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特集・コラム 2023-02-07

視覚障害者ガイドヘルパーとは? ガイドヘルパーになるには資格が必要?

介護職のガイドヘルパーには多くの種類があります。その中でも、「同行援護従業者」は、視覚に障害を抱える方の外出をサポートするガイドヘルパーです。

外出の難しい介護対象者をサポートすることで、近隣住民や地域との関わりを作り、生活の質を向上させ、日常生活をより豊かに暮らすためのお手伝いをします。

本記事では、ガイドヘルパーの中でも視覚に障害を抱えた方をサポートする同行援護従業者の概要やなり方、おすすめの講座、メリットなどについて紹介します。

資格の概要やなり方、おすすめの講座やメリットについて確認した上で、同行援護従業者を目指したいと考えている方は、参考にしてみてください。

目次
  1. ガイドヘルパー(移動支援従業者)とは?|困難に合わせて選べる支援
  2. 視覚障がい者をサポートする同行援護とは?
  3. 同行援護従業者とほかの移動支援従業者の違いとは?
  4. 同行援護従業者になるにはどうすればいいの?
  5. 同行援護従業者になるための講座紹介
  6. 資格取得のメリットとは?
  7. 同行援護従業者が活躍できる場所とは?
  8. 同行援護従業者に向いている人とは?
  9. 同行援護従業者の資格取得を目指そう!

ガイドヘルパー(移動支援従業者)とは?|困難に合わせて選べる支援

移動支援従業者(ガイドヘルパー)は、障害があり、一人での外出が困難な方へ身体介助や安全確保、コミュニケーション支援といった介助を行います。利用者が、どのような障害を持っているかによって、従業者がどんな補助を行うか変化します。

勤務時間も数時間から1日まで選ぶことができ、働きやすい仕事でもあります。以下の記事でも移動支援従業者について詳しく紹介しているので、気になる方は参考にしてみてください。

ガイドヘルパーとは? 種類や制度について解説! ガイドヘルパーになるにはどうすればいいの?

視覚障がい者をサポートする同行援護とは?

移動支援従業者がどんな仕事をするのかがわかったところで、つづいては視覚障がい者の方を支援する「同行援護」についてご紹介します。同行援護は、具体的にどのような内容の仕事を行うのかを確認してみましょう。

1. 移動の援護|安全かつ快適な移動を支援

同行援護は、主に視覚障がい者の外出をサポートする仕事です。買い物などの外出を安全に行えるよう、知識を身につけてフォローします。利用者は、原則的に通学や通勤などの通年かつ長期的な外出には利用できません。

移動支援従業者の中でも同行援護者を必要とする人は多いです。視覚障がい者は高齢者だけではないので、利用者の年齢や性格、行動の特徴なども考慮しつつ、専門的な知識を用いて仕事を行います。

2. 視覚的情報の支援|判断に必要となる情報などを伝える

外出の際には、ときに代筆や代読などを行う場面もあります。何かを判断しなければならない際に、代筆も使って必要な情報を伝え、利用者の意向に沿って行動していきます。

そのため、同行援護の際には、代筆や代読の補助もできるような知識が必要です。外出時に臨機応変な対応ができるような対応力もいる仕事でしょう。

3.身体介護やその他必要な援助|食事や排泄、その他の介護

外出先では、移動のサポートだけでなく食事や排泄を行う場面も想定されます。このような場合に、食事や排泄を含めた、その他身体介護などの援助を行います。

同行援護では、利用者も従業者も家や事業所とは異なり、慣れない場所での行動となります。スムーズに補助を行うためにも、技術力や経験・気遣いなどが必要とされます。

同行援護従業者とほかの移動支援従業者の違いとは?

同行援護従業者とそのほかのガイドヘルパーでは、支援の目的と業務内容が異なります。
この章では同行援護従業者と全身性障がいガイドヘルパー・行動援護従業者との違いについて、詳しく確認していきましょう。

全身性障がい者ガイドヘルパーとの違い

全身性障がい者ガイドヘルパーは、全身性の身体的な障害を抱えている方に対して、外出支援や代筆・代読、車による送迎などの業務を行います。車椅子を使用する要介護者に同行し、利用者が安全に目的地まで移動できるようにサポートするのが主な業務です。

同行援護従業者の業務は視覚に障害を抱えている方に対するサポートで、視覚的な情報を補うように一緒に同行して、時には声を出して移動支援するのが主な業務だといえます。

どちらも同行して移動支援する点では同じですが、全身性障がい者ガイドヘルパーは身体性の障がいを抱えている方に対しての支援。その一方で、同行援護従業者の業務は、視覚的な障がいを抱えている方に対する支援という点で目的・対象が異なります。

行動援護従業者との違い

行動援護従業者は、知的障害・精神障害といった障害を抱えている方に対する支援を行います。要介護者に同行して、周囲の状況に応じた適切なコミュニケーションをとり、問題なく福祉施設や自宅までの移動を支援するのが主な業務です。

同講援護従業者は視覚に障害を抱えている方向け。その一方で、行動援護従業者は知的障害・精神障害を抱えている方向けの支援で、こちらも同様に目的や対象が異なります。

同行援護従業者になるにはどうすればいいの?

