作業療法士が転職したくなる理由とは? 転職を成功させる5つのポイントを解説!
体をうまく動かせなくなってしまった人に日常生活動作や家事動作、創作などの趣味の活動などができるようにリハビリを提供する作業療法士。
作業療法の仕事は好きだけれど、違う職場に移りたいと転職を考えている作業療法士も少なからずいるようです。しかし、どんな理由で転職を考えるのでしょうか。今回は、転職を成功させるポイントもあわせてご紹介します。
なぜ? 作業療法士が転職したくなる理由とは
医療機関や介護施設などで活躍する作業療法士は、どんなときに転職したくなるのでしょうか。ここでは、作業療法士が転職したくなる理由をご紹介します。
もう少し給料が欲しい場合
作業療法士が転職したくなる理由として、給料の低さにあるようです。あくまで事業所や施設によるものの、作業療法士はほかの医療職に比べると、給与が安く設定されている傾向があります。
厚生労働省の2020年に報告している「令和2年賃金構造基本統計調査」によれば、作業療法士などの給料は約29万円、年間賞与と合わせても年収400万円程度です。
やりがいはあるけど仕事が多め
作業療法士は、患者の生活の質や機能回復にかかわることができるやりがいのある仕事です。しかし、そのぶん仕事が多岐にわたるため、仕事量が多めになりやすい傾向にあります。
そもそも作業療法士は動作に着目して、患者が必要な作業動作、やりたい作業動作ができるようにリハビリをおこなうのが仕事です。作業動作に着目するため、作業療法士は日常生活動作や家事動作、仕事の動作、創作などの趣味の活動の動作まで、さまざまな動作に対するリハビリを求められます。
また、広い範囲をカバーするため、ほかの職種や病院外の関係機関との連携も多いです。あくまで事業所や施設によるものの、このような仕事の量の多さが転職を考えるきっかけになるとされています。
職場での人間関係がうまくいかない
作業療法士が転職したくなる理由には、職場での人間関係も深く関与しています。作業療法士は、患者はもちろんのこと、リハビリ室内の人間関係のほかに病棟や訪問部門、さらに病院外の関係機関など、人と関わることがとても多い仕事です。
上記のような職場で関わる人たちとの人間関係がうまくいっていないと、転職をしたいと考えてしまうことがあるようです。
施設の方針と合わない
仕事をしている病院や施設の種類によっては、作業療法士としての仕事以外の業務が多かったり、患者にじゅうぶん関わりができなかったりすることがあります。
あくまで事業所や施設によりますが、リハビリにじゅうぶんに時間をかけられない、在宅の様子を見に行くことができないなど、リハビリ専門職として考えていたような作業療法ができないという理由で転職を考える場合もあるのです。
理想の職場を探したい! 転職を成功させる5つのポイントを解説
今よりよい職場を見つけるための転職活動を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。ここでは、転職を成功させるポイントを解説します。
1. 転職してなにを実現したいのかを決めておく
「今の職場がイヤだから」「もう少し給料が高いほうがいいから」などの理由だけで転職活動をはじめてしまうと、次の職場にも納得できずに、短期間で転職を繰り返すことになってしまいます。転職活動をしているうちに今の職場と似たような求人に応募してしまったり、給料や休暇だけを見てきめてしまったりするからです。
転職活動をはじめる前に、「どんな作業療法をおこなえる病院または施設に行きたいのか」、「どんなライフスタイルを実現したいのか」を明確にしておきましょう。なぜ自分が転職したいと思っているのかをしっかり考えることで見えてくる部分もあります。
2. 退職する前から活動をはじめる
作業療法士として勤務している状態のほうが、ほかの職場の生の状況の情報収集がおこないやすいものです。転職を考えたら、転職サイトなどで探すだけでなく、今働いている地域のほかの施設について、関係者にさりげなく評判を聞いてみるのもよいでしょう。
収入が途切れていない状況で転職活動をはじめれば、万が一ほかの病院や施設よりも今の勤務先のほうがよいという結論になったときにも取り返しがつきます。医療関係の求人は1~3月と9~10月に集中する傾向があるため、本格的に動くのは年明けまたは、秋になってからにすると無駄がないでしょう。
