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特集・コラム 2022-08-08

介護保険制度とは? ケアマネジャーを目指す人が知っておきたい基礎知識

介護保険制度とは、高齢者の介護を日本全体で支え合う制度のことです。介護保険制度はケアマネジャーを目指す人なら知っておきたい基礎知識です。

本記事では、これからケアマネジャーを目指す人に向けて、介護保険制度や介護保険の概要、サービスの特徴についてご紹介します。

介護保険制度とは?

介護保険制度とは、1997年12月に制定された高齢者の介護を社会全体で支え合う制度のことです。日本の人口増加や高齢化などを背景に制定された制度で、40歳以上の国民が被保険者になります。ここからは、社会全体で高齢者の介護を支える仕組みについてご紹介します。

社会全体で高齢者の介護を支える仕組み

介護保険制度は、日本の社会全体で高齢者の介護を支えます。そこで、高齢者の介護をしっかりと支えるために基本的な考え方や仕組みが生まれました。

・「自立支援」:介護を要する高齢者の身の回りの世話をするということを越える、そして高齢者の自立を促す
・「利用者本位」:利用者のサービス選択により、希望通りのサービスを受けられる
・「社会保険選択」:給付と負担の関係が明確な保険方式を採用

介護保険制度は、多くの高齢者を支える仕組みです。そのため、少子高齢化が進む日本では欠かせない制度と言えるでしょう。

介護保険とはどんな保険なの?

介護保険とは、介護を求めている方に費用を給付する保険のことです。制度の運営主体は、全国の市町村+東京23区です。

ここでは、介護保険でサービスを受けられる人や支払いタイミングなどについてご説明します。

被保険者とは|どんな人がサービスを受けられるの?

被保険者とは、65歳以上を対象とする第1号被保険者と40歳から64歳までを対象とする第2号被保険者の2種類に分かれた保険者のことです。第1号被保険者と第2号被保険者によって、受給者やサービス対象となるものが異なります。それぞれの特徴について見ていきましょう。

第1号被保険者

第1号被保険者の特徴は以下のとおりです。

・国内人数:645万人(18.3%)
・65~74歳:73万人(31.8%)
・75歳以上:572万人(31.8%)

第1被保険者は、主に75歳以上が多くを占めます。保険料負担は原則市町村が徴収し、1人1人に被保険証が交付されます。

第2号被保険者

第2号被保険者の国内人数は、4,192万人です。保険料負担は、医療保険者が医療保険の保険料と一括徴収されます。第1号被保険者とは異なり、介護保険で対象となる病気が決められています。介護保険の対象となる病気は以下のとおりです。

・末期がん
・関節リウマチ
・筋萎縮性側索硬化症
・初老期における認知症
・進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
・脊髄小脳変性症
・脊柱管狭窄症
・早老症
・閉塞性動脈硬化症
・慢性閉塞性肺疾患
・変形性関節症(両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う)
・後縦靱帯骨化症
・骨折を伴う骨粗鬆症
・多系統萎縮症
・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
・脳血管疾患

第2号被保険者の場合、被保険証は発行されません。しかし、上記の病気に該当している場合は、例外で発行が許可されます。

保険料の支払いはいつから始まるの?

介護保険料の支払いは、40歳から義務付けられており健康保険料の支払いと同タイミングで支払いがスタートします。

65歳以上の第1被保険者の場合、年金からの天引きによって支払われるようになります。支払いに困らないよう、予め資金を貯めておきましょう。

介護保険はケアマネジャーが関わらなくても利用できるの?

結論、介護保険はケアマネジャーが関わらなくても利用できます。しかし、ケアマネージャーがいない場合、自身でケアプランの作成を行う必要があります。

また、介護保険料の手続きを自身で行ったり自治体によっては、ケアマネージャーなしで作成したケアプランを受け付けていないところもあります。その場合、スムーズに介護保険を利用できなくなるため、注意が必要です。

とはいえ、自身で作成するケアプランによって介護の知識が身につけられたり保険サービス事業者と直接コミュニケーションを取る経験ができたりするなどのメリットも得られます。

押さえておきたい介護保険利用の流れ

これからケアマネジャーの仕事にも大きく影響する介護保険利用の流れについて下記の順序でご紹介します。

1.要介護認定の相談~申請
2.認定調査~結果報告

併せて、「要介護1〜5」「要支援1〜2」についても詳しくご紹介します。

1. 要介護認定の相談~申請

介護保険を利用する際、利用者・家族が要介護認定の相談を行います。相談を行う箇所は、区市町村にある介護保険課や地域包括支援センターなどがおすすめです。

相談を終えて申請することが確定した場合、市区町村の介護保険担当窓口で申請することで認定調査に入ります。申請時の持参物としては、第1号被保険者の方は介護保険の保険証、第2被保険者の方は医療保険の保険証を持参しましょう。

