未来につながる美容師の育成とは? Cocoon代表・VANさん #2

Cocoon代表・VANさんの2回目のインタビューでは「VANさん流・数字の作り方」についてのお話をいろいろ。ご自身では、SNSを全くしないと言うVANさん。インスタやブログによる集客もないまま、日本人美容師の中でトップランクの売り上げを誇るその秘策をお伺いします。

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フォロワーが増えるのはゴールではない。その先を見ないと結果、不安が残る

「SNSによる集客を否定するつもりは全然ないんです。上手に使って店全体の集客をきちんとあげているサロンもありますから、それはすごいことだと思っています。ただ、SNSばかりに注力して、本質が見えていない美容師さんが結構いるなぁ…と。僕のサロンでは、スタッフにそうなって欲しくないから、もっと本質的な部分の教育に力を向けることを大事にしていますね」

と、VANさん。では、彼が言う本質的な部分とはいったいなんでしょう。

「インスタのフォロワーが多いから、集客も多いですって言う人いるでしょ。僕ね、フォロワーが増えようがなんだろうが、それってひとつのブームに過ぎないと思っているんです。技術がしっかり伴っていればいいと思うけど、そうじゃない場合、どうなるか明確。お客様は、最終的には本質しかみていないですよ。本質とは美容師に対しては技術。お店に対しては、簡単に言えばサービスなんです」

VANさん
「1回来店されて終わり!ではなく、長期的にリピートしていただく。そのためになにをすべきか。これができると美容師としての自信につながっていく」とVANさん。

「フォロワーが多くて、それを見てサロンの来店が増える。でも、これをゴールだと思ったら危険。20代の美容師さんと話す機会があったりすると、ここをゴール設定にしている子が少なくないなぁと… 毎日10人20人の新規に入っても、その方たちにリピートしていただいて自分の顧客にしていかないと、最後は不安しか残らない。“顧客”がどれだけいるかが本当の数字ですからね。自分に自信をつけてくれるのも、この顧客の方々ですから。だから、Cocoonは“売上がいいことが高評価”というより、“リピーターを何人掴んだか”が大事。分母を増やすことは将来にしっかりつながりますから、ここはしっかり評価してあげたいなぁと思っています」

ノンブロー・ノンスタイリングでキマるカット技術を研究して

VANさんはデビュー1年で1ヵ月200万の売り上げまで作れたものの、その後何年も数字が伸びなかったという。

「当時はSNSはないから雑誌でヒットを飛ばすことが集客だと思っていましたが、予約帳が新規で塗りつぶされるまで集客しても、結果的にほとんど数字は伸びなかった。なんでだろう? って悩むわけです。それで服装や立ち振る舞いを変えてみたり。撮影では“こうゆうスタイリングの見せ方の方が読者に受けるかも!”と媚びた目線でデザインも作っていました。今思えば、着眼点が完全にズレている(笑)。これって、SNSで“いいね”を狙っている美容師さんと全く同じなんですよ。僕がしていた過去も結局は同じだから、その結果が目に見えるわけです」

その後VANさんは、もっとアナログ的なことに目を向け鍛練し直すことを選択します。

「それまでも毎日ウイッグを出して練習はしていたけれど、もっと研究する気持ちを持つようにしましたね。焦りからやみくもに練習しても意味がなかったので。あと、スタイリングで勝負することも良くないと思って。仕上げが良くても、お客様が自宅で再現できないと意味がないじゃないですか。だから、僕はノンブローでもキマるカットデザインを徹底的に研究しました。今ではCocoonの最大の武器であり、カリキュラムのベーシックになっています。

あと、お客様によってはスタイリング剤をほとんど使用しないでフィニッシュすることもあります。これも再現性につながるのですが、あれもこれもつけなきゃキマらないデザインは、お客様にとっては面倒で不快な場合もあると思う。素髪を生かし、肯定的に捉えてキマるデザインにして差し上げることで、結果お客様の満足度が上がっていったのは事実ですね」

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美容師の仕事は体感伝達。これはサロンワークでしか学べない

「SNSは視覚伝達ですけど、サロンワークは体感伝達です。目の前のお客様の領域を少しだけ飛び出すデザイン作りこそ、ちょっとした感動を与える大事なファクターだと思う。そのためには、お客様の言いなりでは満足させることはできないし、アーティスティックに独りよがりなデザインを作っていてもだめ。常に相手の温度を感じ取る作業が大事なんです。僕たちの仕事の対象は、物ではなく人ですから。だから、なによりもサロンワークが大事。ここで技術を学び、人との距離感、間のとり方(Cocoonでは間感と呼んでいる)などを察知する。全てはライブで学ぶことなんです」

Cocoon
Cocoonスタッフ達と。

「僕は45歳ですけど、先日、MAGNOLiA (マグノリア)のオーナーであるMARBOHさんと一緒にセミナー講師をしたんです。僕がカットをして、そのモデルにMARBOHさんがパーマをかけて、CANAANの長崎さんがカラーをする。で、僕はこのとき、自分にはないパーマ技術をみせてもらえて、すごく勉強になってすぐに練習しました。今も練習中です。そしたら、ある日の朝礼でスタッフが“VANさんが技術を広げようと勉強している姿を見て、僕らはもっとやらなければいけないと反省しました”と言っていて。これって前向きな思考の伝達ですよね。

今、インスタでスターになって集客したいって思う子が多いようですが、実際のところ、何万人のフォロワーを獲得するのって簡単じゃない。同じ時間を使うなら、ブームよりリアルな経験に時間を費やしたほうがいい。何万人のフォロワーもいいけど練習をしっかりして、100人、1000人の顧客をつけたほうが早いと思う(笑)。その方が未来はあるしね」

自分の経験を軸に、今の美容界を冷静に判断しているVANさん。長く続けられる美容師を目指すためには、ブームを上手に活用しながら、でも本質の部分においてはどっぷり浸かって勉強することが、自分を見失わないコツだと教えてくれました。

取材・文/小澤佐知子
撮影/田中大三

Salon Data

Cocoon(コクーン)

Cocoon(コクーン)

スタイリング剤を使わなくても決まる、ラフでハイセンスなカットに定評があるサロン。
また、カット技術においては日本全国でセミナー講師も務める程、その実力はトップレベルで、ファッション関係者やエディターにも人気が高い。特にノンブローでも決まるショートスタイルのオーダーが多い。

http://www.cocoon-van.com

僕がSNSをしないワケ! Cocoon 代表・VANさん #1>>

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