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特集・コラム 2021-08-21

MSW(医療ソーシャルワーカー)とは? 仕事内容を解説!|MSWにおすすめの資格とは?

「治療のことでもないし、誰に相談したらよいかわからない」「治療費が支払えないのではないかと不安」「退院後職場に復帰できるか不安」といった悩みを抱えている人は多いです。そんな誰に相談したらいいかわからない困りごとや不安の窓口になるのが、MSW(医療ソーシャルワーカー)です。

そもそも医療ソーシャルワーカーとは、どんな支援をおこなう仕事なのでしょうか。今回は仕事内容だけでなく、求人の種類や給料、MSWの仕事に役立つ資格も含めてご紹介します。

MSW(医療ソーシャルワーカー)とは? どんな仕事をするの?

病院や保健所などで活躍するMSW(医療ソーシャルワーカー)は、「ケースワーカー」「医療相談員」などと呼ばれることもあります。そんなMSWとは、どのような仕事をする職種なのでしょうか。こちらでは、具体例を含めて解説します。

医療機関の福祉職|患者や家族をサポート

厚生労働省の職業情報提供サイトによれば、MSWは「保健医療機関等において患者や家族の相談にのり、社会福祉の立場から経済的・心理的・社会的問題の解決、調整、社会復帰を支援する」のが仕事です。

病気やケガで入院または通院しての治療が必要になったときはもちろん、仕事や生活に支障をきたす後遺症が残ることがわかったときには、その病気やケガを超えた広い範囲での心配ごとや困りごとが生じます。MSWは病院や保健所などの医療保険機関で、安心して療養し社会復帰をめざせるように患者やその家族をサポートする仕事なのです。

MSWの仕事内容とは?

MSWは基本的な医療の知識も持っているうえに、介護保険サービスや障害福祉サービスなど各種福祉制度はもちろん、各種助成や年金、労働などに関する制度に関しても、垣根なく調整の手助けをします。MSWの具体的な仕事内容を見ていきましょう。

療養中の心理的問題などの解決や調整援助

どんな人でも入院中、療養中には心細くなるものです。そんなときには、小さなことからひとつずつ解決の糸口が見えることがなによりも助けになります。MSWは、具体的な困りごとの解決の道筋をつけることで患者をサポートしているのです。

退院の援助

入院前と同じ暮らしができる状態まで回復して退院する場合は問題ありませんが、生活に介助が必要な状況で退院する場合に、あらかじめ支援の準備を整えるのもMSWの役目です。

たとえば、退院後に食事や排せつ、入浴といった日常生活動作において、手助けが必要になると考えられる場合。介護保険サービスや障害福祉サービスの導入を検討して、介護や福祉サービス利用のための認定を受けてもらい、ケアプラン立ててくれる人を探します。

また、買い物や通院、洗濯などの家事で支援ができないと判断された場合には、介護や福祉の導入だけでなく、宅配弁当や介護タクシーなど民間のサービスの利用も含めて検討をおこなわなければなりません。家族がいても利用できるサービスは多いため、情報提供だけおこなう場合もあります。

社会復帰援助|就労支援など

大きな企業では就労支援や職場復帰のサポートなどの前例がある場合が多いですが、中小企業ではこれまで経験のない企業も多いです。ハローワークや福祉部門の就労支援、職場復帰を支援する専門の窓口を紹介する場合もあります。

受診の援助

退院先の自宅などが入院していた医療機関から遠い場合などには、入院前のかかりつけ医への受診なども含めて、受診先の調整を主治医に提案することがあります。また、必要に応じて訪問看護の導入なども主治医に打診することもあるでしょう。

経済的問題の解決や調整援助

公的医療保険では、入院費や治療費の自己負担が一定の額を超えると利用できる高額療養費という制度があります。

また、入院中は仕事を休まなければなりませんが、その際に療養休暇を利用できるのか、傷病手当が支給されるのか、派遣社員や自営業で収入が途絶えてしまうのかによって困窮状況が異なるのです。多くの制度を把握して患者に必要な情報を提供し、手続きのお手伝いをすることもあります。

地域活動

地域生活に復帰するにあたって、MSWが地域ネットワークのなかで役割を請け負うこともあります。また、子どもや障がい者、高齢者などの虐待に対する対応を地域と連携しておこなったり、病気や福祉に関する地域への啓発活動をおこなったりする場合もあるでしょう。

MSWのお給料はどれくらい? 求人情報をチェック!

