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介護・看護・リハビリ 2022-01-27

腕の運動機能と協調性を養う!『風船』を使ったコミュニケーションレク【介護レクリエーションvol.42】

現場で役立つレクリエーションのアイデアをご紹介する「介護レクリエーション」。

今回は、腕の運動をしながら協調性を養うレクリエーションを、中級レクリエーション・インストラクターの大野孝徳さんに教えていただきます。

「今回ご紹介するレクリエーションは、『風船バスケット』と『風船ラリー』。どちらもスタッフと参加者が風船を打ち合って楽しむゲームです」(大野さん)

『風船バスケット』とは、どんなゲームですか?

「スタッフが打った風船を参加者が箱に向かって打ち返し、中に入った数を競うゲームです」(大野さん)

では『風船ラリー』は?

「2チームに分かれた参加者とスタッフが風船を打ち合い、チーム全員が打ち終わるまでの時間を競うゲームです。どちらのレクリエーションも、腕を振る動作、風船を目標に向かって打つための力加減や集中力が必要になります」(大野さん)

2つのレクリエーションによって期待できる、身体・精神面の効果は?

「腕を振る動作による運動機能向上の効果が期待できます。また、スタッフと参加者が息を合わせて風船を打ち合うことで、コミュニケーションを図りながら協調性を養うことができます」(大野さん)

それでは早速、『風船バスケット』と『風船ラリー』の遊び方をご紹介します。

風船バスケット

【対象者】上肢の可動域がある方
【レクの目的】手指・腕の運動、認知力・競争心を養う、コミュニケーションを図る
【人数】6人以上
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】風船(大きめのもの)1個、段ボール箱(1m四方程度の大きさ)1個、ホワイトボード
【所要時間】5分~
【レクリエーションの内容】スタッフが打った風船を参加者が打ち返し、箱の中に入れるゲームです。風船を上手く箱の中に入れるためには、スタッフと参加者が息を合わせることが大切。スタッフは参加者とコミュニケーションを図りながら、力加減や打ち返す方向を調整しましょう。

レクを始める前の準備

・段ボール箱を1面だけ開けた状態で組み立て、風船を膨らませておきます。

遊び方

1.参加者全員が輪になって座ります。スタッフは輪の中央に段ボール箱を置き、横に立ちます。

2.スタッフが1番目の参加者に向かって軽く風船を打ち、参加者は段ボール箱の中に入るよう打ち返します。スタッフは参加者の運動能力に合わせて、風船を打つ位置や段ボール箱の位置を調整しましょう。

3.風船が箱の中に入ったら1点獲得となります。スタッフは参加者ごとに得点をホワイトボードに記入しましょう。

4.2番目以降の人も同様に行い、時計回りに全員が3回ずつプレーしたらゲーム終了です。スタッフは得点の高い順に参加者の順位を発表します。

進め方のコツ

・参加者の人数が多い場合は、1チーム6人程度に分かれて複数チームでゲームを行いましょう。

・風船を打ち出すときは「〇〇さん、いきますよ。それ!」などと声をかけ、参加者が打ち返した風船がうまく段ボール箱に入ったときは他の参加者と一緒に拍手を送るなど、コミュニケーションを積極的に図りましょう。

風船ラリー

【対象者】上肢の可動域がある方
【レクの目的】腕の運動、集中力・競争心を養う、コミュニケーションを図る
【人数】12人以上(1チーム6人程度×2チーム)
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】風船(大きめのもの)2個
【所要時間】5分~
【レクリエーションの内容】2チームに分かれた参加者とスタッフが1人ずつ順番に風船を打ち合い、チーム全員が打ち終わるまでの時間を競うゲームです。楽しみながら参加者とコミュニケーションを図りましょう。

レクを始める前の準備

・風船2個を膨らませておきます。

遊び方

1.参加者を同じ人数で2チームに分け、参加者はチームごとに輪になって座ります。スタッフは風船を持って各チームの輪の内側に入り、1番目の参加者から1mほど離れた位置に立ちます。

2.スタッフの「よーいドン」のかけ声とともに、ゲームを始めます。スタッフは両チーム1番目の参加者に向かって風船を軽く打ち、参加者はスタッフに向けて風船を打ち返します。

3.5回ずつ打ち合ったら、2番目の参加者に交代します。途中で風船を落としてしまった場合は回数に数えず、スタッフが風船を拾ってプレーを再開します。

4.2番目以降の参加者も同様に行い、チーム全員が打ち終わったらゲーム終了です。先に終わったチームが勝ちとなります。

進め方のコツ

・参加者と風船を打ち合う際は、他の参加者と一緒に「いーち、にー」と回数を数えてゲームを盛り上げましょう。

・風船を打ち返すのが難しい参加者は、一度風船を受け取ってから投げ返してもOKです。

・風船の代わりにビーチボールを使うと、投げる強さや方向をコントロールしやすくなり、ゲームの難易度を下げることができます。参加者の状況に合わせて調整しましょう。


スタッフと参加者が協力して楽しむゲームは、良いコミュニケーションの機会になります。今回ご紹介したレクリエーションは、風船と自分、相手の距離を認識して力加減やタイミングを調整することで、脳への刺激にもつながります。ぜひ現場に取り入れてみてください。

イラスト:SMILES FACTORY
文:寺西香織(レ・キャトル)

教えてくれたのは…

大野 孝徳さん

合同会社A-assist代表、介護福祉士、介護予防指導士、中級レクリエーション・インストラクター。学生時代は子ども会集団指導者講師として岐阜県内でレクリエーション指導に従事。そこでの経験が評価され、介護業界に入職。介護職・相談員・管理職、在宅・施設両面での介護業務と、介護現場において幅広く活躍。2016年に独立し、A-assistを設立。訪問型介護予防体操教室やレクリエーションサポート活動を展開。現在も現場に入り介護福祉士として従事する傍ら、「え~(良い)アシスト」を提供するべく全国を対象に事業を展開している。

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