鍼灸師に必要な資格とは? 鍼灸師の国家試験は難しい? 資格取得に必要な費用も解説!
鍼灸師になるためには、はり師・きゅう師という2つの国家資格を取得する必要があります。鍼灸師の国家試験の難易度はどれくらいなのでしょうか?
今回は、鍼灸師の国家試験の概要、そして受験の仕方や難易度について、また資格取得までにかかる一連の費用や免許を取得した後の申請手続きなど、鍼灸師を志すうえで知っておきたいことについて解説していきたいと思います。
鍼灸師に必要な資格と受験資格|はり師・きゅう師
冒頭部分でご説明したように、鍼灸師になるためには「はり師」、「きゅう師」という2つの国家試験に合格し、資格を取得しなければなりません。これより、この資格試験について、ならびに受験資格についてご説明していきましょう。
国家資格|はり師・きゅう師
さて、鍼灸師になるためには、毎年1回行われる「はり師国家試験」、そして「きゅう師国家試験」、それぞれを受験しなければなりません。
受験資格
次に、受験資格ですが厚生労働大臣または文部科学大臣が認定した大学、もしくは専門学校で3年以上(視覚障害を持つ方は5年以上)必要な知識と技術を習得した人に与えられます。
国家試験の概要|はり師・きゅう師
続きまして、こちらの試験の概要、ならびに受験の申し込み方法、合格発表まで一連の流れをお教えしましょう。
試験日
まず、忘れてはならないのが試験日です。毎年1回のみの実施のため、事前に試験日を把握したうえでこの日を目標に準備をして臨む必要があります。尚、はり師・きゅう師試験は同日に実施されるため、集中力や体力を温存しておくことも大切ではないでしょうか。
はり師
平成31年2月24日(日)
きゅう師
平成31年2月24日(日)
試験会場
晴眼者と視覚障害がある人で試験会場が異なる場合があります。
晴眼者:北海道、沖縄、鹿児島、香川、大阪、広島、愛知、新潟、東京、福岡、宮城
視覚障害者:各都道府県
試験科目
次に、はり師・きゅう師試験それぞれの試験科目についてご紹介していきましょう。
尚、はり・きゅう双方を同日に受験する場合のみ、受験者の申請があればはり理論、きゅう理論を除いた共通科目は免除が可能です。一方のみ受験の場合は、はりもしくはきゅう理論のみ除かれます。
はり師
医療概論(医学史を除いて)
東洋医学概論
関係法規
解剖学
生理学
病理学概論
臨床医学各論
リハビリテーション医学
臨床医学総論
経絡経穴概論
東洋医学臨床論
衛生学・公衆衛生学
はり理論・・・以上13科目
きゅう師
医療概論(医学史を除いて)
解剖学
衛生学・公衆衛生学
関係法規
生理学
病理学概論
臨床医学総論
経絡経穴概論
臨床医学各論
リハビリテーション医学
東洋医学概論
東洋医学臨床論
きゅう理論・・・以上13科目
共通科目の免除手続き
共通科目の免除を希望する場合は、きゅう師試験受験願書の所定の箇所に「同時に、はり師国家試験を受験したいので、はり師国家試験と共通科目の免除を申請します」と記載し、はり師の願書には「同時にきゅう師国家試験を受験予定」と記載します。
試験時間
晴眼者と視覚障害がある人で試験会場が異なる場合があります。
晴眼者:集合時間 午前8時20分 午後12時45分
試験時間 午前9時~11時 午後13時10分~15時10分
※どちらか一方のみの受験者は、14時55分に終了です。
視覚障害者:集合時間 午前8時10分 午後12時40分
試験時間 午前9時~12時 午後13時10分~16時10分
※どちらか一方のみの受験者は、15時50分に終了します。
試験当日の持ち物
・受験票
・筆記用具(HBの鉛筆)
・消しゴム(砂消しゴム以外)
・お昼ご飯
・靴を入れるビニール袋(土足厳禁の会場のみ)
その他、視覚障害者はルーペや単眼鏡、点字タイプライターなどの申請した補助具があれば持ち込むことが可能です。
試験方法
四肢択一のマークシート方式の筆記試験です。また視覚障害者は、申請をすれば拡大文字や点字による受験、さらには文章の読み上げまたは試験問題の録音データを聞きながらの受験が認められます。
受験の手数料
1試験11,600円です。つまり、はり師・きゅう師試験どちらも受ける場合は合計23,200円必要となります。他の検定試験のように、同時受験の割引はありません。
受験の手続き・申込み方法
指定期限までに受験に必要な書類を財団へ持ち込み、または簡易書留にて郵送しなければありません。尚、必要な書類は以下の通りです。
1.願書
2.写真用台紙(6か月以内のもの)
3.入力表
4.卒業証明書または卒業見込み証明書(卒業見込み証明書を提出した人は、卒業証明書を平成31年3月14日までに提出する必要があります)
次に、受験料を振り込みます。その後、各受験者に受験票が平成31年1月30日を目安に発送される予定です。
合格発表
厚生労働省と財団において受験番号が掲示されます。尚、同ホームページ上でも正答肢と共に発表予定です。
過去の受験者数と合格率・難易度をチェック!