MSWは、病気やケガで「これからどうしよう」と途方に暮れている患者や家族の力になれるやりがいのある仕事です。そんなMSWの給料は、どのくらいなのでしょうか。正社員とアルバイトやパートにわけて、求人広告をチェックした結果をご紹介します。

正社員の給料相場は?

MSWが病院で正社員として働いた場合、給料相場は20~33万円です。病院内での相談調整業務に加え、家庭訪問や地域でおこなわれる会議などへの参加が含まれることもあります。定期的に緊急電話の当番として、携帯電話に対応する仕事がある場合もあるのが特徴です。

介護福祉施設の管理者として募集されている場合の相場はもう少し高く、28~35万円となっています。この場合、相談調整業務だけでなく、施設の運営などにもかかわることになるでしょう。

アルバイト・パートの時給相場は?

MSWの求人にはアルバイトやパートの募集もあり、時給の相場は1,000~1,800円となっています。医療機関では相談調整業務が中心となっていますが、医療機関以外の求人では直接支援がある仕事が多いです。看護小規模多機能型居宅介護施設や放課後デイサービスでは、送迎などもおこないます。

一方、医療機関の求人は週4~5日勤務が中心ですが、放課後デイサービスは週2日のものもあり、ダブルワークも可能です。

MSWを目指すには? 資格は必要なの?

MSWを目指すために必要な資格はあるのでしょうか。ここでは、MSWとして働くために役立つ資格と取得の仕方についてご紹介します。

「医療ソーシャルワーカー」という名の資格はない

医療ソーシャルワーカーの呼び方は、ケースワーカーや相談員、ソーシャルワーカーなど医療機関によって異なります。その理由は、「医療ソーシャルワーカー」という名称の資格がないからです。

MSWの仕事は異なる種類の資格を持っている人が、同じ「医療ソーシャルワーカー」として仕事をしている場合もあり、資格がない人がやってはいけない仕事だという決まりもありません。

MSWにおすすめの資格とは?

MSWとして働く際に基本となる資格を持っていると、就職にも有利に働きますし、なにより仕事をしていくうえで役立つでしょう。ここでは、必須ではないけれど持っているとMSWの仕事に役立つおすすめの資格である社会福祉士と精神保健福祉士について解説します。

社会福祉士

福祉系の国家資格である社会福祉士は、困難を抱えている人の相談に応じて助言や情報提供をおこなったり、保健・医療・介護・福祉などの関係者との連絡調整をおこなったりするのがおもな業務です。そのため、社会福祉士が活躍している職場は療育施設から学校、障がい者施設、医療機関、介護保険施設などまで多岐にわたります。

社会福祉士は国家資格ですが、受験のためには福祉系の大学や短大などで所定のカリキュラムを修めるか、4年以上の実務経験を積んだあとに養成施設を卒業するかしなければなりません。

精神保健福祉士

精神保健福祉士も、福祉系の国家資格です。精神科の患者に特化して療養や地域生活、社会復帰に関しての相談を受けたり、病院内外の関係機関との連絡調整などの支援をしたりすることをおもな業務としています。

精神保健福祉士になるためには国家試験に合格しなければなりませんが、まずは国家試験を受けるための要件を満たさなければなりません。受験のためには福祉系の大学で所定のカリキュラムを修めるか、履修したカリキュラムによって1~4年以上の実務経験を積んだあとに半年~1年間養成施設に通う必要があります。

MSWは病院などの医療機関で患者や家族をサポートする仕事

MSW(医療ソーシャルワーカー)は、医療機関などで社会福祉の視点から相談対応や連絡調整をおこない、医療を継続するための心配事を解消させて、患者の地域生活や社会復帰を支援する仕事です。

MSWになるための必須の資格はありませんが、社会福祉士や精神保健福祉士の資格があると就職にも仕事にも役立ちます。これから社会福祉士や精神保健福祉士を目指すという方は、MSWとして働くことを選択のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか

引用元:
厚生労働省 職業情報提供サイト
厚生労働省 緩和ケアチームにおけるMSWの配置について
全国健康保険協会 高額な医療費を支払ったとき
全国健康保険協会 病気やケガで会社を休んだとき
厚生労働省 社会福祉士・介護福祉士等
厚生労働省 精神保健福祉士について

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