美容師が診断書の提出を求められるケースとは?入手方法や費用とあわせて就職・転職時に必要な書類を紹介
美容師として働くためには美容師免許が必須ですが、免許申請をする際に医師の診断書が必要となるのをご存じでしょうか。診断書は、美容室で働くうえで重要な書類のひとつです。
この記事では、美容師が診断書の提出を求められるケースについて紹介します。入手方法や費用・診断書以外に必要な書類などもまとめてお伝えしますので、準備をするときの参考にしてください。
そもそも、診断書ってどんなもの?
医師の診断書とは、医師法の規定で医師が作成の権限を持っており、症状や所見・診断内容・結果などを証明するものです。実際に病院を受診し、検査や診察を受けて、医師が診断内容を記載します。美容師として働く際に、心身の状態が適正であるかを証明する重要な書面です。
このほかにも、診断書は休職や欠勤する場合や医療福祉介護などの公的サービスの交付認定のための手続きなどで必要となります。また、交通事故に遭い、補償を受けたい際にも必要です。
補償を受けたい、公的給付を受けたい、職場に病気であると申告したいなどの理由から、虚偽の内容事項の記載を求めることはできません。診断書はありのまま、事実を記載するものであり、嘘や虚偽な内容を記載することは法律違反となるため、注意が必要です。
美容師が診断書の提出を求められる3つのケース
美容師が医師の診断書を提出するケースは、美容師免許を取得して働きはじめるタイミングだけではありません。
転職や異動時、独立開業時など診断書の提出が必要なケースが存在します。ここでは、美容師が医師の診断書を提出すべき3つのケースを確認しておきましょう。
1. 美容師免許の申請手続きをするとき
医師の診断書の提出が必要となるのは、まず美容師免許の申請手続きをおこなうときです。診断書の内容としては、「精神の機能障害」に関するものとなります。
美容師はカットやパーマ・カラー・シャンプー・トリートメントなど、さまざまな施術をおこなうのがおもな仕事です。直接お客様の皮膚・頭・顔・首などに触れ、ハサミを使う職業です。一歩間違えればお客様の皮膚を傷つけることにもなるため、美容師として精神機能に障害がないことの証明が必要となります。
また、カラーやパーマ剤などの薬剤も、お客様の頭皮や顔表面近くに触れるものです。さらに専売商品として、お客様へ販売することもあるでしょう。お客様によってはアレルギーや炎症反応を示すこともあり、慎重な取り扱いが求められます。ハサミや薬剤などを扱うに際して、精神機能に問題がないか、医師の診断が必要です。
引用元
理容師美容師試験研修センター|免許に関する申請手続きについて
2. 美容室を開設するとき
新たに美容室や理容室を開設するときには、伝染性疾患(結核、皮膚病)に関する診断書を保健所に提出します。開設時に従業員を雇う場合は、従業員一人ひとりの診断書が必要です。
美容室や理容室は不特定多数が利用する場所であり、お客様には安全に施術を受けてもらえるよう努めなければなりません。しかし過去に、理容室で働く理容師が結核を発症し、その後同僚であった十数人も感染してしまったという事例があります。
この事例を受けて、衛生水準の維持・向上を確保するために、結核に関する診断書が必要になりました。
また、美容師は、薬剤の影響で接触性皮膚炎や湿疹などを発症しやすいため、皮膚疾患の有無の証明も必要です。
引用元
東京都保健医療局|理容師・美容師従業者の届出
厚生労働省|理容所・美容所における衛生管理の徹底について(◆平成18年08月31日健衛発第831002号)
3. 就職・転職するとき
就職や転職時にも、伝染性疾患(結核、皮膚病)に関する診断書の提出が求められます。
就職・転職先である美容室は、新たに従業員を雇った場合、保健所に「従業員変更届」を提出しなければなりません。その際に、雇われる側である美容師の診断書もあわせて提出が必要になるためです。
診断書の入手方法やかかる費用
医師の診断書の提出がはじめての場合には、なにから手をつけてよいかわからないこともあるでしょう。
診断書は、以下の手順で入手できます。
1.病院またはクリニックを受診
2.診断書を発行を依頼する
3.支払い
4.後日受け取り
受診科や書式の入手方法・形式・費用などで注意すべき点はあるのでしょうか。ここでは、診断書の入手方法やかかる費用についてくわしくご紹介します。
何科を受診すればいいの?
精神の機能障害についての診断書であれば、精神科へ問い合わせたいと考える人もいるかもしれませんが、精神科を受診しなければならないという指定はありません。そのため、内科や整形外科・消化器科・呼吸器科・循環器内科などの医師に診てもらった場合でも、作成してもらえます。
かかりつけ医に診断書の提出を求められるため、スムーズに作成が可能となるのがメリットです。心配であれば、前もって理美容師の健康診断・診断書の発行は可能かどうかを問い合わせるとよいでしょう。
診断書の発行にはいくらかかる?
医師の診断書は、基本的に有料です。診察料とは別に発生し、診断書発行にかかる費用は一律ではなく、受診先の病院やクリニック・検査内容などによって金額が変動します。また、地域によっても費用に差があるのも特徴です。
一般的に費用は2,000~3,000円ほどで、検査が追加になると5,000円を超える場合もあります。さらに、診断書は保険適応ではなく自費での支払いです。また、診断書の郵送を希望する場合には、病院やクリニックによっては別途で郵送料を負担することがあります。
書類はどこで手に入るの? 様式はダウンロードできる?
