視覚・聴覚への刺激、手指の運動効果などが期待できる! 脳トレゲーム2【介護レクリエーションvol.34】
現場で役立つレクリエーションのアイディアをご紹介する「介護レクリエーション」。
今回は、チーム戦形式で頭を使って遊ぶゲームレクリエーションを、中級レクリエーション・インストラクターの大野孝徳さんに教えていただきます。
「今回は『ヒントは辞書』と『当て字さがし』という脳トレとして活用できるレクリエーションをご紹介します。『ヒントは辞書』は、辞書に書かれているワードの意味をスタッフが読み上げ、その意味からお題のワードが何なのかを当てるゲームです」(大野さん)
では『当て字探し』は?
「カードに書かれたお題のワードを当て字であらわすゲームです。どちらも紙に書いて発表するので、文字を書く動作が必要になります」(大野さん)
それでは『ヒントは辞書』と『当て字さがし』とを行うことによって期待できる身体面と精神面の効果とは?
「どちらも視覚・聴覚への刺激、手指の運動になります。加えて、思考力の向上、達成感を得る、競争心を養うのにもぴったりなゲームです」(大野さん)
それでは早速、『ヒントは辞書』と『当て字さがし』の遊び方をご紹介。
ヒントは辞書
【対象者】言葉を聞き取れる方であれば参加可能
【レクの目的】視覚・聴覚への刺激、手指の運動、思考力の向上、達成感が得られる、競争心を養う
【人数】9人程度〜
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】国語辞典、紙と筆記用具(1チームにつき1組)、参加者が使用する机と椅子、記録用のホワイトボードなど
【制限時間】5分〜
【レクリエーションの内容】スタッフが読み上げた国語辞書に書かれているお題のワードの意味から、そのワードが何なのかを当てるゲームです。選ぶ言葉によって難易度を自在に変えられます。
レクを始める前の準備
・スタッフは事前に国語辞典を見て、出題する言葉を3〜5問選んでおきましょう。意味や説明が3つ以上ある言葉を選ぶと、ヒントを出しやすくなります。
遊び方
1. 参加者が同じ人数になるように複数のチームを作り、チームごとに席に座ってもらいます。
2. スタッフは出題する言葉の意味を、国語辞典を参考にしながら読み上げます。国語辞典に書かれている言葉の意味をそのまま読み上げるのではなく、参加者に分かりやすいようにアレンジしながら出題してあげましょう。(例:答えが「エビ」の場合、①海水または淡水にすむ甲殻類です。②サクラ●●、クルマ●●という有名な種類も存在します。など)
3. 答えが分かったチームは、紙に書き出してスタッフに見せましょう。答えられた順に3点、2点、1点、ヒントをすべて伝えても答えられなかった場合は0点とし、スタッフはチームごとの得点をホワイトボードに記録しておきます。全ての問題に解答した時点で最も得点の高かったチームの勝ちになります。
進め方のコツ
・スタッフは、辞書の後ろの方に書かれている意味からヒントを読み上げるようにしましょう。答えが徐々に絞られ、参加者が答えを導きやすくなります。
・言葉の意味を読み上げても参加者が答えられない場合は、さらなるヒントとして言葉の使い方や例文を挙げてみましょう。(答えが「カニ」の場合、「さる●●合戦」「ずわい●●」など)。
・難聴の利用者様が居られる場合は、フリップ等も使いながらレクを提供することで万人の方に楽しんでもらえます。
当て字さがし
【対象者】万人の方に楽しんでいただけます
【レクの目的】視覚への刺激、手指の運動、思考力・認知力の向上、達成感が得られる
【人数】9人程度〜
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】課題カード、参加者が使用する机と椅子、記録用のホワイトボードなど
【制限時間】5分〜
【レクリエーションの内容】課題カードに書かれたひらがなの言葉を、あえて当て字の漢字で表すゲームです。反対に、知っていたとしても正しい漢字を書いてしまった場合は、NGとなるので注意が必要。チームで相談しながら渾身の当て字を考えることで、参加者同士の交流を深めながら思考力や認知力の向上が図れます。
レクを始める前の準備
・スタッフは事前に、参加者がわかりやすい単語(野菜や果物、花、魚の名前など)をA3サイズの紙にひらがなで書いた「課題カード」を作っておきましょう。単語が違うものを3〜5枚用意しておくと◎。
遊び方
1. 参加者が同じ人数になるように複数のチームを作り、チームごとに席に座ってもらいます。スタッフは、参加者全員が見える位置に課題カードを貼り付けたホワイトボードを設置しましょう。
2. スタッフの「よーいドン」の合図が聞こえたら、参加者はお題の当て字をチームで話し合って考え、紙に書き出します。スタッフはストップウォッチなどで1分計測しておきましょう。
3. 1分が経過したらゲームを終了し、各チームの答えを発表してもらいます。うまく当て字ができていれば1点、当て字ができなかった字や、正しい漢字が1字でもあった場合は0点です。
4. 1〜3同様に3〜5問出題し、全ての問題に解答した時点で最も得点の高かったチームの勝ちになります。
今回ご紹介したレクリエーションは、解答を考えることで脳の働きを活性化し、ものを考える力の維持・向上が図れます。加えて、対戦式のゲームにすることで競う楽しさ、勝つ喜び、負ける悔しさなども感じることができます。参加者の意見を聞いたうえで、状況に応じて柔軟にアレンジを加えながら取り入れてみてください。
イラスト:SMILES FACTORY
文:小沼奈央(レ・キャトル)
教えてくれたのは…
大野 孝徳さん
合同会社A-assist代表、介護福祉士、介護予防指導士、中級レクリエーション・インストラクター。学生時代は子ども会集団指導者講師として岐阜県内でレクリエーション指導に従事。そこでの経験が評価され、介護業界に入職。介護職・相談員・管理職、在宅・施設両面での介護業務と、介護現場において幅広く活躍。2016年に独立し、A-assistを設立。訪問型介護予防体操教室やレクリエーションサポート活動を展開。現在も現場に入り介護福祉士として従事する傍ら、「え~(良い)アシスト」を提供するべく全国を対象に事業を展開している。