美容師必見!ハサミの種類とセルフメンテナンスの方法

美容師にとって「ハサミ」は一番大切な仕事道具です。素敵なヘアスタイルの完成には、技術だけでなく「ハサミ」の良し悪し、またそれを適材適所に使えるかということもポイントになります。だからこそ、ハサミの選別にはこだわりをもっている美容師が多いです。ハサミにはそれぞれ得意とするカットがあり、刃の長さ、刃の形などによってもヘアスタイルに違いが出てきます。種類が豊富で、美容師のほとんどは4本~5本のハサミを使い分けています。

今回は、美容師の命であるハサミの種類やお手入れの方法についてご紹介します。

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ハサミの種類と用途

ハサミの長さはインチ(1インチ=2.54センチ)で表され、一般的に5インンチ~7インチ(13センチ~18センチ)のものがよく使われます。長いハサミは一度に多くの髪をカットして、全体を均一に仕上げることができ、短いものは毛先や前髪などの細かい部分の微調整に向いています。手の大きさはみな違うので、自分に合ったサイズのハサミを選びましょう。価格は数千円の安価なものから数十万円のものまでありますが、自身の技術力や経験に合わせてその都度変えていくとよいでしょう。ハサミはメーカーによっても材質などに特徴があり、日本製だけでなく、海外からも多く輸入されています。購入するときは可能であれば試し切りさせてもらって、手にしっくりと馴染むものを選ぶことです。

カットに使われるハサミには、大きく分けて「シザー」「セニング」「スライド」の3種類があります。「シザー」はもっとも一般的なハサミで、通常のハサミと同じく足部分の両側に刃がついています。主にベースカットやブライトカット、毛量の調整などに使います。ハサミの長さでカットする範囲やヘアスタイルが変わってくるので、美容師の多くは長さの違うシザーを数本持っています。さらに、シザーには刃の形で「直刃」「笹刃」「カーブ刃」「柳刃」などに分けられます。

「直刃」は直線的なブラントカットでメインに使います。他に、刈り上げやチョップカットにも使われ、ベースカットで一番出番の多いハサミです。「笹刃」は毛を逃がして優しくカットできるため、ドライカット時の質感の表現や、細やかなカット調節に向いています。ストロークカットやスライドカッドにも多用されます。「カーブ刃」は刃先が上向きに湾曲し、スライドカットやストロークカットに使いやすい形状です。カーブの角度によって、毛量や質感の調節が可能です。「柳刃」は直刃と笹刃の両方の用途に使え、どのようなカット方法にもマルチに使えます。

次に「セニング」についてですが、これはいわゆる「梳きバサミ」のことです。片方の刃がクシ状になっていて、毛の長さはそのままに量だけを減らしたいときに使います。セニングで重要なのが、一度のカットで切れる割合です。これを「スキ率」といいますが、刃の目数によって変わっていきます。目数が多くなれば自然な仕上がり、少なければ一度に多くの髪の毛がカットされます。通常は「スキ率」20パーセント~30パーセントのセニングが使われ、前髪の微調整には10パーセント、男性の刈り上げには40パーセント~80パーセントのものが使われています。

そして、セニングにもいくつか刃の形状があります。「段刃」は刃先が段のようになっており、毛を逃がしながら切るためカットラインが目立ちません。毛先の抜けがよく、なめらかな切り口です。「クシ刃」は刃先が平らです。毛の抜けやすさを重視した形状のため「スキ率」は低くなります。「V溝刃」は刃先にV字の溝が入っていて、この溝にしっかりと髪を挟んで確実にカットできます。溝のV形が深いほど「スキ率」が高くなります。

最後に「スライド」ですが、これは片方にしか刃がついていないハサミで、髪を滑らせてカットする際に使用します。ボリュームを抑えたり、動きのあるスタイルを作ったり、毛先を華奢な質感に整えたいときに重宝します。このハサミは、髪が刃から逃げる割合の「スライド率」に注意しましょう。「スライド率」が高いほど、カットできる髪の量が少なくなります。ベースカット向きでは20パーセント~40パーセント、ドライカットでは60パーセント~80パーセントのハサミを選びましょう。” ハサミのハンドル部分は3種類 “ハサミは刃の形状だけではなく、持ち手部分のハンドルにもこだわりましょう。美容師は手を酷使するため、腱鞘炎になる人も多いです。指や手首への負担を減らすためにも、ハンドル部分にはぜひこだわって選びましょう。

シンプルで基本的な形の「メガネハンドル」は、持ち方の自由度が高く、ハンドルで手が固定されないためテクニカルなカットが可能です。セニングの「メガネハンドル」では、裏返して使うこともでき便利です。「オフセットハンドル」は、親指を入れる穴がネジの近くなっているタイプのハンドルで、静刃が安定しやすい構造のため楽に開閉できるハサミです。手の小さい人や腱鞘炎の人、開閉の多い刈り上げの場合などにおすすめです。「3D型ハンドル」はエルゴノミクスに基づいて設計されたハンドルで、手や指をしっかりとホールドしてくれます。長時間使っても手が疲れにくく、カット時間が続くときは有効なハンドルです。ただ初心者が「3D型ハンドル」を使うとクセがついてしまい、他のハサミが使いにくくなるため、初めは「メガネハンドル」か「オフセットハンドル」から使いましょう。

ハサミのセルフメンテナンスの方法

高いカットの質を保つためにも、ハサミのメンテナンスは欠かせません。ハサミの汚れやサビを放置すると切れ味が悪化し、最悪な場合は枝毛や切れ毛を作ってしまいます。日頃からハサミの手入れを怠らないようにしましょう。

毎日のセルフチェックのポイントは、「乾いたティッシュをきれいにカットできるか」「ハンドルの開閉はスムーズか」「汚れは簡単にふき取れるか」の3点です。ひとつでも問題があれば、すぐに手入れしましょう。メンテナンスで用意するものは、刃の拭き取りに使う「ハサミ用セーム革」と、汚れ落としのための「油」の2つです。いずれもハサミを購入すればついてきます。「セーム革」は汚れのない、柔らかなものを使いましょう。

1年に1回は中性洗剤で優しく揉み洗いし、日陰に干したり低温アイロンをかけたりして乾かします。絞ると革が硬くなるので消耗が早くなります。硬くなったものや汚れたものを使うとハサミを傷つけるので注意しましょう。「油」は工業用油なら何でもよいですが、ハサミ以外にも使える安全性の高い油がおすすめです。ハサミ以外に用途がないと購入しても10年はもってしまうため、一般的に売られている油でハサミにも使えるものがよいでしょう。

メンテナンスの手順は、まずセーム革をハサミの根元から刃先に向かって動かし汚れを落とします。拭いても落ちない汚れは、熱いお湯で一旦洗い流し、セーム革で再度水分を残さないように拭き取りましょう。セニングはクシの目に挟まった髪を取り除くのに歯ブラシを使うのもよいです。次に、油をネジと支点の部分に1~2滴をさします。油が刃の全体に行き渡るように、セーム革でしっかりと馴染ませます。特に支点は、最も汚れと金属疲労が溜まる場所であるため、何回か油をさして丁寧に汚れを落とします。最後にネジの硬さを調節し、ティッシュを切って切れ味を確認しましょう。刃先が滑らずにカットできれば大丈夫です。

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