2. 認定調査~結果報告

無事、申請が終了すれば認定調査が始まります。認定調査では、申請した役所から認定調査員を自宅に派遣し、本人の身体機能の現状をチェックします。また、主治医の意見書なども介護認定を受けられるかどうかの大きな材料になるため、準備しておきましょう。

認定調査を終えると、認定が要介護なのか要支援なのかの結果報告で終了です。

ここからは、要介護と要支援の概要についてご紹介します。

要介護1~5|介護サービス適用

認定結果で要介護1〜5と伝えられた場合、介護サービスの利用ができます。要介護の中でも最も重い要介護5の症状は以下のとおりです。

・歩行や両足での立位保持などの移動の動作が難しい
・排泄や食事が不可能
・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作ができない

要介護5は最も大変な症状を抱えた方ばかりです。要介護はケアマネージャーの出番になるため、要介護ランク順でどういった制限が生まれるのかどうか覚えておきましょう。

要支援1~2|介護予防サービス適用

認定結果が要支援1〜2と伝えられた場合、介護予防サービスの利用が可能になります。プラン作成は地域包括支援センターが行うため、主任ケアマネ―ジャーの出番になります。要支援1と2の特徴は以下のとおりです。

・要支援1:身の回りの生活に何らかの手助けがいる。排泄や食事は1人でできる
・要支援2:歩行や両足での移動の動作に何らかの支えが必要

要支援1と2は、少し補助をすれば生活ができるといった状態の方ばかりです。とはいえ、身体機能のバランスが悪くなると要介護に入ってしまうケースがあるため、ケアマネージャーが管理する必要があります。

介護保険で受けられるサービスとは?

介護保険には、指定監督を都道府県・政令市・中核市が行うものと市町村が行うものの2つに分かれます。そのため、ケアマネジャーは利用者が使用したいと感じているサービスを提供するためにも知識が必要です。それぞれ異なるサービスが行われるため、特徴を押さえておきましょう。

1. 都道府県などが指定と監督を行うサービス

初めに、都道府県・政令市・中核市が行うサービスについて以下のパターンでご紹介します。

・介護給付を行うサービス|居宅介護サービス
・予防給付を行うサービス|介護予防サービス

利用者により良い提案を行うためにも、サービス内容に関して覚えておきましょう。

介護給付を行うサービス|居宅介護サービスなど

介護給付を行うサービスは、介護訪問や訪問リハビリテーションがメインになる訪問サービスや通所介護がメインになる通所サービスです。その他にも、短期入所生活が行われる短期入所サービス、介護老人福祉施設などを対象とする施設サービスが当てはまります。

他サービスと比較してもサービスの幅が広いため、様々な利用者に対応できる強みがあります。

予防給付を行うサービス|介護予防サービス

予防給付を行うサービスは、介護予防訪問介護やリハビリテーションが行われる訪問サービスやデイサービスがメインになる通所サービス、短期入所サービスが当てはまります。

要支援1と2であれば、予防給付が受けられる可能性があるため、利用しやすいサービスと言えるでしょう。

2. 市町村が指定と監督を行うサービス

次に、市町村が指定と監督を行うサービスについて以下のパターンでご紹介します。

・介護給付を行うサービス|地域密着型介護サービス
・予防給付を行うサービス|地域密着型介護予防サービス

利用者により良い提案を行うためにも、サービス内容に関して覚えておきましょう。

介護給付を行うサービス|地域密着型介護サービスなど

市町村が指定、監督を行う介護給付サービスは、地域密着サービスが対象です。夜間対応型訪問介護や認知症対応型通所介護などが地域密着型サービスの内容です。

地域密着型介護サービスの場合、知人からサービスを受けられる可能性があるため、安心して利用できます。時間や回数などにも柔軟に対応してくれることは大きな利点と言えるでしょう。

予防給付を行うサービス|地域密着型介護予防サービス

市町村が指定・監督を行う予防給付サービスは、地域密着介護予防サービスが行われます。サービス内容としては、介護予防認知症対応型通所介護やグループホームなどがメインです。

2〜3つほどのサービスしかありませんが、地域に密着した介護予防サービスが受けられるため、初めての方でも安心して利用できます。

ケアマネの仕事の要! 介護保険制度を理解しておこう

少子高齢化が当たり前になりつつある日本では、介護保険制度や介護保険の活用は欠かせません。介護保険制度自体、ケアマネジャーなしでも利用できるとはいえ、ケアプラン作成や介護保険料の手続きなどが負担になります。

そこで、ケアマネジャーが欠かせなくなります。ケアマネジャーは介護保険制度が仕事の要です。試験でも頻出する部分なので、本記事の内容をしっかりと理解しましょう。

引用元サイト
厚生労働省老健局 介護保険制度の概要

厚生労働省 介護サービスの種類

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