【今更聞けない!? 介護のお仕事の基本 vol.3】 熱中症の応急処置とは?
介護のお仕事の基本をおさらいするこの企画。3回目は、訪問介護中に利用者が熱中症になった時の対処法を紹介します。
「熱中症」が疑われたときの応急処置は?
<回答>
熱中症には3段階の重症度があります。重症度によって対応が異なるため、まずはどんな症状かよくみましょう。
<ポイント>
重症度Ⅰ:めまい、大量の汗、あくび、筋肉痛、こむら返り
重症度Ⅱ:頭痛、嘔吐、だるさ、脱力感、集中力や判断力の低下
重症度Ⅲ:意識障害、けいれん、手足を動かせない、発熱(高体温)
重症度Ⅰ、Ⅱの場合は、涼しい場所に移し、衣服を緩めて体を冷やし体温を下げます。バイタルサインと意識状態を確認し、経口補水液などで水分と塩分を補給しましょう。その際、水分の経口摂取ができない場合、応急処置で症状が改善しない場合、悪化していく場合は救急車を呼びます。重症度Ⅱは、医療機関での受診が必要になります。
また、しばらくして症状が落ち着いても、熱中症の初期の症状は、新型コロナウイルスとも似ているため、事業所の上長に報告し、ケアマネージャーにもその症状を伝えておきましょう。
重症度Ⅲの場合は、すぐに救急車を呼び、医療機関へ。救急車が到着するまで、涼しい場所に移し、衣服を緩めて体を冷やします。バイタルサインと意識状態を確認しておきます。
知っておきたい! 熱中症、応急処置のポイント
1.経口補水液を少しずつ飲ませる
水と一緒に塩分を摂取することが重要です。経口補水液がない場合は、1Lの水に1〜2gの塩と大さじ2〜4杯の砂糖を加えると、効率よく水分と塩分が補給できます。これらが近くにない時は、水を少しずつ(約50ml)飲ませましょう。水やスポーツドリンクを大量に飲ませるのはNG。
2.アイスパックや冷水を絞ったタオルで、体を冷やす
大きな血管が通っている部分を冷やすと効果的。両側の首筋、脇の下、足の付け根(そけい部)を冷やします。
文:長井まき
参考:
「事例で学ぶ 介護サービスNG集」日本医療企画
「介護現場で使える 急変時対応便利帖」翔泳社
教えてくれたのは…
内田千惠子さん
公益社団法人 東京都介護福祉士会 常務理事
株式会社あいゆうサポート 代表取締役