トレンドを創る人 Vol.11 GARDEN・高橋俊友さん 目指すはデザイン占い師! #2

日本を代表するサロン「GARDEN harajuku」(ガーデン ハラジュク)で活躍する高橋俊友さんは、グループ全体で200名いる社員の教育係も担う人。
あえてサロンイメージを固定せず、デザインに対して自由度の高いサロンですが接客のスキルに関しては、世代間を超えて伝えたいことがあるといいます。
2回目のインタビューでは、高橋さんが考える「感覚を研ぎ澄ます接客」についてお伺いします。

カウンセリング力を磨くことは技術向上と同じくらい大事な作業

――教育を担う高橋さんが、若手美容師さんに一番伝えたいことはなんですか?
「僕は“美容師は職人”という意識ですから、技術とデザインの向上はいうまでもありません。それを除いた上で重要なスキルはカウンセリング力だと思っています。技術とデザインとカウンセリング力。この3つは切っても切れない関係です。初めてサロンにいらした方を見た時、瞬時にその方の“こうありたい!”“こうなりたい!”を予測できる力、そこからひも付けて要望を理解するスキルが非常に大切だと考えます」

――確かにどんなにデザインが素敵でも、自分を理解してくれていないと感じてしまうとお客様の満足度は半減してしまいますよね。
「その通りだと思います。集客の仕方やデザインの発信方法は時代によって変化するものですが、カウンセリングに関しては時代を問わず求められるものが一緒なんですよね」

高橋さん

――高橋さん自身は、どの程度のカウンセリング力が必要だと思っていますか?
「お会いしてカウンセリングをしながら、その方のバックグラウンドが見えてくるのが理想ですね。お話しをしながら性格や環境、好き嫌いが短時間で理解できること。そうすると、同じ“可愛い”でも、その人なりの“可愛い”の意味が見えてきます。そこをヘアスタイルに投影できると満足度が高まるのではないでしょうか。“可愛い”ひとつをとっても、ひとそれぞれ、その印象は違いますから」

――わかります! 本当にその通り。どんなに有名な美容師さんでも“自分の好きな可愛い”を理解してもらえていないと、せっかくヘアチェンジしても不完全燃焼な気持ちになってしまうんですよね…
「自分が好きなものと、人がいいと思うデザインは違うということ。これを理解するかしないかで、その後の成長に差がでてくるなぁと感じますね。もちろん、自分が好きなものだけで集客を増やす子も中にはいるんです。そんな子は凄いと思いますけど、基本〝売れるデザイン”を作れるほうが、絶対的に伸びしろが出ますね」

目指すべきは「美容の占い師」

――カウンセリング力というのは、どのようにスキルを上げていけばいいのでしょうか?
「これは、もう教育の中で教えるのは大変ですね。マニュアルではないですから。でも、カウンセリングに特化した勉強会をする必要性はあると思っていて、模索中です。
SNS時代ですから、やはり言葉で発して伝える・感じる、が少々おざなりになっているような気がします。お客様からの言葉を引き出すためには、自分の言葉が十分でないといけませんからね。そこから相手の気持ちや好みを感じ取れれば、求められているデザインがきちんと反映できるんだと思います」

――まるで占い師みたい!
「まさにそうです、その通り! ヘアデザインの占い師になるのが理想の形ですね」

高橋さん
「会話から、その方のライフスタイルや思考がしっかり見えてくるとデザイン力も上がる」と話す高橋さん。

西洋人の質感を軸に自分らしさをプラス

――ところで、高橋さんが思う売れるデザインとは?
「今はやはり西洋人的な質感でしょう。柔らかくてフワッとしていて、透明感がある。そんな印象を求める方が多いですね。だからと言って、昔ほどはっきりとしたトレンドって今はあまりないですよね」

――昔と今はトレンドの訴求力は違いますか?
「僕たちが若手だったころは、音楽シーンに左右される時代でした。ここからトレンドのイメージが作られる時代。音楽とファッションが絶妙にミックスしていたんですね。でも、今はもっとグラデーションがかかっていてボーダーレスなんです。だから、先ほど言いました西洋人風の質感も、ひとつのモデルがあってみんながそちらを向く時代ではない。その人らしさの中で取り入れるバランス力を求められるようになりましたね。
今はまだ途中ではありますが、“個々の強み”が“個々の色”になり、これからのトレンドを牽引できるようにスタッフと共に、日々刺激し合って成長していきたいと思います」

確かにひとつのトレンドにみんながなびく時代ではない昨今。そう考えると、GARDENのようにイメージを固定し過ぎないサロンは、時代に合っているのかもしれません。

日本のサロン業界を牽引するGARDENは、運営方法、教育姿勢など学ぶべき点がたくさんあるサロンでした。今後の活躍も楽しみです。

取材・文/小澤佐知子
撮影/田中大三

Salon data

店内

GARDEN harajuku(ガーデン ハラジュク)

2006年にオープンした「GARDEN」は、現在GARDEN以外にも「Un ami」「Ramie」「NEUTRAL」「LAiLY」「MARGAUX」など多くのブランドを持つ企業。
多様化するお客様のニーズに応えることを目指し、サロンごとに少しずつイメージを変えている。現在のスタッフは約200名。さまざまなタイプのデザイナーを抱えているので、必ず自分にフィットする人が見つかる。ファッション誌やヘアカタの常連で、巻頭ページも多く手掛ける、日本を代表する実力サロン。
http://www.garden-hair.jp

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