どんな検定や資格試験を受験するとしても、やはり気になるのは合格率や難易度ではないでしょうか?では、はり師・きゅう師試験の合格率や難易度は実際のところどれくらいなのか、また過去の受験者数と合格率はどれほどなのか、について見てみましょう。
過去の受験者数と合格率は?
さて、過去の受験者数と合格率を試験別に見ていきたいと思います。
はり師
はり師試験は今年で第27回目の実施となりますが、過去26回のうち第17回以降は毎年5,000名前後を推移しており、受験者数はしばらく横ばいが続いているようです。
きゅう師
きゅう師試験も過去26回のうち、第17回以降は毎年5,000名前後を推移、受験者数は横ばい傾向が続いています。
試験の難易度はどれくらい?
はり師試験の合格率は、第1回が88.8%と最も高く、前回の第26回が57.7%と最も低くなりましたが、全体的に見ると例年80%前後の合格率を維持していることから、3年間しっかりと学習に励めば決して難しいものではないのではないでしょうか。
一方、きゅう師試験の合格率も第1回が88.2%と最も高く、前回が62.5%と最も低く、はり師試験と同様に例年80%前後の合格率が出ています。またはり師試験に比べ、やや合格率が高い印象を受けます。
とにもかくにもどちらの試験もかなり高い合格率であることから、専門学校や大学でしっかりと専門的な知識や技術を習得できてさえいれば、合格という結果は自ずとついてくるでしょう。
合格したら|忘れずに免許を登録しよう!
国家試験に合格したのちは、免許証の交付を受けなければなりません。しかしながら、合格後に勝手に交付されるわけではなく、各受験者が申請を行う必要があります。では、これより免許の申請方法や申請手続きについて学んでいきましょう。
申請の種類|新規登録
免許の申請は新規登録申請、名簿訂正・免許証書換え交付申請、免許証再交付申請、名簿登録消除申請の4つがありますが、国家試験に合格し初めて免許の交付を受けようとするときは新規登録申請を行います。
よって、この先の手続きの流れは新規登録申請についてお伝えすることとしますが、注意しなければならないのは、この先婚姻等で氏名が変わったり、免許証が汚れてしまったり、無くしてしまったりした時はそれぞれ再交付の手続きが必要になるので覚えておきましょう。
申請手続きの方法
1.申請書の請求
※卒業校から配布されたものがあればそれを使います。
2.申請書作成
財団から送付を受けた申請書を作成します。
3.申請書提出
財団へ直接持参するか、簡易書留で郵送します。
4.登録済証明書の受取
希望者のみですが、申請書類に不備がなければ提出後2週間程度で受け取れます。
5.免許証の交付
目安として、提出後1か月半程度で交付を受けることが可能です。
申請書の請求方法
財団あてに1申請者氏名、生年月日、住所、電話番号、免許の種類、新規登録申請と書いたもの、2切手を貼付した返信用封筒を送ります。
申請に必要な費用をチェック!
また国家試験の受験料だけでなく、免許の交付を受ける際もある程度まとまった費用がかかります。ここからは、免許の新規登録申請にかかる費用について解説していきましょう。
新規登録申請に必要な費用
免許の新規登録申請には、手数料として1免許あたり8,500円と、登録免許税として1免許あたり9,000円が必要です。尚、1免許ごとの金額ですからはり師・きゅう師ともに免許の交付申請を行う際は、手数料17,000円、登録免許税18,000円となります。
返信用郵送に必要な費用
また、免許は郵送で交付されるため、返信用郵送料を併せて負担します。新規登録申請の場合は、最大3免許まで205円分の切手で交付を受けることが可能です。例え、1免許のみの交付を受けたい場合も205円なので注意が必要でしょう。
鍼灸師になるには国家資格が必要!
鍼灸師になるためには、年1回しか実施されないはり師・きゅう師2つの国家試験に合格しなければなりません。しかしながら、合格率は比較的高い国家試験であることから、一生懸命夢に向かって勉強に専念すれば自ずと結果はついてくることと思います。
とはいえ、1日に2つの国家試験にダブル合格するためには日々の努力が肝心ですし、集中力や体力が維持できるかもとても重要と言えるでしょう。
これから鍼灸師を志す方は、3年後に2つの国家試験に同時合格することができるよう、今から1日1日を大切に専門の知識技術の習得に努めたいものです。また、晴れて合格したのちは免許の交付申請を忘れないように行ってください。