同行援護従業者になるためには、資格が必要なのかについて確認してみましょう。結論からいうと、同行援護従業者は資格が必要ですが、試験はありません。

都道府県や各自治体が指定した事業所などで実施されている、養成研修を受講することで、資格を得ることができます。

また、同行援護の資格を取得するとサービス提供責任者として活躍できる場合があります。ヘルパーとケアマネジャーの連絡や調整を行う、サービス提供責任者としてキャリアアップすることを目指す方にもおすすめの資格です。

尚、サービス提供責任者になるにあたっては、介護福祉士に合格するか、もしくは介護職員実務者研修を修了する必要がありますので、興味のある方は下記の記事をご覧ください。

サービス提供責任者の仕事内容とは?|サービス提供責任者の資格要件を紹介

1. 同行援護従業者養成研修一般課程を修了する

移動支援従業者になるためには、同行援護従業者養成研修の一般課程を修了しなければなりません。

・都道府県が指定した事業者が実施する視覚障者移動支援従業者養成研修課程
・市区町村が実施する視覚障害者移動支援従業者養成研修
・当該養成研修を実施した区域の道府県で、それに相当すると知事が認めた研修
・視覚障害者移動支援事業従事者資質向上研修

上記の4つのいずれかに該当した研修を修了後、移動支援従業者としての資格を得ることになります。

2. 介護福祉士などの資格+実務経験1年以上

研修や講座を修了する以外にも取得する方法があります。それは、介護福祉士や実務者研修修了者などの資格を持ち、さらに視覚障害を持つ身体障がい者に対しての実務経験が1年以上ある場合です。要件を満たすと資格を取得することが可能です。

すでに介護福祉士の資格を取得している場合や、これから取得しようと考えている場合は、介護福祉士の資格取得後に、必要に応じて取得するのもおすすめです。

3. 国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科を修了

さらに、もうひとつの方法として大学院で学ぶという手段があります。国立障害者リハビリテーションセンター学院の視覚障害学科を修了することで取得が可能です。

ここでは、視覚障害リハビリテーションに携わる人材を養成しており、座学のみならず演習や実技、体験を通して学ぶことが可能です。

同行援護従業者になるための講座紹介

ここからは、同行援護従業者になるための講座をいくつか紹介していきます。それぞれの講座で、どのような特徴があるのかチェックし自分に合うものを探してみましょう。

1.三幸福祉カレッジ|(視覚障がい者)同行援護従業者養成研修

同行援護の移動支援従業者になる方法の一例として、三幸福祉カレッジの研修を受講するという方法があります。講習は1~2カ月間の通学形式で、受講料は一般課程で税込み44,440円、応用課程で税込み36,740円です。

一般課程では基礎知識を中心に学ぶことができ、受講資格はとくになく、誰でも受講することが可能です。一般課程を修了すると、応用課程を受講することができ、屋外の実習を通して、より実践的なスキルを身につけられます。

2.社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会|同行援護従業者養成研修

こちらの講座では、一般課程と応用課程を連続受講される方を対象とした、同行援護従業者養成研修を行っています。一般過程・応用課程のみの研修や、介護系有資格者への補講研修は実施されていませんので、ご注意ください。

講座内容は講義と演習で、カリキュラムは一般課程20時間、応用課程12時間の合計32時間です。東京ヘレン・ケラー教会およびその周辺(新宿区内)にて、基本的に土日を利用した4日間の研修で行われます。費用はテキスト代・保険料・消費税込みの内容で49,000円です。

定員は各回20名で、受講申込書をFAXか郵送、もしくは電話で申し込むことができます。

3.未来ケアカレッジ|同行援護従業者養成研修

一般過程では、各分野のプロが講師となり、現場の経験で培ったノウハウが学べ、応用課程では、交通機関を使った実践的な介助を学ぶことができます。一般過程は20時間、応用課程は12時間となっており、合計32時間の5日間かかる内容です。

授業を欠席した場合は、無料で振替受講が行えます。受講料は最安値地域で、税込み価格が一般課程で22,550円、応用課程が20,350円です。受講する地域によって受講料に変動があるため、自身の地域を確認してみましょう。

資格取得のメリットとは?

同行援護従業者になるためには、資格を取得する必要がありますが、養成研修の一般過程を修了して、資格を取得する具体的なメリットは何でしょうか?この章では、同行援護従業者の資格を取得するメリットについて見ていきましょう。

1. 対応できることが増える

同行援護従業者の資格を取得することで、従事できる業務の幅が広がります。

たとえば、介護職員初任者研修の保有者は知的・精神障がい者の介護・移動支援が可能ですが、視覚や全身性の障害を抱えている方の移動支援を行うことはできません。しかし、同行援護従業者の資格を取得すれば、視覚の障害を抱えている方の移動支援にも従事できるようになります。

