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ヘルスケア 2024-09-24

自分の責任で主体性をもった仕事をするために開業を決意!【もっと知りたいヘルスケアのお仕事 Vol,159】府中きづき鍼灸マッサージ院 高波 洋さん#2

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

前編に続いて、府中きづき鍼灸マッサージ院の院長・高波 洋さんにお話しを伺います。
後編では、スポーツトレーナーになる夢を追いかけて、転職をしながら努力を積み重ねていった高波さんが、フィットネスクラブを退職してご自身の鍼灸マッサージ院を開院したいきさつ、患者さんとの信頼関係を築く難しさ、今でもトレーニングを欠かさない理由などを語っていただきました。

お話しを伺ったのは…
府中きづき鍼灸マッサージ院
院長 高波 洋さん

スポーツトレーナー養成専門学校を卒業後、スポーツクラブを経て病院(PT・トレーナー科)に勤務。その後、都内のリゾートホテル内にあるフィットネスクラブに勤務しながら鍼灸・あん摩マッサージ指圧師を養成する専門学校に通学し、国家資格を取得。2015年11月に東京都府中市に府中きづき鍼灸マッサージ院を開院する。現在は通院施術の対応のほか訪問鍼灸マッサージ、高校サッカー部、社会人女子フットサルチームのトレーナーとしても活動している。

「気づき」と「築き」の想いを込めて命名!

スポーツトレーナーとして高校のサッカーチームと社会人女子フットサルチームでも活躍中。

――鍼灸・あん摩マッサージ指圧師の資格を取得して、アスレティックトレーナーの資格はどのタイミングで?

2014年に取ることができました。鍼灸・あん摩マッサージ指圧師の資格の方が環境にも一緒に勉強するクラスメイトにも恵まれたので、アスレティックトレーナーの資格を取るときより気持ち的にラクだった気がします。

――念願の資格も取れて、トレーナーとしてのお仕事も順調だったのに、なぜ独立を?

会社に所属していると、自分が「こういう風にやりたい」と思ったとき、すぐには動けないんです。まず上司や会社に報告して確認を取ってからではないといけません。組織なので当然ですが、当時は自分の経験が浅いせいかもしれませんが、そこに不自由を感じてしまったんですね。

自分の責任の中で自分の主体性を持って仕事をしたい…と考えるようになっていました。
会社組織の中では生意気な方だったと思います(笑)。何か言われたとき、「いや、違います!」という言葉が先に出てしまうタイプでしたね(笑)。

――トレーナーになりたいと思った時は、施術院のことは思い描いていましたか?

描いてなかったですね。当時はどこかのチームに所属してトレーナーになる…というくらいでしょうか。学生の頃はこの業界のことをよく分かりませんでしたから、仕事をしながらやりたいことが見えるようになりました

――こちらの施術院はどんなきっかけで?

独立しようと思っていたとき、トレーナー仲間の紹介で、家の近所で「いい物件がある」というのを聞いて、すぐ下見したのがここです。もともと整骨院をしていた先生が他の場所に移るというお話しで、待合室のスペースも受付も換気の問題もすべて基準を満たしていました。

自分が開業するときは運動できるスペースと施術スペースの両方が欲しいと思っていた条件もクリア出来たので、即決したんです。

――準備にどのくらいかかったんですか?

2015年5月にここを居抜きで借りられる話をいただいて、7月に契約を済ませました。10月末に退職したので実質3~4か月でしょうか。
もともと整骨院にあったものを再利用させていただいたので、掃除をしたり看板を取り替えたり…ですね。あまりディテールにこだわらないタイプなので(笑)。

――施術院のお名前「きづき」にはどんな意味が?

「気づく」と「築く」の2つの意味を込めています。健康でも運動でも、気づかないといい方向に築くことができないじゃないですか。言葉遊びではないですが、身体のことについて何か人に「気づか」せて「築き」あげるきっかけになれれば良いなと思って名付けました。ちょっと偉そうですみません(笑)。

施術院のコンセプトと患者さんにギャップ!?

「医者の不養生」という言葉が嫌いなのだとか。時間があれば身体作りに余念がない高波さん。

――筋トレの器具があって、その奥に施術のベッドがありますが、そのギャップに初めて来た方はビックリしませんか?

ここのコンセプトが施術と運動指導と生活習慣の改善なんです。鍼灸の学校に行くまでは、施術をすればそれだけでものすごい効果があるんじゃないか…と思っていました。鍼1本ですべて治ってしまうような(笑)。違うんですよね。運動だけでもダメだし、生活習慣や食生活、睡眠も大事。何か1つだけで症状を改善することはできません。施術に運動を組み合わせて、かつ生活習慣を少しずつ変えることで困っている症状は改善できるのでは…とずっと思っていたんです。

――来院するすべての方をこちらの器具を使って指導なさるんですか?

