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ヘルスケア 2023-01-17

意識のベクトルをお客様に向け、寄り添うことが成功の秘訣【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.84/ブレインヒールヘッドカレッジ 稲垣佑樹さん&稲垣ふみさん】#2

「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

前回に続き、ドライヘッドマッサージ専門スクール「ブレインヒールヘッドカレッジ」の代表・稲垣佑樹さんと校長・稲垣ふみさんにインタビュー。後編では、おふたりがセラピストという仕事に感じるやりがい、これからセラピストを目指す方へのアドバイスをお聞きします。

お話を伺ったのは…
「ブレインヒールヘッドカレッジ」代表 稲垣佑樹さん

20代後半までプログラマーとして勤務後、整体師に転向。技術を積んだ後、ヘッドマッサージに特化し、2012年「頭のほぐし専門店 うたたね庵」をオープン。2013年、ドライヘッドマッサージ専門スクール「ブレインヒールヘッドカレッジ」をスタート。

「ブレインヒールヘッドカレッジ」校長・稲垣ふみさん

2000年よりアロマセラピストとして活動をスタート。2002年、自宅サロンを開業後、佑樹さんとともに「頭のほぐし専門店 うたたね庵」、「ブレインヒールヘッドカレッジ」を設立し、受講生1,200名以上を指導。InstagramやYouTubeを通してセルフケアの大切さも伝えている。

Instagram:@brain_heal_head_college

YouTubeチャンネル:稲垣ふみ校長のふれ愛ヘッド®️【ヘッドマッサージチャンネル】

開発した技術が、自分と同じ頭痛に悩む人を救ってくれる喜び

ドライヘッドマッサージ技術「ブレインヒールヘッドタッチ®」を開発し、
多くの人に頭に触れる大切さを伝えている稲垣さん夫婦

――セラピストのお仕事のやりがい、いいところは何だと思いますか?

佑樹さん:僕の場合は自分の不調が整体師になったきっかけだったので、同じ悩みを持つ方に施術をすることで「本当に楽になった」と言っていただけると、やっぱり嬉しいです。だから、お店で勤務しているときは、やりがいは常にありましたね。

ふみさん:私は小さい頃から人に喜んでもらえることが好きだったんです。父の入院がきっかけで触れることの大切さ、喜びを知り、それを施術を通して疲れている方々へ伝えることで喜んでもらえるようになりました。だから、辞めようと思ったことはないですね。

「体のメンテナンスはふみ先生」と、人生の一部として加えていただける。触れる喜びを共有できていることが、ダイレクトに感じられる。とても幸せな仕事だと思います。

――スクールを始めてから感じるようになったやりがいは?

佑樹さん:技術を伝えることで、生徒さんからの「周りの人に施術して喜んでもらえました」という声以上に、「家族や親子の関係が良くなった」という声がすごく多いんです。そんなところまで影響を与えることができるというのは、指導者になってからの喜びだと思います。

ふみさん:セラピストとして1対1で向き合える幸せもありますが、私たちが技術を伝えることで良い関係が広がっていくのは嬉しいですよね。

あと最近は、オンラインでセルフケアを伝える機会も増えたのですが、それもすごくやりがいを感じます。1対1ではできないことだし、距離的に会えない方にも伝えられるじゃないですか。目も脳も酷使するお仕事をされている方々に、オンラインを通してセルフケアをお伝えする。そうすることで、一生懸命働き過ぎて置き去りにしていた自分の体を労わろうという意識も伝えられるんです。スクールを始めたことで、視野が広がりましたね。

大切なのは自我を捨て、お客様に寄り添うこと

現在はスクールの活動をメインに全国を飛び回っているおふたり。
ふみさんは、長年の顧客様を中心に、要望があった際には
一般の方やスクールの生徒さんを募集して施術も行っています

――セラピストとして成功するためのポイントは何だと思いますか?