施設内での介護サポートだけでなく、利用者の移動支援もできるので、幅広い業務に対応できるガイドヘルパーとして重宝されるでしょう。

2. 就職でも有利になる

同行援護従業者の資格を取得すれば、就職に有利になるパターンが多いです。求人数が豊富な同行援護事業所で、正規職員としての就職も可能になります。

また、介護職員初任者研修・実務者研修の保有者で、ガイドヘルパーとしての資格も保有していれば、就職の際に有利に働く可能性が高いです。

3. キャリアアップもできる

将来的に同行援護事業所のサービス提供責任者として働きたい方は、同行援護従業者の資格を取得することで、キャリアアップを目指せます。責任のある立場として働いて、マネジメントにも携わりたいという方には、資格取得のメリットは大きいでしょう。

将来的にキャリアアップを考えている方は、同行援護従業者の資格取得がおすすめです。

4. やりがいがある

同行援護従業者の資格をもっていると、障害を抱えていることを理由に外出が難しく、塞ぎ込んでいたり、悩んでいたりする要介護者に同伴して外出できます。

買い物や散歩などの明確な目的を達成するために行動するので、やりがいを感じやすい業務です。また、要介護者から喜び・感謝の言葉をもらうと、業務に従事していて良かったと感じられる場面も多いでしょう。

同行援護従業者が活躍できる場所とは?

同行援護従業者が活躍できる仕事場には、移動支援事業所や訪問介護事業所、障がい者支援事業所など、幅広い選択肢があります。この章では、同行援護従業者が活躍できる3つの代表的な場所について、それぞれ見ていきましょう。

1. 移動支援事業所

同行援護従業者が活躍できる仕事場には、各市区町村や都道府県が移動支援事業を委託する事業所(移動支援事業所)があります。重度の盲ろう(児)の移動支援を行うのが一般的で、そのほかの介護系の資格をもっていると、さらに業務の幅が広がります。

ちなみに、正規職員として勤務する場合と、各市区町村のガイドヘルパー名簿に登録して、必要な時だけ移動支援事業に従事するパターンの働き方が考えられるでしょう。

2. 訪問介護事業所・居宅介護事業所

訪問介護事業所や居宅介護事業所で働く場合もあります。障害をもった方や高齢者の自宅を訪問し、身体介護や生活援助などのサポートを行うのが主な業務内容です。

要介護者に同行して買い物しに行ったり、通院したりなど、要介護者の方が1人では行えないことを外出支援でサポートします。ただし、ホームヘルパーとしての業務にも従事したい場合は、介護職員初任者研修などの介護系の資格を別に取得しなければなりません。

介護職員初任者研修の概要については、下記の記事を参考にしてみてください。

介護職員初任者研修とは? ホームヘルパー2級や実務者研修の違い|初任者研修にかかる費用とは?

3. 障がい者支援事業所

日常的に介護支援が必要な方が利用する障がい者支援事業所は、施設に入所、もしくは通所している要介護者の身体介護や移動支援、就労支援などを行う場所です。

同行援護従業者は移動支援に従事したり、そのほかの介護サービスに従事したりして、施設における業務に幅広く携わることになります。

ちなみに、介護職員初任者研修や実務者研修、介護福祉士の資格を保有していると、施設内において従事できる業務が増えるので、一緒に取得する方も多いです。

同行援護従業者に向いている人とは?

同行援護従業者には、障がい者介護への興味・関心度の高さや他人とのコミュニケーションに対する積極性、柔軟な対応力が求められます。この章では、これらのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

1. 視覚障がい者の方への支援に関心がある

同行援護従業者として働いていくためには、視覚障がい者への支援に関して、常日頃から興味関心をもっている方が向いています。視覚に障がいを抱えている方への支援は、デリケートな業務なので、適切な対応やコミュニケーション方法を日々学ぶことが大切です。

視覚に障害を抱えている方への支援に興味関心がある方であれば、日常生活で支援に関して調べて研究し、実際の支援業務に活かしやすいでしょう。

2. 人と関わるのが好き

同行援護の業務は、要介護者とのコミュニケーションと信頼関係が基本です。他人とのコミュニケーションが好きで、対応方法を試行錯誤できる方に向いた仕事だといえます。

他人とのコミュニケーションに苦手意識がなく、要介護者一人ひとりに寄り添った、適切なコミュニケーションがとれる方におすすめの業務です。

3. 臨機応変な対応ができる

同行援護の業務を行っている際には、イレギュラーが起きることもしばしばあります。しかし、そこで動揺してしまえば、要介護者に不安を与えてしまいかねません。

思い通りに行かないことやトラブルに対しても、柔軟な対応をとれる素質をもっている方は、同行援護従業者として働くのに向いているでしょう。

同行援護従業者の資格取得を目指そう!

同行援護従業者の資格を取得すると、ホームヘルパーでは従事できない移動支援の業務にも携われるようになります。就職先の選択肢が広がり、キャリアアップにつながることはもちろん、仕事におけるやりがいを感じやすい点が資格取得のメリットです。

自分のキャリアアップのためにも、同行援護従業者の資格取得を目指してみましょう。

引用元
厚生労働省:同行援護について
美幸福祉カレッジ:(視覚障がい者)同行援護従業者養成研修
東京ヘレン・ケラー協会:同行援護従業者養成研修事業
未来ケアカレッジ:同行援護従業者養成研修

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