診断書の書式や書き方は、とくに決まっているわけではありません。美容室やサロンがあらかじめ用意している書類があれば、病院やクリニックに持参します。また、医療機関に診断書の紙があれば記入してもらって問題はありません。
自治体によってテンプレートが準備されている場合は、ダウンロードしたものを持参するとよいでしょう。就職先や転職先の美容室やサロンが決まっている場合には、はじめに書式の入手先を確認しておくと手続きをスムーズに進められるはずです。
診断書に有効期限はある?
診断書には有効期限があり、発行日から原則として3カ月以内です。提出時に診断書が3カ月以上前のものであれば、再度作成してもらう必要があります。
そのため、たとえば就職のときに備えて、3カ月以上保管しておいた診断書を提出することはできないため、注意しましょう。
診断書の作成に必要な日数は?
診断書の作成にかかる期間は、一般的に1〜2週間ほどです。病院やクリニックによっては2~3週間かかることもあります。そのため、2週間前後を目安に受診のスケジュールを立てるとよいでしょう。
また、保健所などの行政機関に急ぎで提出しなければならない事情がある場合、その旨を医療機関に伝えると早めに対応してくれることもあります。医療機関によって診断書作成にかかる期間は異なるため、事前に確認しておくと安心です。
美容室やサロンの開業時には、診断書以外にも申請書や開業届などさまざまな書類の提出が必要となります。このことから、余裕をもって準備ができるよう調整することが大切です。
あわせてチェック!就職・転職時に準備が必要な書類
就職や転職時は、診断書以外にも準備が必要な書類があります。入社するときに提出を求められるため、不備がないようにしましょう。
就職・転職どちらの場合でも必要なのが、美容師免許証の写し・給与の振込先情報(通帳のコピーなど)・本人確認書類(住民票など)です。
また、転職者は、雇用保険被保険者証や源泉徴収票が必要になります。源泉徴収票は前の職場から発行してもらう必要があるため、早めにお願いしておきましょう。
扶養者がいる人は、扶養控除等申告書の提出が必要です。新しい職場から受け取り、記入して返却します。
就職・転職活動をするときに準備が必要な書類
ここまでは、入社時に必要な書類を紹介しました。ここからは、就職・転職活動をするときに必要となる書類と記入方法について紹介します。
履歴書
履歴書は、氏名や生年月日・住所などとあわせて、学歴・職歴・資格・志望動機などを記入します。おおよそのフォーマットがあり、空欄を残さず記入するのがマナーです。
誤字や脱字・略称・略字なども、正式な書類としてふさわしくないめ、誰が見ても読める字で、正確に記入しましょう。「(株)」などの表記もNGです。
記入後は、ミスがないかしっかりと見直します。もしミスがあった場合は、修正液や二重線で消して上書きするのではなく、新しい用紙にはじめから書き直してください。
履歴書の詳しい方は、以下の記事で紹介しています。
美容師の履歴書の書き方を詳しく解説|志望動機の例文やアピール方法、注意点や面接のポイントも紹介
志望動機のポイント
履歴書だけでなく、面接時にも注目されるのが志望動機です。応募者の人柄や自店とのマッチ度、採用するメリットがあるかなどを見極めるための判断材料になります。
美容師を目指した原点に立ち返り、その美容室を選んだ理由やどんな美容師になりたいかを具体的に示すことが大切です。サロンに入社した暁には、どのように貢献できるかを述べると、よりよい志望動機になるでしょう。
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美容師の志望動機には何を書く? 例文や書き方のポイントを紹介 | モアリジョブ
職務経歴書|転職者
職務経歴書とは、過去の職歴に特化して、担当した業務や実績などをより詳しく伝えるためのものです。転職者の場合、履歴書と一緒に職務経歴書の提出が求められる可能性があります。
Webからダウンロード可能なひな形もありますが、履歴書よりも構成の自由度が高いため、見やすさが重要です。箇条書き・罫線・見出しなどを使って工夫しましょう。
また、担当した業務は漏れなく記載し、実績は具体的な数値を示すと、経験の幅やスキルをアピールできます。最後は、担当した業務やスキルに関する具体的なエピソードを用いて、自己PRをしましょう。
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就職・転職活動時の面接対策
どの職場においても、面接では社会人としてのマナーがチェックされています。基本的にはスーツを着用し、私服OKの場合でもオフィスカジュアルの範囲に留めましょう。髪型や小物にトレンドを取り入れ、志望先の雰囲気に合った清潔感のある装いを意識してください。
また、美容師の面接にはよく聞かれる質問があります。たとえば、志望動機やどんな美容師になりたいか・美容業界の今後についてどう考えているかなどです。事前にどういった質問がされやすいかを調べ、自分なりの回答を考えておきましょう。
言葉遣いや態度に注意し、笑顔を忘れずハキハキと答えられるように練習しておくと安心です。
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美容師の診断書は職場の衛生管理に必要!きちんと準備をして働こう
美容師は、免許申請をする際や美容室を開設するとき、就職・転職時に診断書を提出しなければなりません。不特定多数の人が利用する場所なので、衛生管理の観点から必須となっています。
また、入社時に必要な書類は診断書以外にもあるほか、就職や転職活動をする際にも、履歴書や職務経歴書が必要になるため、きちんと準備をしましょう。
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