魅力いっぱいの発達障がいの子どもたちと関わる児童指導員のお仕事とは/介護リレーインタビュー Vol.23【児童指導員/前澤直美さん】#1
介護業界に携わる皆様のインタビューを通して、介護業界の魅力、多様な働き方を紹介する本連載。
今回は、東京都東久留米市にある児童発達支援教室「こぱんはうすさくら 東久留米教室」で、児童指導員として働いている前澤尚美さんにインタビュー。
社会福祉協議会に26年勤め、生活介護と児童発達支援に携わった前澤さん。一度は児童発達支援から離れたものの、「やっぱり児童発達に関わりたい」と「こぱんはうすさくら」に就職されたそう。
前編では、そんな前澤さんが児童発達支援に戻った理由、児童指導員としてのお仕事についてお聞きします。
ダウン症の方のピュアな世界観に惹かれ児童発達支援の道へ
──まずは介護業界に進まれた理由を教えてください。
小さいころから子ども好きで、中学生で保育士を志すようになり、保育士と幼稚園教諭の資格を取るために児童福祉課程のある短大に入学しました。そこでの生活介護のボランティアで、ダウン症の方と関わる機会があったんです。なんとなく心惹かれるものがあって、その経験がずっと心に残っていました。
でも当時は自信がなくて、卒業後は約9年OLをしていました。でもどこかで障がい者の方と関わりたいという気持ちがあって…。「ボランティアでもいいから福祉に携わりたい」と考えていたタイミングで、社会福祉協議会のお仕事の話があり勤めることになったんです。そこでは生活介護と児童発達支援を経験しました。
──26年勤められた社会福祉協議会を離れたのは何かきっかけがあったんですか?
大きなところだったので自分がしたいことに制限があったり、組織的な理由で子どもとの関わりもあまり楽しめなかったりというところがあったんです。それで少し違う道に行ってみようかなと思って、ヘルパーの資格を取って生活介護や老人介護を経験したり、定型のお子さんたちの保育園で保育士をしたりしました。
──児童発達支援に戻られた理由は?
他で働けば働くほど、「やっぱり児童発達のお子さんたちが好きだな、この子たちに関わりたいな」と思いました。定型のお子さんも、もちろん可愛いんです。でも何かが違うんですよね。
だからただ純粋に、「この子たちが好きで一緒に関わることが楽しい」という気持ちだけで。児童発達支援の仕事に戻って、心がこの子たちを求めていたんだなと感じました。
すごく魅力的なんです。ピュアで人間的に可愛らしい方がすごく多い。成人の方もそうなんですが、幼児になるともっと接するのが楽しくて!世界観や遊び方が独特で、日々驚きと感動があって…。こちらがすごく元気をもらえるんです
子ども1人1人に合わせた療育を提供する児童指導員のお仕事
──児童指導員のお仕事について教えてください。
療育の活動内容を考えて、活動のための制作物を準備し、療育時間には直接的な支援を行います。あとはその日の活動の様子を保護者に伝えるオンライン連絡帳の作成など。
親御さんとの面談や支援計画書の作成などは児童発達支援管理責任者が行っているので、児童指導員は現場でお子さんの支援を担当しています。
私はチーフ指導員なので、各スタッフをまとめたりパートさんに連絡するなどの調整役も担当しています。
「こぱんはうすさくら 東久留米教室」は、10:00~14:30が児童発達支援、15:00~17:00が放課後デイサービスで、土日祝日はどちらも10:00~16:00で支援を行っています。私は児童発達支援メインで配属されていますが、人手が足りない時は放課後デイサービスの活動にも参加します。
──活動内容はどうやって考えているんですか?
日々定員なので、その日によってお子さんのメンバーが変わるんです。今は2歳から6歳まで来てくれているんですが、1人1人の発達の段階がまったく違うんですね。
だから細かい活動内容は、その日のメンバーに合わせて考えています。みんなで公園に行くこともありますし、年長さんと低年齢でクラスを分けてそれぞれの活動をすることもありますね。
子どもたちが飽きないように、音楽や運動遊びなどいろいろなものを織り交ぜて考えています。
子どもが「楽しい」と思う活動とコミュニケーションを提供
──「こぱんはうすさくら 東久留米教室」の特徴やいいなと思うところは?
親御さんに喜んでいただいているのは、土日祝日も開いているところかなと思います。療育施設は基本的に土日祝休みのところがほとんどなので、土日だけ「こぱんはうす」に来る子も多いです。だから土日も含めて療育を提供してあげられるというのは、良いところだなと思います。
スタッフも子どもが大好きな人ばかりで、日々いろんなことを親御さんと相談しながら活動内容も考えています。とても子どもに合った、丁寧な療育をしていると思います。
また親御さんへの連絡もとても丁寧だと感じます。オンラインの連絡帳システムで、写真と文章で活動内容をお伝えするんですが、A4紙1枚分くらいびっしり書くんですよね。私がこれまで経験した施設だと、連絡帳の文章は3・4行くらいのイメージでした。
内容もお子さんの様子をただ伝えるのではなく、その日の活動内容はどんな目的で行われているか、それに対するお子さんの反応はどうだったか、そしてお子さんの特性を踏まえて次はどうつなげていくかというところまで、細かく書いているんです。
日々の中で支援計画書を書いている感じなので、親御さんからはわかりやすいと好評ですし、自信を持って取り組んでいるところです。
──それは保護者の方も安心して預けられそうですね。
低年齢のお子さんと接する上で大切にしていることは何ですか?
大切にしていることはいっぱいあります。でも一番は、「子どもを大切にする」ということ。「あなたと遊べて私も楽しいよ。あなたのことが大好きだよ」ということを、言葉だけじゃなくて笑顔や体で表現することは、いつも心がけています。
また発達になんらかの特性があるお子さんたちなので、いろんなことをわかりやすく伝えてあげる必要もあります。そういった活動やコミュニケーションを通して、お子さんに「ここに来て楽しかった」と思ってもらえたら嬉しいなと思って日々接しています。
………………………………………………………………………………………………………………
長年、児童発達支援に携わってきた前澤さん。「発達に心配があったり知的障がいのあるお子さんたちと関わって、一緒に遊ぶことがすごく好き。その気持ちだけでここまで来た感じ」と笑う姿に、子どもと接する仕事の一番大切なところを感じました。
次回後編では、前澤さんがお仕事に感じる魅力や大変さ、児童指導員を目指す方へのアドバイスをお聞きします。
取材・文/山本二季
撮影/高嶋佳代