コラム・特集 2017-09-16

トレンドを創る人 Vol.11 GARDEN・高橋俊友さん 得意を伸ばすデザイン戦略 #1

東京ブレンドのメンバーで、現在は「GARDEN harajuku」(ガーデン ハラジュク)にてマネージャーとしても活躍する、スタイリストの高橋俊友さん。
大人ジャニーズ系の端正な顔立ちと優しい語り口調が印象的な、魅力的な美容師さんです。現在40歳の高橋さんは、GARDENの前身である「neutral」(ニュートラル)時代から GARDEN経営陣と共に働いてきた人。
現在200名ものスタッフを抱える人気サロンのトップ美容師としての役割や信念についてお伺いしました。

スタイリストの個性を尊重するからサロンの色はあえて作らない

――代表の3名とは、もう20年来の繋がりがあるそうですね。美容師さんは途中でサロンをお辞めになって独立したり、違うサロンへ再就職する方も多いと思いますが、高橋さんはどのような点においてGARDENに魅力を感じていますか?
「GARDENには代表が3名いますが、美容師としての夢の見せ方、目標の作り方に嘘がないことが魅力だと思っています。つまり、経営者のエゴや理想像を押し付けるようなものではなく、常に世の中の価値を取り入れながら時代に合った働きやすい環境を作ってくれること。また、各店舗を若手に任せて運営できること。これに共感ができたから、長く続けてきたのだと思います」

――具体的にはどんなことでしょうか?
「ヘアサロンって、そのブランドの色があると思うのですがGARDENにはほとんどそれはないです。経営者がお客様のターゲットを絞らないし、アイコン的なものも作らない。
巻き髪ロングじゃなきゃダメとか、ショートカットでモード風とか、ひとつのイメージに絞らないですし、押しつけもありません。
もちろん、イメージを統一して成功しているサロンは多くある。僕自身も“このサロンの統一感のある可愛らしさは素敵だな”とか思いますから。ただ、GARDENはあえてイメージを画一化しないで運営していますね」

――確かにそうですね。有名店で大きなヘアサロンとなると、そのサロンのデザインイメージをはっきり打ち出している。でも、いい意味でGARDENにはそれがないなぁ…と私自身も感じたことがありまして。
「だから、スタッフは自分の好きなテイストや強いデザインを自由に掲げることができるんです。GARDENのホームページを見ていただいてもわかるように、いろいろな女性像が混在しています。組織に属していても自分色が出せる。それがGARDENの特徴のひとつかもしれません」

――ターゲットが広いというのは、上手く働くと強いですよね。
「今はSNSによる集客が当たり前の時代です。個人の携帯に予約が入ることも多いですし。僕のお客様は年齢層も高いので、SNSというツールを頻繁には利用しない方が多いかもしれませんが、若手スタッフの場合はほとんどSNSが集客の窓口みたいなものです。
いかに自分のインスタグラムで情報をのせるか。美容師ですから、集客を考えたら当然、インスタにデザインを載せていきますね。美容クーポンサイトにしても然りです。そこに対するデザインの自由度はかなり高い方だと思います。つまり、個人の強みを最大限に活かす時代だからこそ、会社もそれを認めているという感じ。まぁ、SNSが日常となるずっと前から、そのスタンスはあまり変わらないのですが(笑)」

高橋さんの作品
高橋さんの作品。
左から河上紘之さん(GARDEN Tokyo)、細田真吾さん(GARDEN harajuku)、鈴木綾乃さん(LAiLY)の作品
左から河上紘之さん(GARDEN Tokyo)、細田真吾さん(GARDEN harajuku)、鈴木綾乃さん(LAiLY)の作品。自分の得意なテイストを生かしながら作品を紹介し、幅広い層のお客様を視野に入れた戦術を行っている。

「にわか」は所詮「にわか」でしかない。ならば自分流で突き抜けろ!

「僕がスタイリストデビューしたころは、トレンドの方向性が限られていました。軽めのデザインが流行れば、皆さん軽めをオーダーした時代。でも、今はそうじゃない。トレンドというはっきりしたものに左右されず、個々が好きなテイストを選ぶ時代です。サロンに属した美容師もそうであっていいと思うんです。自分が得意とするジャンルの中で一番になればいい。そのために突き抜ける努力は必要ですが」

――個人のSNSを不特定多数の人が閲覧する時代だからこそ、この考え方は柔軟な集客方法のひとつだと思いますね。すごく時代にマッチングしていて、集客のヒントになりそうです。
「ただ、売れるデザインというのはこの話とまた違いますね。例えば、自分の好きなテイストや得意なデザインが一般的に広く愛されるものなら問題ないのですが、モード系とかショートヘアばかり作りたがるスタイリストだと、好きを追求しただけでは“売れる美容師にはなりにくい”という弱点も出てきます。だから、僕たちが行うスタッフ教育の中で個々の考える“得意なデザイン”と世の中に広く受け入れられる“商業的デザイン”の融合をどうにか構築して伝えたい、という気持ちはあります。ただ、これを成功させることは簡単ではない。日々、ここは模索中です」

高橋さん

職人として技術は絶対。でも、それだけでは生き残れない

――高橋さんの肩書はマネージャーとありますが、具体的にどのような役目なのでしょうか?
「簡単に言うと教育係りです。技術はもちろん、接客業としての教育も伝えるべき立場です。僕の考えとしては技術はある意味、失敗して学ぶものだと思うんです。やり過ぎができないと、加減や塩梅を理解できない。だから、失敗の経験も必要かと。でも、接客は違います」

――接客の良し悪しがリピートを左右するということですね。
「はい、その通りです。ここでテーマとなるのが“美容師の大人化”を図る教育です。SNSによるコミュニケーションが当たり前となった現代は、特に若手の美容師は言葉で伝えたり気持ちで感じ取る作業が鈍くなったような気がしています。これが露呈するとお客様はリピートして下さらない。GARDENにはSNS中心の生活でない大人世代の方もたくさんいらっしゃいますから、言葉のコミュニケーション能力を高めることが若手美容師の絶対的な課題となります。“大人化する”とは、そういう意味です」

言葉で伝え、気持ちを読み取る作業。これに失敗があってはいけないと話す高橋さん。

第二回目のインタビューでは、この点についてより詳しくお伺いします。

取材・文/小澤佐知子
撮影/田中大三

Salon data

店内

GARDEN harajuku(ガーデン ハラジュク)

2006年にオープンした「GARDEN」は、現在GARDEN以外にも「Un ami」「Ramie」「NEUTRAL」「LAiLY」「MARGAUX」など多くのブランドを持つ企業。
多様化するお客様のニーズに応えることを目指し、サロンごとに少しずつイメージを変えている。現在のスタッフは約200名。さまざまなタイプのデザイナーを抱えているので、必ず自分にフィットする人が見つかる。ファッション誌やヘアカタの常連で、巻頭ページも多く手掛ける、日本を代表する実力サロン。
http://www.garden-hair.jp

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