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ヘルスケア 2024-10-03

アロマにプラスα。自分の内面にも目を向ける講座を主宰【もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事Vol.160 cocoty主宰 望月登美子さん】#2

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

ヘルスケア業界のさまざまな働き方をご紹介する本企画。前編に続いてアロマと自然療法の教室、cocotyを主宰する望月登美子さんにお話しを伺います。

前編ではアロマセラピーと出合い、一歩ずつ着実にご自身の教室を立ち上げるための努力を続けていた様子をご紹介しました。

後編では、教室を主宰するにあたって横浜市の起業塾に参加したこと、マインドフルネスやホリスティック医学などさまざまな学びをアロマに結びつけて独自の講座を作り上げたこと、これから起業を目指す方へのアドバイスなどをお届けします。

お話しを伺ったのは…
cocoty
主宰 望月登美子さん

旅行会社および生花業社団法人に勤務するかたわらアロマセラピストの資格を取得。会社勤めをしながら、1998年よりアロマセラピー講座の講師やセラピストとして活動を始める。2018年に退職後、アロマとハーブの卸販売会社にて教育事業部マネージャーに就任。2019年に独立し、アロマテラピーと自然療法の教室cocotyを主宰している。

起業までにやるべきことをリスト化して、できないことは人に頼る!

目標を達成するためのプロセスを体系化した原田メソッドを学んだ望月さん。ご自身の講座にも、原田メソッドを取り入れているそう。

――2019年に独立する前に、どんな準備をしましたか?

アロマセラピーを学び始めると、精油ことだけではなくて、それを使う私たちの身体と心のことをもっと深く知りたくなったんです。それで自然療法やマインドフルネス、解剖生理学、心理学など、さまざまな講座やセミナーに参加しました。

でも、学びを深めていくと、「あれも必要」、「これも必要」って、どんどん学びが広がっていくんですね。個人的に学ぶのが好きなので、これからもずっと学び続けると思います(笑)。

――そんなにたくさん学んだんですね!

特に目標を達成するための技術「原田メソッド」は、起業するための大きな力になりました。

――原田メソッド?

有名な野球選手も使ったメソッドなんですよ。目標を達成するために何をすればいいのか行動計画を立てて実践していくんです。

――具体的にはどんな風に?

例えば、「起業する」という大きな目標を立てたとき、分からないことや不安に感じることがたくさん出てきます。それを書き出して、「この疑問はこの人に質問する」とか、「この不安はこの人に相談する」という具合に、自分が助けてほしいことをリスト化して、助けてくれる方を探しました

――どんな方たちに助けを求めたんですか?

友だちだったり、身内だったり。恩師やプロの方だったこともありました。私がアロマの師匠に起業の相談をしたのも、リスト化したひとつだったんですよ。ただ疑問や不安を書き出すだけでなく、いつまでに相談するか期限を決めておくことも大事なこと。スケジュール通りに一つ一つ解消できたので、無理なく起業することができました。

それでも経営についてはまったく分からなかったので、横浜市が主催する起業塾に参加して勉強しました。行政が提供しているサービスは利用した方がいいと思います。

――何も知らないままでは不安ですよね。

私が教室を開いているのこのレンタルスペースも、起業塾を通して知ったんですよ。女性の起業家だけが利用できる、というのもユニークですよね。いろいろな学びを通して、人脈が広がったのも大きな財産になりました。

自分の内面にスポットを当てる独自の講座を開催!

目標を定めて、そのために必要なプロセスを考えている受講者のみなさん。

――一般的なアロマセラピーの講座と望月さんの講座とはどんな違いがありますか?

目標を達成するためのツールを使って、達成を目指すことと香りを結びつけた「~香りで私を整える~スピリット オブ アロマテラピー」という講座を開催しています。香りを嗅ぐと、自分がどんな感情になるのか、どんな記憶を思い出すのか、この先どういった夢を描きたいのか…そんなイマジネーションやインスピレーションを嗅覚から感じ取る講座です。

――面白そうですね。

香りの力で集中力を高めたり、リラックスしたりしながら目標達成を目指します。
私がアロマテラピーを習い始めた頃は、精油の魅力や効能を学ぶだけの講座でもよかったのですが、今の時代では「物足りない」と感じる方が増えているんじゃないでしょうか。これからはマインドフルネスを取り入れて、もっと自分の内面に入っていくような講座へ広げていきたいと考えています。

