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介護・看護・リハビリ 2021-01-18

利用者の方に信頼していただいたエピソードをご紹介 介護福祉士の日常あるある #12【Q&A編】

デイサービス、訪問介護…、利用者の方に快適な生活を送っていただくよう手助けをする介護のお仕事。体力がいる掃除や移動の手伝い、会話力が試される楽しい空間作りなど、幅広い仕事をこなす必要があるので辛いことも多々あります。ですが、乗り越えた先には利用者の方から嬉しい言葉をいただくこともあるとか。そこで数々の介護現場を渡り歩いてきたと話すベテラン元介護福祉士の國廣幸亜さんに、利用者の方との嬉しかったエピソードから信頼してもらったエピソードまでお聞きしました。

Q.介助中に嬉しかった思い出は?

A.デイサービス勤務中に玄関で利用者さんのお迎えをしていたときです。私の顔をみて「今日はあなたがいるの? うれしい。話したいことがあったのよ」と言ってくださったことがありました。お孫さんの話をよく聞いていたのですが、大学に合格したとのご報告。嬉しかったことを私に伝えたいと思ってくださったことがとても嬉しかったです。

他には私がヘルパー事務所を退職するときに、普段あまり感情を出さない利用者さんが「あなたが良かったのに…」とぽつりとおっしゃってくださったことがありました。せっかく馴染んできたところだったのに申し訳ないという気持ちと、それでも快く送り出してくださった利用者さんの気持ちがとてもありがたかった思い出ですね。あとは心を開いてくださったこともあり、嬉しく思いました。

Q.心を開いてくださった出来事は?

ベッドから車椅子へ乗り移りするトランスに少しコツがいる利用者さんとのお話です。最初は上手くトランスが出来ていたのですが、ある日を境に急にその利用者さんにトランスが出来なくなってしまったのです。もう辞めた方がいいのだろうかと悩んでいたときに、ご本人から「今まで上手に介助してくれたわよね。あなたなら大丈夫。私を練習台にしていいのよ」と言ってくださいました。そこまで言ってくださる利用者さんの想いに応えたくて申し訳ないと思いながらも「やらせてもらえますか?」とお伺いを立てながら何度もトランスをさせていただきました。だんだん感覚を取り戻してトランスが出来るようになり、最後には「あなたが来てくれたの? 良かった〜」とほっとした顔で言っていただけるようになりました。

また、入浴する際、必ず暴れたり強く拒否をしたりする利用者さんがいました。職員間では変に声をかけるよりそっとしておいた方が良いとの認識でしたが、その方の経歴を確認すると大きな会社で責任ある立場だったという記録が。お仕事の話や部下のように質問をするようにしていくと「おお、あんたか」と私を覚えてくださるように。お仕事の話をしながらだと入浴してくださったので他の職員とも連携してその話題をふるようにしたところ、最初こそ嫌がられるものの次第に「仕方ないな」と入浴してくださることが多くなったのです。反対に、心を開いていただこうと取り組んだことが、裏目に出たこともありました。

Q.裏目に出たことは?

A.独居の利用者さんとのお話です。いつも1人なので心配です、と遠方にいるご家族から連絡を受けていたので「私が来たときくらい話し相手にならなければ」と思い、訪問時に出来るだけ話をするよう心がけていました。ところが、事務所に「ヘルパーが喋りすぎる」と連絡が…。静かに過ごしたい方もいるということまで頭が回らず思い込みで仕事をしてしまったことを反省しました。相手の反応を見ながら行動することが大切だなと実感しました。

Q.利用者の方の心を開くためのコツは?

A.利用者さんと適度な心の距離感を保つことです。少し心を開いてくださったのかなと思える瞬間はとても喜ばしく、その後は新たな関わり方やアプローチができる期待が生まれます。ただ、心の距離が近すぎるとお互いつらくなってしまうこともあるので、適度な距離感を心がけつつ、仕事をすることが大切だと思います。ご家族では難しい部分も他人が仕事として関わると、想いを話してもらえるようになることがるのもこのお仕事の大きな役割のひとつ。そのために利用者さんとどうしたら良い関係が築けるのか、観察しながらトライアンドエラーを試しながらも関わっていくことが大切だと私は思っています。

國廣さんが思う・介護のお仕事の魅力3選

1.  あなたに介護してもらいたいと嬉しい言葉をいただくこともある

2. 利用者の方に気遣っていただくこともある

3. 利用者の方と適度な心の距離を保って、心を開いていただくコツも必要

取材・原文/井上桂佑(レ・キャトル)
イラスト・漫画/國廣幸亜

教えてくれたのはこの人!

國廣幸亜さん

訪問介護や介護老人保健施設、デイサービスなど多くの介護現場を渡り歩いたベテランの介護福祉士として活躍し、現在は自身の豊富な介護経験を題材にした漫画などを手がける人気の漫画家として活躍中。
所有資格:介護福祉士

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