佑樹さん:5年10年と指名いただいて、長く付き合えるお客様が増えていくことが、セラピストの成功の1つなのかなと思います。それには、その日その時によって変わる要望や体調に、できる限りこたえられるようになることが大切なんじゃないでしょうか。

ふみさん:そのためには、お客様そのものになることが必要なのかなと思います。お客様の目線になることで、辛さや不調などいろいろなものに寄り添えて感じられる。そうするからこそ声掛けや施術も違ってきますし、そこに誠心誠意取り組むことで、ずっと指名したいと思っていただける。お客様もセラピストも両方に喜びが生まれ、笑顔が連鎖していくのが、成功になるのかなと思います。

――おふたりが考えるセラピストの心得3か条を教えてください。

1.自我を捨てる
2.共感、傾聴、尊重
3.お客さまに寄り添うこと

 

ふみさん:お客様に対して緊張してしまったり、自分の技術や接客に不安を感じたりするというのは、ベクトルが自分の方に向いているということ。こう思われたらどうしよう、これができなかったらどうしようと思ってしまうから、緊張してしまうんですよね。私も、もともと緊張しやすいタイプだったんです。

でも意識のベクトルがお客様の方にシフトできるようになると、自然と緊張しなくなったんです。お客様が喜んでいる姿を想像することで、「もっとこうしたらいいんじゃないか」と思えるようになる。そういった意味で、自我を捨てることが大切だと思います。

また、どんなお客様が来ても、大きな海のような心で受け止めたいと考えているので、そのためには共感、傾聴、尊重すること。お客様に心を持って耳を傾け、お客様の思いを尊重することで、本当に心を開いてもらえるんだと思います。

そして一番大切なのが、お客様に寄り添うこと。自分がどうしたいかではなく、お客様がどうなりたいか。そのご要望をお伺いした上で、リラックスしてお客様に触れることで、触れているかわからないくらい心地いい状態になる。これをうちでは「一体感」と呼んでいるんですが、そうなると本当にお客様の変化を感じられるようになるんです。だからこそ、より良い施術を提供するためには、欠かせないポイントだと思います。

多くの学びや経験から、技術開発やスクール開校につながった

「ブレインヒールヘッドカレッジ」の理念や技術は
おふたりがさまざまな施術やレッスンを受けた経験から理想のかたちを作り上げたそう

――これからセラピストを目指す方が経験しておくとよいことは?

佑樹さん:まずは、いろんなサロンに行って、いろんなセラピストさんの施術を受けることが大切だと思います。例えばサロンを開業するとき、軸となるような自分の手技や技術というものが必要です。それを確立するためには、自分がどういう風に施術されたら嬉しいかをイメージして、それを自分の手や体を使って表現していくこと。

そこを見つけるためにも、やはり一番いいのは自分が施術を受けて、自分がしてほしい施術を知ることなんじゃないでしょうか。

ふみさん:そうですね。私も、いろんな手技を学んできているからこそ、理想の教え方やスクールの環境づくりができていると思います。いろいろなところに行くことで、自分が何をしたいのか、どんな風に相手に喜んでもらいたいのかがわかってくる。セラピストは、「自分の施術を受けて、相手にどんなふうになってもらいたいか」ということが一番重要だと思います。

――最後に、これからセラピストを目指す方にアドバイスをお願いします。

ふみさん:最近はYouTubeなどで気軽に技術が学べるようになりましたが、とくにヘッドマッサージは脳に近い頭皮に触れるうえ、心の状態とも関わる繊細な場所です。見様見真似で頭皮に触れてしまうと、逆に不調が出てしまうこともあります。きちんと体感して学べる場所で、学んで欲しいなと思います。

佑樹さん:セラピストは人の体に触れる仕事なので、どんどん触れることも大事です。やり方ももちろん大事ですけど、どんどん人に触れて成功体験を積む

僕はもともとマッサージ好きだったわけではないので、自分がマッサージをするなんて思ってもみなかったんです。でも習った技術を、例えば両親にしてあげたら、やっぱり喜ばれるし自分も嬉しい。それがセラピストの一番の魅力でもあると思うんです。その経験を、どんどん積んでいって欲しいなと思います。

ふみさん:いきなり仕事にしようと思わなくても、家族にマッサージしていくことで、体に触れあう大切さは感じられると思います。「触れる」というのは最高のコミュニケーションだし、絶対に大事な原点

セラピストは、触れることで喜びあいながら、笑顔の連鎖を増やせる、すごいお仕事だと思います。だからまずは、触れる喜びを知って欲しいです。

取材・文/山本二季

Information

ブレインヒールヘッドカレッジ
住所:愛知県名古屋市千種区本山町50-1 ラパンドゥ201号室
TEL:090-4866-2936(代表)

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