ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
ヘルスケア 2023-09-27

日常のなかの困りごとを、姿勢ケアを通して改善していく【もっと知りたい!ヘルスケアのお仕事 Vol.115/姿勢調整師 みちのえみこさん】#1

「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

今回お話を伺ったのは、姿勢調整師 みちのえみこさん。

10年を超える会社員生活を経て、2011年12月「姿勢専科・KCSセンター」に参加。現在は恵比寿店の店長として活躍中。姿勢科学の講師として、行政や企業団体等にて講座も開催しています。
前編では、姿勢調整師になったきっかけや、姿勢調整師のお仕事内容についてお聞きします。

自分のケアのために学び始めた姿勢科学・姿勢調整が天職に

――まずはヘルスケア業界に入られた経緯を教えてください。

私は就職氷河期世代だったので、大学卒業時は面接や就職試験を受けた中で内定がとれた印刷会社にそのまま就職しました。その後は転職して派遣社員として働き、派遣先で正社員になって10年ほど働きました。物流関連で国内外に出張に行くことも多く、すごく忙しかったのですが、やってみたい仕事に挑戦させてもらえる職場でした。

その当時、今働いているお店の系列店に、自分の体のケアのために通うようになりました。そのときに「自分の体をしっかり改善するなら、体のことを知ったほうがいいな」と思ったんです。お店の勉強会に参加するようになり、それがきっかけでヘルスケアの仕事に興味を持ちました。

でもそのときは仕事にするというよりも、OLの習い事という感覚だったと思います。それから3年ほどは、仕事と併行して姿勢科学と姿勢調整法の専門教育を学び続けました。週末に勉強会に参加したり、インターンとしてお店の仕事をさせてもらったり。

――実際にお仕事としてスタートしたきっかけは?

東日本大震災があったときに、自分の働き方を見直そうと思うようになったんです。そこから退職の準備をして、この仕事1本でやろうと決めました。

働くのにKCSセンターを選んだのは、自分が通っていたお店だからどんなところか、どんな人たちが働いているのかを知っていたから、というのはあります。勉強するという段階になったときに体系立った学びの仕組み、しっかりした教育プログラムがあると感じられたのも大きいです。

それから13年。最初は神奈川にあるお店に勤務し、今は都内でお店を任せてもらっています。

姿勢調整師は姿勢ケアを通して多くの悩みを改善する仕事


――改めて、姿勢調整師というお仕事について教えてください。

姿勢調整師は、簡単に言うと姿勢をよくする仕事です。姿勢の悪化で起こる体の問題や不調を、姿勢ケアを通じて解決していきます。「姿勢科学」は、生体力学(バイオメカニクス)の観点から、人体の姿勢バランスと筋骨格系の機能的変化の相関関係について研究を行う分野。その姿勢科学を応用して「姿勢が整えば体の機能が正常に働く」「姿勢を改善すればそもそも不調が起きなくなる」と考え、姿勢を改善していく施術が姿勢調整法です。

姿勢を作り上げている骨格と筋肉を中心に専門的に学び、一定の条件をクリアすることで姿勢調整師の資格を取得できます。民間資格ですが1年更新なので、常に技術と知識を磨いていく必要があります。

施術では、関節を直接触って動かしていくこともありますし、筋膜リリースのように筋肉にアプローチすることもあります。KCSセンターでは、さらに運動療法としてトレーニングやストレッチを組み合わせていくこともありますし、栄養面で問題が起きている場合は栄養指導も行います。そういった生理学的な内容も含め、ワンストップでいろんなことに対応できる仕事です。

――例えば、一般的な整体との大きな違いは?

私が体験した整体との比較にはなってしまいますが、多くの整体の場合、最初に行ったときにカウンセリングシートを記入して、その後は同じ施術だけを受けに行く…という感じだったと思います。

KCSセンターでは現状把握をとても重視しているので、初めてお店に来ていただいたらしっかりカウンセリングや検査を行い、体に今どんな問題が起きていて何に困っているのかを確認するんです。姿勢の問題だとしたらどこに問題があるのか、しっかり確認します。
もし問題が姿勢ケアの領域でなく医療を必要とするなら、医療機関と連携して紹介させていただくこともありますね。最初の段階ですごく慎重にみるというのは、とても大切なことだと考えています。

一人ひとり姿勢も体の状態も生活も違います。だからお客様全員に一律に同じことをするわけではありません。初回の検査の内容を慎重に分析し、トラブルの原因と悪化したプロセスを解明して、その人に合った施術計画や改善のためのスケジュールを提案しています。
定期的に検査をしたり、何か状態が変わればそれに対応することもしていきます。現在特に不調がなくても「痛くならないようにする」「いつも健康でいるためにメンテナンスをしておく」という視点で長くお付き合いしている健康意識の高いお客様が多いのも特徴です。

自由度高く、自分がしたいこともできる働き方


――みちのさんの現在の働き方を教えてください。

私は店長をしているので、1日中施術をしているというよりも、運営側の業務や後輩指導などが多いんです。日によっては出張して系列店の後輩指導にあたったり、サポートに入ることもあります。恵比寿という土地柄、お昼の時間にお客様が入ることも多いので、お昼の休憩は取れるときに各自で取っています。

1日ずっとお店にいる場合はこんな感じですが、うちは全スタッフ業務委託で働いているので、勤務時間も自由に設定できるんです。「この日は○時~○時まで」と決められるので、決めた時間に担当のお客様に来ていただいたり、開店時間の途中で外に出たりと、他店と比べるとかなり流動的かと思います。

――講演会などもされているそうですね。

講演会や講座は所属している業界団体で企画して行うこともありますが、企業や公共団体などからご依頼いただくこともあります。

地域の小中学校での講座や講演は、姿勢教育を通じて地域の方に健康で元気にいてもらえるように、地域貢献や社会貢献の活動としておこなっています。そういった活動を通して、一人でも多くの人に姿勢や体のことを知ってもらいたいんです。

お店とは業務委託契約の個人事業主なので、そういった活動の自由度も高いですね。

――みちのさんがお仕事をするうえで大切にしていることは何ですか?

自分自身についてだと、自分が居心地よくできているか、自分の状態がどうかというのは、なるべく考えるようにはしています。すごく忙しいとか大変なときはあるんですが、それが他にまで影響していないかというバランスは、とても重視している部分です。

サービス業なので、自分の体や心の状態が悪いと、提供しているものまで雑になるんじゃないかなと思うんです。それを避けたいので、自分の気持ちに余裕があるかというのは、なるべく気にするようにしています。

――ちょっと気持ちが荒んでいると感じたときの解消法は?

すごく小さなことなんですが、お店でちょっと疲れたなとか、いっぱいいっぱいだなというときは、フラッとお店から出てカフェでお茶を飲んだりします。そういう時間がとれないときも、お店のなかでもお茶を一杯淹れたりして、ちょっと気分転換をはかったり。それができるのも業務委託のいいところかもしれませんね。


次回後編では、みちのさんが感じるお仕事の魅力や大変さ、これからヘルスケアのお仕事を目指す方へのアドバイスをお聞きします。

取材・文/山本二季

Information

KCSセンター恵比寿
住所:東京都渋谷区恵比寿4-10-8 エビスビル301号
TEL:03-6755-5823
みちのさんのInstagram:@emichino

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事