3. ポジティブな志望動機を作っておく
実際に仕事を辞めたくなるという状況では、ネガティブな理由が多くなってしまうのは仕方がないことでしょう。ただ、転職活動をする際にはポジティブな志望動機があったほうが有利ですし、説明しやすいものです。
自分自身が作業療法士としてどんなことを目指しているのか、今までで一番印象に残っているリハビリの成果、チーム医療や地域での取り組みに関する思いなどを、言葉にしておくことをおすすめします。ポジティブな志望動機が明確になっていると、採用面接の際だけでなく、求人票を見る際などにも流されずに探すことができるでしょう。
4. 求人情報のチェックをして比較検討して選ぶ
応募しようと思った病院や施設の求人票はよく見ていても、ホームページまでしっかりチェックしているでしょうか。ホームページからは、その病院や施設で作業療法士がどのように活躍しているのかがわかります。求人の条件以外にも情報収集をおこなって、いろいろな職場を比較検討して選ぶことが失敗しない転職活動につながります。
基本的に病院と施設では、作業療法士に求められることや働き方が異なるため、知っておくと効率的に転職活動を進めることができるでしょう。
病院などの医療施設での働き方
病院などの医療機関の作業療法士は、整形外科や脳外科などの患者に関わることが多いですが、精神科や心療内科、小児科の患者へのリハビリを求められる場合もあります。また、回復期の患者が家で生活できるようにするお手伝いのほかに、復職支援などをおこなうこともあるでしょう。
精神科や心療内科では作業訓練だけでなく、相談を受けながら進めていくことになります。小児科では、子どもを飽きさせないよう遊びを取り入れながら訓練をおこなうほか、ときには遊びをとおして、子どもの成長発達をうながすことが求められることもあるのです。
介護施設での働き方
最近は、多くの介護施設で作業療法士が活躍しています。とくにリハビリ型デイサービスや訪問リハビリなどの事業所の求人が多く、仕事の内容も作業療法士の職能を活かせる内容です。
利用者のニーズに合わせて自分でできることを増やしたり、新しい趣味などを始めて生活の質を高めたり、居宅に訪問してのリハビリがしたいという方にはおすすめの職場といえます。
5. 面接対策をおこなう
作業療法士はすでに国家試験で質が担保されているため、面接で採用するかどうかを決めるという場合が多くあります。そのため、職場探しと並行して面接対策をしておくとよいでしょう。
辞めても転職できる? 作業療法士の需要は高い?
転職を検討しているけれど、作業療法士の需要はあるのか心配だと感じている方もいるのではないでしょうか。作業療法士の求人情報には、どのような傾向があるかチェックしておきましょう。
作業療法士の需要は高い!
作業療法士の求人は、リハビリ専門病院はもちろん、一般病院、整形外科クリニック、リハビリ特化型の介護施設、訪問看護事業所、児童発達支援施設など多彩な職場から多くの求人が出ています。少子高齢化による要介護者の増大や在宅医療の推進などにより、これからもさらに求人が増えることが見込まれる職種です。正社員の月給はおおよそ25~50万円で、完全週休2日の仕事も多くあり、残業は少なめという病院や施設もあります。
病院以外の施設では、作業療法士が介護や送迎の仕事も担わなければならない場合もあるようです。そのため、なるべく作業療法士としての職能を活かした業務のみをおこないたいという場合や利用者を乗せて運転することに抵抗がある場合には、その点もしっかり確認したほうがよいでしょう。
このように作業療法士の需要は高いため、今後もまだまだ必要とされる仕事であることがわかります。
譲れない条件を決めて転職活動を成功させよう!
転職を成功させるためには、転職してどんな作業療法やライフスタイルを実現したいのかを明確にして、退職してしまう前に情報収集をはじめることが重要です。転職しようと思っている理由や仕事上やりがいを感じる場面を整理し、面接でも話せるポジティブな志望動機を明確にしておくと、流されてなんとなく決めてしまうということを防ぐことができます。
作業療法士の需要は高く、多様な病院や施設の求人があるため、月給や休暇以外の条件もチェックして、納得のいく職場を探してみましょう。
引用元:
厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査