訪問介護の魅力は、1人に寄り添ったケアができること 介護リレーインタビュー Vol.16【サービス提供責任者 大貫貴子さん】#1
介護業界に携わる皆様のインタビューを通して、介護業界の魅力、多様な働き方を紹介する本連載。今回は、様々な在宅介護サービスを提供している「エルケア株式会社」が運営する八千代ケアセンターで、訪問介護のサービス提供責任者を務めている大貫貴子さんにインタビュー。
前編では、大貫さんが介護業界に進んだきっかけや、サービス提供責任者としてのお仕事内容についてインタビュー。後編では、介護業界のお仕事の楽しさや大変さ、今後の展望などをお伝えします。
《プロフィール》
エルケア 八千代ケアセンター 大貫貴子さん…高校卒業後、販売や接客の仕事を経て、30歳から介護業界へ。サービス付き高齢者専用住宅、小規模多機能デイサービス、有料老人ホームにて、介護福祉士としてヘルパー業務を担当。2年4カ月前よりエルケアにサービス提供責任者として勤務。
介護士として働く姉を見て、長く働ける介護業界へ
―介護業界に入ったきっかけを教えてください。
20代は靴の販売員やブライダル衣装コーディネーター、携帯ショップ店員など、接客の仕事をしていました。人と接したり話したりするのが好きなので、とても楽しかったんですが、なかなか長く続かなかったんです。それで30歳になる時に、長く続けられる仕事、人の役に立つ仕事をしたいなと思うようになり、介護業界に入ることにしました。
9歳上の姉が介護士をしているので、介護の仕事が身近だったというのも大きいです。中学生のころ、姉の障がいを持った友人と文字盤でコミュニケーションを取ったという経験が、自分のなかに残っていたんですよね。それで「介護業界もいいな」って思うようになりました。
―最初は高齢者メインの施設で働かれていたそうですが、「エルケア」では訪問介護サービスがメインですよね。ギャップはありましたか?
正直なところ訪問介護には、少しネガティブなイメージがありました。基本的には1人で現場に行って対応しないといけないので…。施設内なら何かあれば誰かにヘルプをお願いできましたから、1人ですべてに対応して責任を持つことに、不安な気持ちがありましたね。
でも実際に始めてみると、自分には一番合っているなと感じました。施設では助けを求められる反面、他の方やスタッフ、時間など気にしなきゃいけないことが多かったんです。でも訪問介護は一対一なので、時間に限りはありますが、その方だけに時間をめいっぱい使ってサービスができます。お客様のペースに合わせて、すごく寄り添ったケアができていると思います。
ヘルパー業務と並行して、サービス提供責任者としての業務も
―大貫さんのお仕事の内容を教えてください。
お客様のお宅に訪問してサービスを行う通常のヘルパー業務と並行して、サービス提供責任者として訪問介護計画書を作成や、サービスのモニタリング、会議への参加などを行っています。
1件ごとに時間やサービス内容もバラバラです。30分から、長いと3時間程度。サービス内容としては、入浴や排せつ、食事などの介助をメインに、掃除や調理、買い出し、デイサービスの方の送り出しや迎え入れなど、生活をサポートする家事業務を行っています。
―サービス提供責任者としての仕事内容を詳しく教えてください。
訪問介護計画書は、ケアマネージャーさんから来たケアプランに沿って、訪問介護での計画、目標を立てるものです。「エルケア 八千代ケアセンター」にはサービス提供責任者が5名いるので、40名弱のお客様を振り分けて、担当分の計画書を作成します。
モニタリングでは月に1回か3カ月に1度、現状のサービスにお客様が満足されているかを聞き取ってケアマネージャーさんに報告します。お客様のご様子なども、モニタリングのタイミングでお伝えすることが多いですね。
―ヘルパーさんたちの指導やサポートもされているんですか?
ヘルパー契約後、初めてお客様のお宅に訪問する際は、同行してお仕事の流れをお伝えしています。相談があれば、訪問後に事業所に戻るタイミングなどで、お話することもあります。
お客様やケアマネさんと信頼関係を作り、感謝されるサービスを提供する
―お仕事にやりがいを感じるのは、どんな時ですか?
お客様に「また来てね」「今日も来てくれたのね」って言われるのが嬉しいですね。お客様の笑顔が見られて、感謝してもらえるとやりがいを感じます。
サービス提供責任者になってからは、自分のことだけでなく、八千代ケアセンター全体が褒めてもらえることにも喜びを感じるようになりました。ケアマネさんやご家族から「エルケアさんに入ってもらってお部屋がキレイになった」とか、「父がお風呂に入れるようになった」と、ヘルパーさんを褒めてもらえるのが嬉しいです。
また、ケアマネさんと信頼関係が築けて、新しいお客様をどんどん紹介してもらえたり、お客様からサービスや介助を増やしたいと依頼されたりするのも嬉しいですね。
―このお仕事を長く続けるためのコツがあれば教えてください。
その時を楽しむというのは、大切だと思います。訪問ヘルパーという仕事上、お客様の体に触れることも多く、「怖い」と思ってしまうこともあるかもしれません。それも勉強と思って、楽しむ方向に変換していけたらいいんじゃないかと思います。
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接客業を経て介護業界に入ったという大貫さん。エルケアでは、サービス提供責任者として、施設全体のサービスの向上するためのお仕事にも尽力されています。お話を伺い、1人の方にしっかり寄り添ってサービスを提供できる訪問介護の仕事を、楽しんで続けられているんだなと感じられました。次回は、大貫さんがお仕事に感じる楽しみ、大変さなどについてお聞きします。
▽後編はこちら▽
信頼されるサービスを提供し、喜んでもらえることが嬉しい 介護リレーインタビュー Vol.16【サービス提供責任者 大貫貴子さん】#2>>
取材・文/山本二季
撮影/柴田大地(fort)