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介護・看護・リハビリ 2021-06-06

頭と体を使って認知症を防ぐ!『ボディタッチ』と『4の倍数でポン』【介護レクリエーションvol.26】

現場で役立つレクリエーションのアイディアをご紹介する「介護レクリエーション」。

今回は頭と体を同時に使うことで認知機能を高めるレクリエーションを、レクリエーション・インストラクターの大野孝徳さんに教えていただきます。

「『ボディタッチ』と『4の倍数でポン』というレクリエーションをご紹介します。『ボディタッチ』は、スタッフが身振りと言葉で指示した体の部位を足踏みをしながらタッチするゲームです。一見簡単そうに思えますが、ときどきスタッフは、言葉の指示とは異なる身振りを行うので、目に入る情報にまどわされず、耳からの情報で行動する『認知力』が求められます」(大野さん)

では『4の倍数でポン』は?

「『4の倍数でポン』は、腕振りと足踏みをしながら1…2…3…と、1から順に声に出して数字を数えていき、4の倍数になったときだけ声を出さずにポンと両手をたたくゲームです。数が増えていくにつれ、4の倍数を考える力が必要になるため難易度が上がっていきます」(大野さん)

認知課題(頭を使った課題)と運動課題(体を使った課題)の両方を同時に行うことで、脳と体の機能を向上させることを目的とした『ボディタッチ』と『4の倍数でポン』。
早速、遊び方をご紹介します。

ボディタッチ

【対象者】進行役(スタッフ)の声を認識できる方
【レクの目的】認知症予防
【人数】2人以上
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】参加者が使用する椅子など
【制限時間】5分~
【レクリエーションの内容】スタッフが身振りと言葉で指示した体の部位をタッチするゲームです。ときどきスタッフは身振りと言葉で異なる指示を出すので、身振りに惑わされず、言葉の指示をよく聞いて行動することが重要になります。

遊び方

1. 参加者は輪になって椅子に座り、足踏みをします。スタッフは輪の真ん中に立ちます。
2. スタッフは参加者の足踏みに合わせてパンパンと手を2回たたいたあと、身ぶりと言葉でボディタッチする部位の指示を出します。
(例:パンパンと手を叩いたあと、自身の頭を触りながら「頭」と言う)
参加者は足踏みを続けたまま、スタッフが指示した体の部位を触りましょう。
3. スタッフは部位を変えて2を5~6回繰り返し行いましょう。

4. スタッフはパンパンと手を2回たたいたあと、身振りと異なる部位を言葉で指示しましょう。
(例:パンパンと手を叩いたあと、自身のお腹を触りながら「肩」と言う)
参加者は足踏みを続けたまま、スタッフが言葉で指示した体の部位を触りましょう。
5. 5分程度行ったらゲームを終了しましょう。

進め方のコツ

・参加者の足踏みが止まってしまわないよう、スタッフはこまめに「しっかり足踏みしましょうね」と参加者に呼びかけましょう。

アレンジ

スタッフが「右肩」といったら「左肩」を触る、「お腹」といったら「お腹以外」の部位を触るなど、スタッフの指示とは反対、もしくは違う部位を触るようにゲームの内容をアレンジしてもOKです。

4の倍数でポン

【対象者】行進動作が出来る方(片麻痺であっても可)
【レクの目的】認知症予防
【人数】3人以上(4の倍数の参加人数になる場合は、倍数の数を替える)
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】参加者が使用する椅子など
【制限時間】5分~
【レクリエーションの内容】腕振りと足踏みをしながら1から順に声に出して数字を数えていき、4の倍数になったときだけ声を出して数えずにポンと両手をたたくゲームです。

レクを始める前の準備

・4人や8人など「4の倍数」の参加人数で行う場合は、いつも同じ人が両手をたたくことにならないよう「3の倍数」や「5の倍数」など、倍数の数を変更して行いましょう。

遊び方

1. 参加者は輪になって椅子に座り、最初に数を数え始める人を決めましょう。数え始める人が決まったら、以降は時計回りで数えていくように参加者に呼びかけます。
2. スタッフは手拍子を行い、スタッフの腕振りと足踏みのリズムをとりましょう。参加者はスタッフのリズムに合わせて腕振りと足踏みを行います。

3. 足踏みと腕振りを続けながら、1で決めた数え始めの人から順に、数字を1から声に出して数えていきます。4、8、12、16…など「4の倍数」に当たった人は、数字を声に出さずに手拍子を打ちます。100まで数え終えたらゲームを終了しましょう。

進め方のコツ

・途中で数字が分からなくなってしまった場合は、スタッフが代わりに数字を答えるなどしてサポートしてあげましょう。
・参加者が4の倍数だと気付かずに声に出して数字を数えてしまった場合は、スタッフは「36は4の倍数でしたね」など、優しく参加者に教えてあげましょう。ゲームを中断した際も数え途中の数字から再スタートしてOKです。
・参加者が数字を数えることに集中して腕振りと足踏みを忘れてしまわないよう、スタッフも腕振りと足踏みを行いましょう。

アレンジ

100、99、98…と、100から逆順に数え「5の倍数」で手をたたくようにアレンジしてもOKです。(100からのスタートが難しい場合は、50から行いましょう)。

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今回紹介した『ボディタッチ』と『4の倍数でポン』は、継続して行うことでより認知機能維持・向上が期待できるゲームになります。認知症予防のためにも、頭と体を同時に使うこれらのレクリエーションを是非習慣的に取り入れてみてください。

イラスト:SMILES FACTORY
文:小沼奈央(レ・キャトル)

教えてくれたのは…

大野 孝徳さん

合同会社A-assist代表、介護福祉士、介護予防指導士、レクリエーション・インストラクター。学生時代は子ども会集団指導者講師として岐阜県内でレクリエーション指導に従事。そこでの経験が評価され、介護業界に入職。介護職・相談員・管理職、在宅・施設両面での介護業務と、介護現場において幅広く活躍。2016年に独立し、A-assistを設立。訪問型介護予防体操教室やレクリエーションサポート活動を展開。現在も現場に入り介護福祉士として従事する傍ら、「え~(良い)アシスト」を提供するべく全国を対象に事業を展開している。

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