希望があれば指導しますが、この筋トレの器具はパーソナルトレーニングを希望している方が使います。何か症状があって来院する方には、施術ベッドや自宅でもできる簡単な運動やストレッチを指導しています。

――このコンセプトは最初から来院した方たちに受け入れられたんですか?

難しかったですね。フィットネスクラブには運動したい方がいらっしゃいますが、病院やこういった施術院にいらっしゃるのは運動がしたいわけじゃない。むしろ運動したくないから、そういう症状になってしまった方がほとんど。そういった方たちに「運動してください」って言っても、実際にやっていただくのは難しい。

――そうですよね。運動より施術をしてほしい方が多いかもしれませんね。

ここを開院したのが30才そこそこだったし、そんな若造が「運動した方が良い」って言っても耳障りなだけ。運動しなくちゃいけないのは分かっているけど、今は施術してほしいってみなさん思っていたでしょうね。だから、まず、その方がやってほしいことをやる。希望に応えるうちに信頼関係が築けてきますから、その上で運動の指導をするようにしました。

そうすると「気が進まないけれど、この先生の言うことだからやってみようか」って思ってくださるようです。運動すると調子が良くなるので、「あの先生のところに行くと、いろいろ教えてもらえる」というように、知り合いを紹介してくださるんです。

やっぱり信頼関係っていうのが先に来るんだな、というのがこの仕事をしてつくづく思いました。

――こちらにはどんな方がいらっしゃっているんですか?

今日で言えば、午前中は腰の悪いおばあちゃんの施術をして、その後には運動をバリバリやっている社会人の方が筋トレをしていきました。来院する方に合わせて施術も運動の指導もしています。

――高波さんもここで筋トレをなさるんですか?

やってます。自分は「医者の不養生」っていう言葉が大っ嫌いなんです。誰もが具合の悪そうな先生に自分の身体を診てほしくないでしょう。ガリガリだったり肥満体だったり、そんなトレーナーに筋トレの指導をしてほしくないですよね。まずは自分が健康であることを大切にしています。

人の健康に寄与することで人生が豊かにできる!

専門学校時代の友人たちとゴルフへ。身体を動かすことがストレス解消になっているそう。

――ここを拠点にして施術もスポーツトレーナーもして、夢を叶えたんですね。

今は正則学園高等学校のサッカー部と、社会人女子フットサルチームのタパジーダ世田谷のトレーナーをしています。僕のバックグラウンドがサッカーだったので、サッカーがらみのことが多いです。

前職のフィットネスクラブではプロゴルファーをサポートする仕事にも少し関わりました。テレビ局や大手企業が周りにある立地だったので、いろんな業界の方々と関わらせていただきました。こんな私にも良くしてくださるクライアントさんたちがいて、その方たちとのつながりが今もあります。とてもありがたいことですね。

――高波さんは人間関係を大切になさっているんですね。

最後に勤めたスポーツクラブや鍼灸の学校で知り合った友人たちとは今でも交流があります。フィットネスクラブの同僚たちとは、よくゴルフをやるんですよ。

――ヘルスケア業界に進んで良かったことを教えてください。

人の健康に寄与することで、人生を豊かにできることです。この施術院のコンセプトを通して、来院してくださった方の健康や人生にいい変化があったとか、スポーツでいい結果を出せたとか、いい報告をいただけたときは、この仕事をしていて良かったなと思います。何をするにも健康がベースです。健康はお金では買えませんから。

――これからこの業界を目指す方にアドバイスをお願いします。

まずは自分自身を大切にしてください。人の健康に寄与する仕事なので、自分を大切にできない人は他人を大切にすることはできないと思います。その上で、技術や知識を研鑽するのは当たり前だと思うので、まずは好奇心をもって楽しむつもりで勉強もプライベートも充実させるのがいいかなと思います。

高波さん流! 鍼灸マッサージ院 院長として長く続けるためのポイント

1.コンセプトを考え、守っていくこと

2.来院した方の望みに応えて信頼関係を築くこと

3.自分を大切にしてお手本になるような身体作りを心がける

ご自身の施術院を運営しながら、高校生の時からずっと思い描いていたスポーツトレーナーとしても活躍している高波さん。夢の叶え方は1つではないことを教えてくださいました。ここに来院する方の多くは高波さんのお人柄に惚れ込んでいるのだろうな、と感じながらお話しを伺いました。

撮影/森 浩司

information

府中きづき鍼灸マッサージ院
住所:東京都 府中市晴見町3-1-22 レジェンドビル101
TEL:042-306-5107

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