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コラム・特集 2017-12-18

僕がSNSをしないワケ! Cocoon 代表・VANさん #1

ハイセンスなカット技術を武器に、雑誌のヘア特集の常連でもあるCocoon(コクーン)のVANさん。美容エディターやライターにも、VANさんのファンはとても多く、そのデザインの高さはお墨付きです。
Cocoonと聞くとおしゃれ系女子がこぞって通う印象を持つ人も多く、美容学生の憧れのサロンであることも事実。トレンドに敏感なスタッフばかりというイメージですが、オーナーのVANさんは業界でも有名な「硬派」な方。いつでもユーモアを忘れないサービス精神を保ちながらも、職人気質でコツコツと美容に向き合い、成功した方です。
ご自身はSNSをほとんど利用せず、それでも日本のトップクラスの売り上げを誇るVANさん。その美容魂に迫ります。本当の集客とは?不安を自信に変える方法とは?など、アドバイスしていただきました。

インスタ?僕は全く興味ないです

VANさんは日本の美容師の中でも、トップランクの売り上げを誇る、超・実力派美容師です。何千人もの美容師と仕事をする美容ライターやエディターの中でも話題になることが多く、彼にページを託せば、必ず読者の反響を得られると言われています。

常に時代のニュアンスを取り入れながら、でも“作り込み過ぎず、媚過ぎず”。
モデルが必ずあか抜けるその技を目にすると、唯一無二のセンスに脱帽してしまいますが、その裏には美容に対してひた向きに生きる、VANさんの職人気質が深く関係していました。

「今、ヘアサロンはコンビニより多いと言われていて、集客が難しい時代ですよね。インスタとかブログとか頑張って集客を爆発的に増やすって人もいるけど、僕は全然やってない。東日本大震災のときにスタッフと連絡を取る手段としてフェイスブックは開設したのだけど、結局やってない。見てもいない。まぁ、当初は少しだけ見たかな。でも、僕ね、ひねくれているんですよ(笑)。営業後にフェイスブックを見てみると“今日も満員御礼!”とか“キャンセルがでたので、予約を少しだけ受け付けま~す”とか書いてあるわけです。投稿時間を見ると、土曜日の15時とかとかにね。“本当に忙しかったら、こんなことやらないだろ?”って思ってしまうわけ(笑)。まぁ、コンスタントにアップする人って一瞬で作業を終えるらしいけど、僕は面倒ですね。で、こんなことを思う自分が嫌で、見なくなりました。もちろん、自分も発信しないしね」

とはいえ、VANさんはスタッフが個人でSNSを行うことには全く反対していないそう。むしろ、集客を増やす最初の手段には有効だと考えているとか。

「0はかけても0だからね。この0を1にする手段としてはいいかもしれないですね。でも、その1を2、3、4…とかけていくのは技術やサービスに対してのリアルでしか増やせない。だから目的を間違えないでほしい。“いいね”の数が目的ではなく、目の前のお客様が実際に体感して、そのデザインを見た周囲の方が来店するような“かけ算の集客”が構築できないと、本当の意味で自分の顧客ではないですからね」

VANさんはインスタやブログでは、生の感動は与えられないと考えるタイプ。確かに、SNSのデザインは、そのほとんどが静止画像で、実際の作業工程はわかりにくい。パーマと称してアイロンワークをしていたとしても、見ている人にはわからないという面があります。

「サロンワークの中でお客様を感動させることが、次の来店にもつながるし、本当の意味での口コミ力があると思うわけです。だってね、SNSで個人の新規を100人獲ったとして、じゃぁそのほとんどがリピートしますか?という話。これ、実際問題、結構ハードル高いでしょ? なぜこうなるか。これは僕が苦い経験をしているから良くわかるんです」

SNSをやらないVANさんが経験した苦いこととは?

VANさん
いつでも笑顔とユーモアを忘れないVANさん。

大量の新規集客があっても満足度が低ければ全く意味がない

「僕がデビューしたのは、山下浩二さんが代表を務めるDoubleです。僕は最初の1年で1ヵ月200万まで売り上げがついたのですが、その後がなかなか伸びない。その頃、雑誌のオファーも増えてきて、様々な一流のファッション誌でヘアデザインを発表させていただきました。そうすると、当時は雑誌のヘアページがブームでしたから、そのデザインを見て予約をされる方がたくさんいるわけです。僕が作ったデザインでもいくつか大当たりしたものがあって、1枚のデザインを見て400人ぐらい一気に予約の電話がきたこともありますね。そうするともう、毎日新規に入れる。というか、一日中びっしりと予約が入るわけです。こんな生活が長く続いたんですけど、それでも結果的に、数字はほとんど伸びなかった。

もちろん、一時的には増えるんだけど顧客になっていただけなくて。結局ね、さばけないんですよ。お客様を満足させられていなかったということ。だって、新規にどんどん入ることばかりに必死では、ひとりひとりのお客様と本気で向き合えないでしょ。この空気は、お客様はひしひしと感じるわけです。で、結局はリピートしてもらえない。そのときの僕の技術だって、一日20人とかこなせる力がなかったんですね。段階を踏んだ今なら、30人でも大丈夫ですけどね、当時はいきなり20人とか25人に増えてしまって、多分いっぱいいっぱいだったと思います。

これって今のインスタでドドッと集客するのとほとんど違いはないですね。ツールが違うだけ。僕は、この結果を知っているから“もっと本質的な部分で努力しないと、お客様は喜ばないし満足していただけない”ってわかっているんです」

VANさん
「美容師は人を作るクリエイターではあるけど、アーティストではない。独りよがりのデザイン作りは最もだめ。そのためには、相手の温度を読み取る感覚が重要」とVANさん。

プロフェッショナルとは「間感」を読み取ること

VANさんのこの言葉はこの時代こそ、とても説得力がある。

「僕はね、スタッフにこれだけは伝えたいってことがあって、それをCocoonでは“間感”(まかん)と呼んでいるんですよ。例えばね、美容師が思う1cmと各お客様が思う1cmは違うんです。この違いって、現場で丁寧な仕事を積み重ねた人しかわからない。目の前のお客様の気持ち、背景、ここへ来店されたワケなどを空気で読めないと、1cmは定規の1cmでしかないんです。美容師の成長にとってなにが一番大切かというと、現場です。サロンワークでしかこの“間感”を学べない。でも、新規をどんどんこなすことが一番優先される環境だと間感は磨かれないし、SNSばかりに夢中になっている人にはこの作業の本当の意味が理解できないと思います。どっちが正解とかないんだろうけど、僕はこのやり方が美容を長くする上では大事だと思うんですよね」

次回は驚異的な売り上げをたたくVANさんの「売り上げの作り方」と「未来につながる美容師育成」についてお伺いします。

取材・文/小澤佐知子
撮影/田中大三

Salon Data

Cocoon(コクーン)

Cocoon(コクーン)

スタイリング剤を使わなくても決まる、ラフでハイセンスなカットに定評があるサロン。
また、カット技術においては日本全国でセミナー講師も務める程、その実力はトップレベルで、ファッション関係者やエディターにも人気が高い。特にノンブローでも決まるショートスタイルのオーダーが多い。

http://www.cocoon-van.com

未来につながる美容師の育成とは? Cocoon代表・VANさん #2>>

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