――夢がどんどん広がっていきますね。

夢って、1つ叶えたら終わりではないんです。「この次は何をしよう」とか「やってみたけれど、こっちの方が面白そう」とか、考え方も生き方も変わっていきますよね。それでいいんです。変わっていく自分を受け入れることも大事なことだと思っています。
私の講座を受けたメンバーも2~3か月に1度集まってフォローアップセミナーを開いています。進捗具合や違う夢ができたことなどを報告し合っているんですよ。

――目標を定めても、自分一人だけだとなかなか行動に移せないですよね。

そうなんです。フォローアップセミナーで目標達成のプロセスを報告しなければいけないので、「頑張らなくちゃ」と思えるんですよね(笑)。半年とか1年に1回では油断しがち。2~3か月がちょうどいいと思います。

――こちらの教室はレンタルスペースですが、最初からこちらを利用していたんですか?

最初の頃は、知り合いがやっているハーブの教室やサロンを間借りしていました。今までにたくさんの講座を受けてきて、仲間や師匠に出会ったのが私の財産になっています。しょっちゅう会っているワケではありませんが、ずっとご縁が続いていて、助けてほしいときに助けていただいています。

――人脈は作りたくてもそう簡単に作れるものではないですよね。

ものすごく魅力的な方が「コミュニティを作ろう!」って動けば、自然とその方の周りに人が集まってくると思います。でも普通の人が同じような行動をしても難しいですよね。でも私には精油というツールがあります。精油のことを学びに来てくださる方が集まって、自然とコミュニティのようなものができあがった…という感じでしょうか。

――確かに、香りは望月さんの強みですね。

しょっちゅう会わなくても、たまに会いたくなるとか親しい人には話せない悩みを相談したいとか、そんなタイミングでつながっているコミュニティが自然に生まれました。とっても小さな船ですけれど、同じ船に乗っている人同士が互いにサポートし合えたらいいですよね。

自分の人生の主役は自分。あるがままの自分でいい!

悲しいときも辛いときも常に望月さんを支えてくれるのがアロマなのだとか。

――望月さんが今なおこの業界で活躍なさっている原動力は何ですか?

私が他の方に喜んでもらったり、何かできることを考えると、やっぱりずっと続けてきたアロマセラピーなんですよね。いちばん貢献できることなので、辞めたいとは思わないですね。
植物の香りって、やっぱりいちばん私にとって素晴らしいもの。悲しいことや辛いことがあっても、植物の香りは私をいつも助けてくれます

――アロマセラピーが望月さんの自信にもなっているんですね?

そうかもしれません。会社員を辞めてアロマの世界で起業しようと思ったとき、心の片隅に「こんな私が講師になっていいの?」っていう想いも実はあったんです。もっと素敵な方がいるのに、こんな私がやっていけるのか不安になっていました。

――人と比べてしまうのは、よくあることですよね。

そんな不安を感じ取ってくださったのか、ある先輩が「自分の人生の主人公は、他の誰でもなく自分よ」っておっしゃったんですよ。例えばすごく美人で素敵な方でも、私の人生の主人公にはなれないんですよね。脇役でしかない。そんな脇役の人を羨ましがっても仕方がないですよね。「あなたの人生では、あなたがいつもスポットライトを浴びているの」って言われたとき、私は私で生きていけばいい。何も怖がることはないんだと思いました。

――素敵なアドバイスですね。

「自分の人生の主役は自分」というのは他の方にも当てはまることなので、人とのつながりの中で私を押しつけてはいけないな…と常に思っています。他の方の人生では私は脇役。ちょっと出演させていただいてるんです。そのなかで「今週は出番が多いな」とか「ここ数年、出番がないな」とか(笑)。そういうことで人は繋がっているんですよね。

――これから起業を考えている方にアドバイスをお願いします。

苦しんだり、もがいたりしているうちに、自分の好きなことや大切にしているが見えてくると思います。止めずに行動していれば、楽しい出来事もたくさんあります。ヘルスケア業界は、その可能性に満ちた世界なので、一緒に頑張っていきましょう!

望月さん流! アロマセラピストとして長く続けるためのポイント

1.悩みや不安をリスト化して、頼れる人を探す

2.解決までの期限を必ず設定する

3.人生の主役は自分と自覚して人と比べない

ふんわりと包み込むような温かさで取材に応えてくださった望月さん。講座を受ける方たちが、望月さんのファンになってしまうのがよく分かりました。たくさん悩んできたからこそ、その一言一言に重みを感じました。

撮影/森 浩司

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