。自宅で母の練習台になっていた時に、マッサージで人を癒す仕事もいいなって思うようになって、この道に進もうと決意しました。
――お母さまの影響だったんですね。卒業後は?
とりあえずはスポーツジムの受付と、そこではキッズスクールもあったので、そのアシスタントをしながら、社会人向けの整体の学校に通い、資格を取りました。半年ぐらいだったと思います。その後、ストレッチをメインにした整体サロンに勤めました。
そこは研修がしっかりしたところだったので、資格学校卒業後、改めて実践勉強できたのはすごく良かったですね。そこでは3年ぐらい勤めました。
――独立した理由は?
これはどこの店舗でも同じだと思うのですが、たくさんのお客さんが来るような大きいサロンだと、お客さんとお客さんの間のインターバルが、結構短いんです。そこはだいたい10分ぐらいだったかな? それだと、場合によってはお迎えからお見送りまでちゃんと対応できなくて、時には「ちょっとすみません、代わりますね」って、バタバタ引き継ぐこともありました。
これだと一人一人のお客さんとちゃんと向き合えていないなって、それがすごく気になっていて。もっと一人一人のお客さんに寄り添った施術がしたいなと思い、独立を決めたんです。
独立当初は集客に苦戦!
プライベートなつながりで、思わぬ好機に。
――勤めていたところを辞めて、すぐ独立したんですか?
いえ。母の知り合いで個人サロンを経営している人がいたので、そこで少し働かせてもらいながら独立の準備をしました。1年ぐらいでしょうか。そこでは頭蓋骨矯正やコルギフェイシャルの施術をしていたので、その資格も取りました。
――それが今の施術メニューにもなっているんですね。ちなみに独立後、経営面はどうでしたか?
思っていた以上に大変でした。やっぱり集客が一番難しくて、手当たり次第、集客サイトに登録したり、初回クーポンを出したり、必死であれこれ試しましたね。
でも一番効果的だった集客は、プライベートのつながりだったんです。実は私、お酒が大好きで、コロナ前はよく飲み歩いていたのですが、この辺り(新宿御苑)って個人経営の居酒屋が多いんです。そういうところには常連さんもたくさんいらっしゃる。そこで知り合った人に、「実は私、こういうサロンをやっているんです」って言うと、「じゃあ今度行くよ」って、実際に来てくれる人がたくさんいて。すごく嬉しかったですね。
そういう風に飲み屋さんで知り合った方に、新宿御苑のタウン誌を作っている方もいました。その人の紹介で、タウン誌にも載せてもらうようになったんです。そこから徐々にお客さんも増えて、なんとか安定していった感じです。
でもその後、コロナが流行ってしまって……。このサロンは開業して4年目になるんですが、ちょうど2年目を過ぎたあたりで新型コロナが流行しました。せっかく経営も安定してきた頃だったのに、一気に不安定になってしまって、辛かったです。
――大きな打撃でしたね……。その期間はどうされていたんですか?
もうインプットの時間だと割り切って、勉強の時間に当てました。なかでも解剖学は、本来ずっと勉強し続けなきゃいけないんですけど、普段あまり時間が取れていなかったので。今思えば、いい機会だったかもしれません。今はなんとか経営面も持ち返してきたので、このまま落ち着いて欲しいです……!
たくさんの資格(=選択肢)があるからこそ
お客さまの悩みに合わせたベストな施術が提案できる!
――ちなみに松野さんはたくさんの資格をお持ちですよね。今、このサロンで受けられる施術は全部でいくつあるんですか?
今私が持っている資格は、
・整体
・リフレクソロジー
・アロママッサージ
・頭蓋骨矯正
・コルギフェイシャル
・タイ古式マッサージ
・チネイザン
の6つですね。
――やはり、いろいろな資格を持っていると、施術の幅が広がりますか?
一つを極める方もいらっしゃるでしょうし、こればっかりは考え方次第ですが、オリジナルというか、それぞれの良さを組み合わせた施術はできるようになると思います。
ここではオーダーメイドコースっていう、施術時間だけをお客さまに決めていただき、あとはカウンセリングに合わせて、私の方で施術内容を決めるコースも用意しています。一人一人のお悩みに合わせて対応できるので、「〇〇が辛いけど、どうしていいかわからない」というお客さんにも喜んでいただけますよ。
例えば、睡眠の質が悪いとか、頭痛、眼精疲労、首肩のコリが辛いっていうお客さまだったら、頭蓋骨矯正をメインにした施術を行います。顔のむくみも取れて、お顔がスッキリしますよ。逆に小顔ケアをメインにしたいならコルギフェイシャルがいいですね。
――ちなみに、これは私感なのですが、コルギフェイシャルって痛いってイメージがあって。あと頭蓋骨矯正とか、施術が難しそう……。
私の場合、教えてもらったのが日本の先生で、本場韓国の施術に比べて日本人のお客さま向けに少しアレンジされたもの。痛みも本場の施術よりマイルドになっています。痛気持ちいい、という感じでしょうか。初心者でも無理なく受けられると思います。
施術の難しさは……そうですね、お客さまの頭部に触れるので、手の感覚を研ぎ澄ます必要はあると思います。こればかりは、たくさんの施術を経験するのが一番ですね。
でも施術の練習って、個人的にやろうとすると、家族とか友達とか、限られた人にしかお願いできないですよね。とはいえ、頭の形とか頭皮の動きとか、首の硬さとか、これらは本当に人それぞれ。いろんな人を触ることで、こういう場合は……とか、この感触は……とか、自分の体に叩き込んでいくので、家族や友人だけではなく、いろんな方を触るのがベスト。そう考えると、実際にその施術をしているサロンで勤めながら勉強するのが一番いいかもしれません。
一人一人のお客さまに寄り添う施術がしたくて、独立を決意した松野さん。たくさんの資格を勉強し、お客さまのお悩み改善に全力で取り組む姿は、初志貫徹! 人気サロンの秘訣が垣間見えた気がします。
後編では、一日の働き方やこの仕事のやりがい、未来のセラピストに向けたアドバイスを伺います。
取材・文/児玉知子
撮影/喜多二三雄