【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.16】Re.Ra.Ku 山田温子さんが伝えるセラピストの魅力とは
ヘルスケア業界のさまざまな職種にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』の企画。
「Re.Ra.Ku 西武新宿ペペ店」でセラピストとして活躍する山田温子さんに、前回はセラピストを目指したきっかけや、現在に至るまでの経緯をお聞きしました。今回は、山田さんがセラピストになって感じたお仕事の魅力、これからセラピストを目指す人たちへのアドバイスを教えていただきます。
お客様の数だけ学びがある。セラピストって奥が深いなと思います
―セラピストとして働きだして、働く前のイメージとギャップはありましたか?
思っていたより、奥が深かったですね。もともと接客業でしたし、人と話すのも好きなので、手技を習得すれば、それなりにお客様に喜んでいただけると思っていたんです。でも実際は、施術ができたからといって一人前とは全然言えないし、もちろんトークがうまいだけでもダメ。どちらもが合わさって、初めてお客様の満足度が高まるというか。その奥の深さが、面白さでもあり、魅力でもあると思うんですけど…。
いろんな業界、業種の方がいらっしゃって、みなさん共通しているのは「疲れがたまっている」ということ。そこに、どう向き合っていくか、寄り添っていくかっていうのが、難しいところだなと感じています。
―逆に、山田さんが感じるセラピストの魅力とは?
一番は、道具を一切使わずに、自分の手や身体で、お客様を健康に導けること、そして喜んでいただけることです。そして、身近な人にも、自分の施術をすることができる。セラピストを目指すきっかけにもなった祖母に、施術をして喜んでもらえたことは、セラピストになってよかったと思えた一番の出来事でした。
あとは、お客様という存在を通して、いろいろな方に出会えること。接客業のなかでも、身体に触れながら長時間お話しする仕事って、なかなかないじゃないですか。施術の時間のなかで、いろいろなお話をできることは、自分の知識も増やせるし、人間力を高められる経験になっていると感じます。
―お客様とのコミュニケーションは、みなさん苦労される部分かなと思うのですが…。
そうですね。技術は練習あるのみと言うか、勉強すればするだけ自信にもつながるんですけど、コミュニケーションって正解がないので。ひとりに喜んでもらえたことも、他の方には当てはまらないこともあります。お客様が求めていることを汲み取って、察知して、そのお客様にとってのベストのサービスを提供するということが、一番求められている課題なのではないかなと感じます。
―山田さんが、お客様とのコミュニケーションで気をつけていることは?
一番気をつけているのは、温度差をなくすことですね。例えば、急いでいるお客様に、ゆっくりゆったり話しかけるとか、リラックスしているお客様に急かすようにまくしたてるとか。そういった温度差を作ってしまうと、信頼感も得られないですよね。
まずお客様の状況を、なるべく早く察知することが重要だと思います。私は、お客様の表情、声色、テンションを読み取るようにして、どんなことを感じてらっしゃるのかなということを、私なりに想像して寄り添えるように心がけています。
目の前の人を笑顔にできるセラピストは、温かみのある仕事
―セラピストを目指している方にアドバイスをお願いします。
アドバイスと言うとおこがましいんですが…(笑)。セラピストって、目の前の方や大切な人を笑顔にできる仕事。人と人が共存していくうえで、すごく温かみのある仕事だと日々感じます。だから、そういうところを貪欲に追及したら、楽しいんじゃないかなと思います。
自分の好きなお客様だけ施術するとかではなく、たくさんの方に接していくことで、たくさんのことを知り、教養を深められる。そういうセラピストの仕事を好きになってもらえたらいいなと思います。
―山田さん的、セラピストの心得3か条を教えてください!
1.笑顔を忘れないこと
大前提として、お客様は疲れてご来店されます。労いの気持ちや、ご来店に対する感謝の気持ちを込めて、笑顔で癒しをご提供することが、私たちセラピストの使命だと思います。
2.真摯に向き合うこと
お客様と自分自身に真摯に向き合うことは、信頼関係を築くことにつながると思います。セラピストが見落としたお客様のサインはあるか、見落とした際にどんなカバーができるか。そういうところで信頼関係に大きな違いが出てきてしまうと思うんです。
同じコースや施術内容でも、どんなセラピストが施術するかで、価値が変わってきます。信頼関係を築くことで、その価値を高められると思います。
3.向上心を持ち続けること
セラピストが向上心を持っているかは、お客様に見透かされてしまうと思います。たとえば、お客様から質問をされた際に、しっかり答えられるか。即答ができなくても、次のご来店までに調べておけるか。そういう勉強への意欲や行動で、常に成長し続けたいという姿勢をお客様に見せられれば、信頼にもつながるんじゃないかと思います。
―ありがとうございました!
最後に、山田さんの今後の展望を教えてください。
技術もまだまだですし、お客様からもっと信頼されるセラピストになりたいですね。
目標としているセラピストの方がいるんですが、その方は存在がセラピストというか、そこにいるだけで緊張感が取れて身体がほぐれてくるような人で。裏ですごい勉強もするし、お客様に限らず自分と関わる相手に対して「どうしたら喜んでもらえるか」を常に考えられる。そういうセラピストに私も近づけたらいいなと思うので、今後も技術の勉強と、人の笑顔をいかに想像できるかっていうところを、頑張っていきたいと思います。
自分の手技と接遇によって、お客様を笑顔にできるセラピスト。より満足度を高めるためには、向上心を持ち信頼を得ることが大切なんですね。次回は、山田さんの手技&技術をご紹介します。
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【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.16】Re.Ra.Ku 山田温子さん流 セラピストの手技&技術>>
取材・文/山本二季
撮影/片岡 祥
教えてくれたのは…
「Re.Ra.Ku西武新宿ペペ店」セラピスト 山田温子さん
専門学校卒業後、ウェディング業界にて3年勤め、2015年 株式会社メディロムに入社。セラピストとして技術・接遇を追求し、「リラクゼーションコンテストジャパン2019」でグランプリを獲得。お客様に寄り添った提案と施術で人気を集めている。